トップが語る!「フランチャイズ成功の奥義」

トップが語る!「フランチャイズ成功の奥義」

スリーエフ

関東エリア限定のコンビニ。地域密着の強みを最大限に生かすことが当社の戦略です

株式会社スリーエフ 代表取締役社長 中居勝利氏
出店エリアを首都圏に特化させた経営戦略で、飛躍的な成長を遂げたコンビニエンスストア「スリーエフ」。機動力を武器に打ち出した独自戦略とは。
地元と一体となるために、様々な企画を遂行

もともと「スリーエフ」は、「富士スーパー」というスーパーマーケットのコンビニエンス事業として始まりました。79年のことですが、当時、神奈川県で酒店などを個人経営していらっしゃる方々から業態変革をしたいという声が多数上がっていたんです。そこで、皆さんのお役に立てればとフランチャイズ事業を開始したというわけです。

その後81年に分社化し、(株)スリーエフとして独立。そういった経緯がありますから、企業理念には「小売業を通じて、地域社会のより豊かな暮らしと幸福のためにご奉仕すること」を掲げました。

地域と一体となったコンビニでありたい。言葉を掲げるだけでなく実現するために、我々はいろんな試みをしています。

例えば、2009年は創業30年目にあたる年ですが、ちょうど横浜開港150周年でもあるんです。そこで、横浜開港150周年記念テーマイベント「開国博Y150」の公式スポンサーをはじめ、横浜みなとみらいエリアを中心に催される様々なイベントをサポートしていきます。また、当社と同じく横浜生まれのアーティスト・ゆずとのコラボレーション企画や、ホテルニューグランドや霧笛楼など地元の老舗レストランと提携し、オリジナルメニューを作るといった試みも実施予定です。

観光にいらした方がふらりとコンビニに入った時、地元ならではの商品があったりすると楽しいでしょう。観光は横浜の経済の要ですから、こういった形で観光を盛り上げ、地域を活性化していきたいと考えているんです。

特に今年は不景気が懸念されていますから、海外旅行より国内旅行に目が向きやすくなるのではないでしょうか。横浜にとっても我々にとっても、チャンスの年だと考えています。

地元密着企業ならではの強みで勝負

世の中にコンビニエンスストアという形態が出てきて、約35年になります。当社は創業30年ですから後発なんですね。にもかかわらず、関東エリアだけで650を超える出店をするなど急成長を遂げました。その理由は、やはりリージョナル・チェーン(特定の地域に密着して出店するチェーン)であることを強みとしてきたからでしょう。コンビニエンス業界で、首都圏に特化してリージョナル展開をしているのは当社だけなんですよ。

商品企画もそうですが、物流やシステム面においても、リージョナル・チェーンならではの強みを生かした戦略を打ち出しています。

例えば、地元の安全な食材をいち早く取り入れたり、顧客のニーズをすばやく察知し、商品のラインアップに反映します。商品の数はナショナル・チェーンに劣りますが、ニーズに沿ってラインアップを素早く変更できる機動力は当社の強みです。

また、昨年12月には「Tカード」(カルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するポイントサービス)を導入しました。数あるポイントサービスの中からTカードを選んだのは、首都圏におけるTカードの所有率が高い数字(約1000万人、コンビニ利用者の約1/2が保有)を示したからなんです。レジでの即時無料発行などの戦略が奏功し、快調なスタートを切っております。

スキルを習得後、少ない資金で開業可能に

リージョナル・チェーンの強みを最大限に発揮するためにいちばんの課題となるもの、それは加盟店オーナーへの理念の共有です。そのため、当社では「独立研修社員」という制度を6年前から始めました。

これは、オーナー希望者を契約社員として採用し、3カ月から3年の間、実際に直営店で働きながら研修を行うというものです。企業理念をきちんと理解していただくことができます。

また、この制度を使って3カ月で独立した場合、開業時に285万円の支援金を提供するというインセンティブもあります。単身者など開業パートナーがいない場合には、開業時3カ月間を上限として、店長代行クラスの社員を安価に派遣する仕組みも設けました。これにより、優秀な方に早く独立してもらうことが可能になりました。

さらに、開業前の2週間はオペレーション経験豊富なトレーナーが専属で指導しますし、開業後も最低週2回、スーパーバイザーが訪問するなどサポート体制も充実させています。

店舗はスタッフ全員の成長の場であるべき

ただし、これらはあくまでサポート。やはりオーナーさんの心構えが売り上げを左右することは言うまでもありません。

一番大切なのは、もちろんお客さまへの感謝の気持ち。そしてもうひとつ重要なのが、店舗スタッフに対しても「おかげさまで」という感謝の姿勢があるかどうかです。

お店をスタッフみんなの成長の場だと思えるか。そのためには、オーナーさんもスタッフも働く目的を持っていなくてはいけませんよね。同時に、スタッフに一定の裁量に基づく役割を持たせることも必要でしょう。やらされ感ではいい仕事ができませんから。

加盟店のオーナーさんは、「独立した事業主」という立場から、発注など店舗経営に関するすべての決定権を持っています。しかし、お客さまに対して本部と共通の経営理念、営業方針に従い、ご奉仕していく限りにおいては、甘えは許されません。お客さまの信頼と感謝にこたえていくということに誇りを持ち、意欲を持って経営に取り組んでいただきたいと考えています。

儲かる加盟店オーナーの掟
地元が大好きで、地元やそこに住む人のために奉仕したいと思える。
店舗スタッフに目的を持つよう指導し、一定の裁量に基づく役割を与えられる。
本部に頼りすぎず、何事も最後は自分で決めるという意識を持つ。
取材・文 / 高嶋千帆子 撮影 / 刑部友康

Profile

1963年生まれ。86年金沢大学経済学部経済学科卒業後、三井信託銀行(株)入社。2000年、(株)スリーエフ入社。2002年取締役、2003年常務取締役、同年専務取締役に就任。2004年より現職。「独立研修社員制度」の考案者でもある。

社史
  • 【1979年】
  • 富士スーパー(現富士シティオ)のコンビニエンス事業部として発足。神奈川県横浜市磯子区に1号店を出店
  • 【1981年】
  • 株式会社スリーエフ設立
  • 【1982年】
  • フランチャイズ1号店出店
  • 【1989年】
  • 100店舗に拡大
  • 【1995年】
  • 400店舗に拡大
  • 【1997年】
  • 株式店頭公開
  • 【1998年】
  • 500店舗に拡大
  • 【2000年】
  • 東京証券取引所2部上場
  • 【2001年】
  • 株式会社サニーマートとエリアフランチャイズ契約をし、四国に出店
  • 【2008年】
  • 神奈川県を中心に東京・埼玉・千葉とエリアを広げ、665店舗に拡大(2008年2月現在)
  • 【DATA】
  • 本社所在地 / 横浜市中区日本大通17

ロゴマークにも意味がある。サークル型の緑は幸福で健康な生活を支える地域社会の連帯、ハート型の赤は豊かな暮らしに奉仕する心と情報発信のエネルギー、星型の青は豊かな未来への実現を表している

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