「非営利」の意味を正しく理解しよう
NPO法人は、正式には特定非営利活動法人という。しかし、「非営利」という名称が誤解を生みやすく、起業・独立の受け皿として理解されていない面がある。いわく「事業をするのはダメ」「売り上げがあってはダメ」「黒字はダメ」「給料をもらうのもダメ」などなど。ちなみにこれらの「ダメ」は全部不正解。事業も売り上げも、黒字も給料もオーケーである。もっともNPO法人会計では、売上高や利益とは言わず、資金収入や資金残高などの呼び方をする。ただし、収入から支出を差し引いて余った資金を関係者で分配するのはダメ。会社組織でいう配当が禁止されている。実は、この残金の分配を目的としないことを「非営利」と呼ぶ。
社会貢献型事業の活動母体
NPO法人は、不特定多数の利益に貢献することに本懐がある。もっとも、不特定多数の利益という概念を難しく考えすぎないこと。計画している事業が「世のため人のためになる」と思うのなら、NPO法人、会社組織、どちらを選んでもいい。実際、NPO法人は、会社に近い事業活動が認められている。それを裏付けるのが税制。会費や寄付、補助金などの収入こそ非課税だが、事業所得には、会社に対する法人税と同じルールが適用される。要するに「経済的に自立して、社会貢献を果たそう」という趣旨だ。
ただし、NPO法人の活動は、表にある20分野に該当しなければならない。「世のため人のための事業だが、この分野に限定されてしまうと難しい……」と思う人もいるかもしれないが、大丈夫。本気で社会貢献事業を考えているのなら、その事業が20分野の語句とピッタリ一致していなくても「取り組みたい事業活動を“通じて”20分野のいずれか、または、複数に該当する」と考えればいい。
NPO法人20分野の活動
- 保健、医療、福祉の増進
- 社会教育の推進
- まちづくりの推進
- 観光の振興
- 農山漁村や中山間地域の振興
- 学術、文化、芸術、スポーツの振興
- 環境の保全
- 災害救援
- 地域安全
- 人権擁護や平和の推進
- 国際協力
- 男女共同参画社会の形成の促進
- 子どもの健全育成
- 情報化社会の発展
- 科学技術の振興
- 経済活動の活性化
- 職業能力の開発や雇用機会の拡充の支援
- 消費者の保護を図る活動
- 上記の活動に関する連絡、助言、援助
- 都道府県または指定都市の条例で定める上記に準ずる活動