アントレ-資金計画の立案-実際に資金繰りを計画しよう

4.資金計画の立案

05実際に資金繰りを計画しよう

想像以上に時間がかかる売上回収

約束手形での取引をストーリーにするとこうなる。
ある年の1月4日、仕事に着手、それを3月10日に納品。同月末日に500万円の請求書を発行。翌々月の末日(つまり5月31日)に「120日手形」を集金。120日後の9月30日に銀行へ行こうと思ったら、あいにく土曜日。2日後の10月2日に銀行へ。事務処理を経て10月4日にやっと口座に入金。実に仕事開始から9カ月後。
こんなふうに収入の時期はズレる。しかもその間にも支払いは続く。外注先への支払い、毎月の給料や家賃、借り入れの返済など。ところが、あるはずの500万円は10月4日までない。とうとうやり繰りができず、帳簿は黒字のまま倒産。実際にある話だ。

先々まで「当月資金残高」を予測しよう

事業は、黒字でも赤字でも、資金さえあれば続けられる。どんなに赤字でも、借り入れをして資金を回すことはできるし、反対にどんなに黒字でも、手元に資金がなければ身動きできない。したがって収支の管理とは別に、いつ、どこから、資金が入ってくるかを管理しないといけない。それをシートに表した。このシートは後で結果を書き入れるものではなく、事前に入出金を予測して書き込むものである。その予測を書いてみて、表の最下段にある「当月資金残高」がマイナスになるようなら、資金の手当てをしないとまずい。もし、そうなったら取引先に予定より早く支払ってもらうよう依頼するか、現金払いやそれに近い支払い速度の仕事を別途急いで受けるか、あるいは支払いを待ってもらうか、どれもダメなら借り入れを起こす、などの方策を取らねばならない。
なお、独立当初は多くの場合、売り上げの回収ができていないのに、支払いが起きるため、資金繰りが苦しい時期である。したがって独立資金は全額を開業時に投下せず、数カ月先までの資金繰りを計画し、不足しそうな支払いのために一定額を残しておく必要がある。

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