トップが語る!「フランチャイズ成功の奥義」

トップが語る!「フランチャイズ成功の奥義」

グリーンポケット

緑で日本を豊かにしたい。世のため、人のためになるビジネスは、不況でも確実に伸びるんです

国土緑化株式会社 代表取締役 堺 亜琉氏
「世の中をよくしたい」という思いを抱き、政治家秘書に。
国会の審議内容から起業のヒントを得た熱血社長の日本再生ビジネスとは。
昔は、社会のために尽くすのは当たり前だった

起業しようと思ったのは大学生の時です。そのためには数年、社会経験が必要だと思い、大学卒業後には国会議員の秘書になりました。私は熊本出身なのですが、地域性もあったのでしょう。社会のために尽くすことが当たり前だと親に教育されてきました。ですから、政治にも興味を持っていたんですね。

議員秘書をやっていたのは、70年代後半の高度成長期の終わり頃。国会で公園の増設や、緑化の補助金制度などが取り上げられ、世間でも「エコ」に対する意識が高まってきた時代です。

私はそれを見て、「起業するなら、緑化事業しかない」と思いつきましてね。このビジネスなら伸びるだけでなく、世のため、人のためにもなると。そこで社名を「国土緑化」とし、26歳で会社をスタートさせました。

「きつい、汚い」という悪いイメージを一新

緑化事業については全くの素人。しかし、いろいろ調べてみると、緑化事業といっても、造園、生産、生花販売、植物レンタルといろいろ業態があることに気がつきました。その中でいちばん手つかずのものは何か。それが植物レンタルだったんです。これまでその事業がなかったわけではありません。それこそ、江戸時代から盆栽の貸し借りが行われていましたからね。しかし、事業内容が進化しておらず、造園を本職とする植木屋さんが片手間でやるような内容だったのです。

遅れている業界は、世間から「事業としての魅力がない」と見られているということ。でも、そこにビジネスチャンスがある。私はそう考えました。

当時、植物レンタル事業は、クリエイティブな仕事ではないと思われていたんです。造園業を営む人は少なからず創造性を大切にしますから、ただ植物を運ぶだけの仕事にどんな魅力があるのかと、誰も興味を示さなかったんですね。

それならば、レンタルの仕事に創造性を盛り込めばいい。仕事内容を単なる植物の運搬ではなく、訪問先のニーズをとらえ、植物を選定し提案営業をするという創造性のあるものに変えていきました。同時に「きつい、汚い」という事業のイメージも刷新。貸植木業という呼び名を「グリーンレンタル」に、事業名を「グリーンポケット」という横文字の名称にしたのもそういった理由からなんです。

社員より起業家に仕事を任せた方がいい

この試みは功を奏し、売り上げは右肩上がり。設立から10年経た87年にはフランチャイズ事業を手掛けるまでになりました。

フランチャイズ事業を始めた理由は2つあります。ひとつは植物レンタル事業を全国に広げたかったこと。日本中に植物を増やし、「緑による文化の創造」を実現することが我々の使命ですからね。そして、もうひとつは、会社に雇われている社員より、独立してビジネスをしたいと思っている方に事業を任せたいと考えたからです。やはりオーナーは覚悟が違う。熱意があるんです。創業当時、私も社員と一緒に顧客企業を訪問していましたが、私がいちばんいい仕事をしていましたからね(笑)。

社会をよくしたいという心がオーナーを支える

求めるオーナー像としては、まずは熱意。それから「明るく素直で元気な人」です。そして、自分が担当する地域に緑を広めたいと考える公共心のある人ですね。

オーナーの仕事は、直接お客さまを訪問し、植物の交換、メンテナンスをします。同時に、お客さまの好みやニーズを聞き出し、提案もしていきます。そのためには、人間力やコミュニケーション力が多いに物をいう。

私は常日頃、「我々の商品は植物だけではない」と言っています。「植物、あいさつ、コミュニケーション、清潔、スピード」。この5つが商品なんです。

我々の仕事は、お客さまに対し、奉仕の心、自己犠牲の心がなくてはなかなか務まりません。仕事をしていく中で、厳しいこともあるでしょう。しかし最後は、「社会をよくしたい」という思いがオーナーを支えるんです。

オーナーをバックアップすることで、理念を実現したい

もちろん、本部もできる限り応援はしていますよ。業界未経験の人でも独立できるように、開業前には20日間の研修を行います。植物管理の指導や、自社の研修施設内の擬似オフィスで行う提案営業の仕方など、実践的な研修内容となっています。独立後には、お客さま満足度アンケートに基づくサービスや植物の知識を測る「グリーンマスター制度」という検定試験で、オーナーのレベルアップを図っています。

このように、オーナーを全力でバックアップしているのは、そうすることで「緑を全国に広げたい」という当社の理念に、最終的につながっていくと考えているからなんですよ。

儲かる加盟店オーナーの掟
緑を増やすことで、担当地域を豊かにしたいという公共心がある。
常に人間力を磨いていこうとする向上心がある。
植物の知識を身につけようとする探究心がある。
取材・文 / 高嶋千帆子 撮影 / 刑部友康

Profile

1950年、熊本県生まれ。武道一筋の学生時代を過ごし、大学在学中に起業を決意。大学卒業後、もうひとつの夢だった国会議員の秘書に。77年、国土緑化株式会社設立。

社史
  • 【1977年】
  • グリーンレンタル事業、造園事業を主たる業務として国土緑化株式会社を設立
  • 【1984年】
  • 生花事業スタート
  • 【1987年】
  • フランチャイズ事業スタート
  • 【1997年】
  • 解体工事事業スタート
  • 【2009年】
  • フランチャイズ55店舗(3月現在)
  • 【DATA】
  • 本社所在地/本社所在地:東京都江戸川区中央2-1-21

植物の1カ月のレンタル料金は、1鉢当たりSサイズ(高さ30〜50cm)525円、Mサイズ(高さ60〜100cm)1575円、Lサイズ(140〜180cm)3150円。草花のレンタルも行っている。

バックナンバー
緑で日本を豊かにしたい。世のため、人のためになるビジネスは、不況でも確実に伸びるんです
国土緑化株式会社 代表取締役 堺 亜琉氏
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