トップが語る!「フランチャイズ成功の奥義」

トップが語る!「フランチャイズ成功の奥義」

クレバリーホーム

住宅も経営も、複数の柱で支えた方が長持ちするんですよ

株式会社新昭和 代表取締役社長 松田芳彦氏
金融不安から端を発した未曾有の不景気。不動産業界も例外ではなく、廃業する会社も後を絶たない。だが一方で最高収益を上げる好調な企業もあるのだ。今回はそんな会社を紹介する。
景気のいい時代には、歯がゆい思いもした

当社は千葉県君津市を本拠とし、2×4住宅の「ウイザースホーム」、在来工法住宅をフランチャイズで全国展開する「クレバリーホーム」、分譲マンション事業「パインズマンションシリーズ」、その他不動産流通業を手掛ける総合建設会社です。

創業から40年。千葉県内ナンバーワンビルダーになるまで成長しました。だからといって、その成長が急激なものであったかというと、そうではありません。ほんの少しずつ伸びてきたんです。それこそ、景気のいい時代には歯がゆい思いもしましたが、これほどの不景気にもかかわらず、2008年3月期最高益を計上するなど右肩上がりの成長を続けてきたのは、地元に根づき地域の人々からの信頼を第一に考えた、地に足の着いた経営方針のたまものだと思います。

当社の経営理念に「天我生(てんがせい)」というものがあります。「天が私に生を授けたのは、世の中が私を必要としたからだ」という意味です。これは企業という集団になっても同じだと考えています。

住宅は、衣食住のなかで最も高価な買い物です。それを安価で、しかも品質は変わらず手に入れることができれば、人々の暮らしは豊かなものになる。私の父、創業者の松田芳雄はそう考えました。それから現在に至るまで、当社は「高品質で安価な住宅」を提供することを使命だと考え、開発を続けています。

そこまで公開するなら、いっそフランチャイズに

不動産仲介業から始まった当社は、創業から5年経った75年に、2×4住宅の販売を始めました。2×4工法をベースに外観デザインや建材にこだわった、経年変化や災害に強い住宅です。当社が独自に開発した木造住宅なのですが、ノウハウを知りたいという同業の方が多く、視察にこられた方には、パネル工場や商品開発、原価構成など、できる限りオープンにお見せしていました。

そのうちに、「他社に公開するなら、いっそフランチャイズにした方がいい」と、経営コンサルタントの方からアドバイスをいただいたんです。そこで、当社のノウハウが役に立つならばと、フランチャイズ展開に踏み切った次第です。

もちろん利益を追求する意味合いもあります。「事業の柱はいくつか持っていたほうがいい。数本の柱で支えることで、安定経営が可能になる」。これが創業者の経営哲学でもありましたからね。

このような経緯で始めたフランチャイズ事業でしたが、実際に始めてみると2×4工法の住宅は技術の平準化・均一化が難しかったんです。そこで在来木造の「クレバリーホーム」を開発、フランチャイズ事業にこぎつけたというわけです。

材料原価は高いが、販売価格は安くなる

「クレバリーホーム」は、大手ハウスメーカー並の質を持った住宅を、ローコストで提供することを可能にしました。いちばんの理由は、住宅そのもの以外では原価や経費をかけていないため、利益率が高いからです。大手は全国各地に拠点があり、展示場などの大きな施設を設けていますし、その維持費だけでも大変なものでしょう。また多数の社員を抱えていますから、その給与を考えても相当なものになります。材料原価は高いのに、販売価格は当社の方が安くなるのはこのせいなんです。

また、商品のバリエーションが豊富なのも当社の特徴です。高価なものから安価のものまで、17シリーズ28タイプのバリエーションをそろえています。安価な商品だけそろえた方が原価効率はいいのですが、加盟店が大手販売店とも競えるよう、高価な商品もラインナップしているのです。

加盟店も複数の柱で安定経営を目指して欲しい

加盟店オーナーの方は、サポート体制が気になるところではないかと思います。スタート時には、スーパーバイザーだけでなく、技術指導や設計指導のスタッフもついて支援します。ですから、業界未経験の方でも開業可能です。また開店後には、スーパーバイザーが月1回以上訪問し、原価管理やコスト削減などのアドバイスをしています。さらに、本部からほとんどの建築資材を供給しますので、原価と利益を確定させることが可能です。

昨年春よりもうひとつのフランチャイズブランド「改装計画」も始動しました。加盟店オーナーの「顧客の増改築にも対応したい」という要望に応じて設立したものです。そしてもうひとつ、この新事業には「単独ではなく、複数の柱で経営を支えて欲しい」という本部の願いもこめられています。「何本かの柱で会社を支えてこそ、安定経営ができる」。創業者の考えにのっとっているのです。

こういう背景から始動後しばらくは「クレバリーホーム」の加盟店だけを対象にしていましたが、昨年9月からは、「改造計画」のみの加盟店オーナー募集も始めました。これは「増改築」の需要が今後も伸びるという目論見からです。

単にまい進するだけではダメ。周囲にも目を配ること

成功するオーナーの共通点は、地域に根ざし、顧客と深いお付き合いをしていける人。後はやはり熱意のある方でしょうね。商売に没頭する一途な気持ちを持った方が成功されているようです。ただし、単にまい進するだけではダメ。経営者は、周囲に細心の注意を払う意識を持っていないと足をすくわれてしまいます。それこそ、自分にとって不利益な話や聞きたくない忠言にも耳を傾ける意識がなければいけませんね。とはいえ、私も若いころはなかなかできなくて、父に叱られていましたが(笑)。

「稼ぐより潰れない会社」。当社はこの考え方をモットーに、堅実な経営をしてきました。これは加盟店でも同じです。この考え方を共有できる人と一緒に働いていきたいですね。

儲かる加盟店オーナーの掟
「稼ぐ会社ではなく、潰れない会社」をモットーに、堅実な経営ができる
1つの事業が軌道に乗ったら、もうひとつ柱となる事業を持つ意欲がある
不利益な話や聞きたくない忠言にも耳を傾ける意識がある
取材・文 / 高嶋千帆子 撮影 / 設楽政浩

Profile

1943年生まれ。スーパーマーケット経営を経て、70年に父・芳雄氏の有限会社新昭和住宅(現・株式会社新昭和)創業とともに入社。75年取締役に就任。83年専務取締役、88年代表取締役副社長、91年より現職。

社史
  • 【1970年】
  • 有限会社新昭和住宅設立
  • 【1975年】
  • カナダ工法による2×4住宅販売開始
  • 【1992年】
  • 株式会社新昭和に社名変更
  • 【1998年】
  • 「クレバリーホーム」発表 フランチャイズ展開開始
  • 【1999年】
  • 分譲マンション部門新設
  • 【2001年】
  • 「ウイザーズホーム」発表
  • 【2003年】
  • フランチャイズ100店達成

※現在、全国に69社109店舗をフランチャイズ展開(直営店除く)

  • 【DATA】
  • 本社所在地/千葉県君津市東坂田4丁目3番3号

「クレバリーホーム」は、千葉県君津市にある「君津総合住宅公園」で実際にみることができる。体験宿泊ができるのがウリ。

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