事業運営
やっとスタート地点にたどり着いた。いよいよここから本番だ。
人生と同じで起業も山あり谷あり。
事前に、起こりうるトラブルや注意点を十分に把握・認識し、成功を目指してほしい。
Q076 |
人材採用面接の際の注意点を教えてください。 まずは、あなたの会社(事業)に「精神的支柱」と言えるような共通の価値観をつくることが大切。なぜか?人はそれぞれ異なった考え方を持つからです。必要なのは、これらの違いを有効活用できる体制をつくること。違いを強さにするためには、最低限の「統一」が必要。「価値観の共有化」がそれに当たります。価値観が定まれば採用時、それを徹底的に伝えることがカギ。同じ価値観を共有できる人が集まれば、素晴らしい組織ができあがるでしょう。 (羽根) |
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Q077 |
オーバーフロー気味ですが、仕事を断ると取引がなくなりそうで怖い。どうするべきでしょうか? 体を酷使してでも努力するべきか?体を壊すことを考えると仕事を断るべきか?どちらの答えも成り立ちます。大切なことは、どちらが正しいかではなく、その決断を自分でできるようになること。起業家にとって最も重要なことは、決断することです。決断は時に過ちでありうる。それを恐れる必要はありません。我々は神様ではないのです。大切なことは、最善の判断をし、成功しても失敗しても常によりよい状態を目指して、さらに一歩前に進むこと。その自己成長力があれば、仕事はいくらでもついてくるでしょう。 (羽根) |
Q078 |
給料以外に、スタッフのモチベーションをアップさせるためのいい方法はありますか? 仕事に「価値」を見いださせることが大切でしょう。仕事の価値は「給与」だけで決まるのではありません。その仕事がどれだけやる者にとって「意味」があるのかを確認することが重要です。私の会社では、採用時や重要なプロジェクトの開始前には、必ずその仕事を行う「意義」を従業員に確認しています。「その仕事は自分にとってどんな意味があるのか?」従業員は自分の言葉で自分の意義を関係者に伝える。これだけで従業員のやる気は変わります。 (羽根) |
Q079 |
設立間もない会社を狙う詐欺師がいると聞きました。どんな手口があって、その対策があれば教えてください。 調査会社を名乗り「御社と取引を望む会社から依頼されて来た。今後も顧客を紹介する」などとデタラメを言って会費を強要する手口や、商品を取り寄せて逃げてしまう取り込み詐欺などが代表的です。一番の対策は、すぐに面会しないこと。まずはインターネットなどで、相手の会社情報の詳細を確認することです。 (増田) |
Q080 |
黒字倒産を避けるためのいい方法はありますか? 売り掛けが多くなって入金がないと「黒字倒産」になりかねません。貸し倒れとならないような信頼できる顧客と付き合うことが第一。そういった顧客を確保してから事業を始めるべきでしょう。また、体力がつくまでは、金額は大きいが、支払いは3カ月後で約束手形という案件より、翌月に現金で支払われる小さな仕事を選ぶといった見極めも必要です。 (増田) |
Q081 |
バーを開業しました。近所へのポスティング、駅前でのビラ配りもしましたが客足がさっぱりです。どうすればいいでしょうか? 立地を再確認して、問題がなければ内装やメニューなどに強い特徴を打ち出して、あとは口コミに期待したいところ。また、「大人の隠れ家」など、インターネットで検索されやすいキーワードを使ってWebで発信するなど、PRにも一工夫加えてみてはどうでしょうか。 (増田) |
Q082 |
ある会社と取引したのですが、売掛金が振り込まれません。どのような対応をするべきですか? 状況を確認するためにも、まずは先方に足を運ぶことです。コミュニケーションは絶対に途切れさせないこと。支払日を約束し、1日でも遅れたらすぐに確認の連絡をしてください。また、一括ではなく分割にし、少しずつでも回収する方法も提案するべき。しかし、執拗に追いかけすぎるのは、時間的にも精神的にも大きなロス。金額によっては、見切りをつけて新しい仕事に集中した方が結局得になることもあります。 (増田) |
Q083 |
大手企業と取引をしたいのですが、個人事業では難しいでしょうか? 法人としか取引しないという内規を定めた企業もあります。その場合は、自ら会社を設立するか、知人の会社に頼んで受発注を仲介してもらうことが考えられます。先方がいい方法を教えてくれる場合もありますので、まずは交渉してみてください。 (増田) |
Q084 |
どうしても落としたい顧客ではあるのですが、初めての取り引きだからと、大幅な値引きを強要されています。 先方に「すごい」と言わしめるような商品・サービスであれば、今後の取引継続が期待できますので、将来投資として最初は安い価格で応じることもアリでしょう。その際、2回目以降は正規の料金を支払ってもらう約束をしておくことが重要です。 (増田) |
Q085 |
行政書士事務所を開業しました。女性で若手ということで信用してもらえず、営業が難航しています。打開策はありますでしょうか? 行政書士が扱える業務は多岐にわたっていますので、建設関係に強い、交通事故処理に強い、などの得意分野を持つと実績をPRできてよいでしょう。また、自分だけでは対応できない範囲の仕事も多々ありますので、異なる士業間でネットワークを組んでおくと、お互いに仕事の紹介をし合えたり、共同でPRができるなどのメリットが期待できます。 (増田) |
Q086 |
業務委託契約って、どういうものなんでしょうか? 仕事ごとに請け負う契約です。一つ一つの仕事の完成に対して対価を約束するのが趣旨ですから、仕事をする・しないの自己決定ができるメリットがあります。一方、雇用契約はその人の所属を包括的に定めるもので、仕事の決定権は雇用側にあるところに大きな違いがあります。 (野村) |
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Q087 |
資金繰りが重要ってよく聞きますが、それって何をどうすればいいのですか? 会社を経営していくうえで重要なことの一つに、お金の管理があります。商品を仕入れるためにもお金が必要ですし、優秀なスタッフなどに支払う給料にもお金が必要です。また、利益が出ているのに倒産する黒字倒産も考えられなくはないのです。将来予想される支出や事業規模拡大のために必要な資金を計算し、現在の手元資金と比べて不足している場合は、その資金を調達しなければなりません。調達できなければ、規模を拡大できなかったり、また支払い不能で倒産することもあります。つまり、資金繰りとは現在の手元の資金と将来必要とされる資金を計算し、資金不足によるリスクを回避することなのです。 (平田) |
Q088 |
一般的に、スタッフの給料ってどのように決めるものなのですか? 同業他社の従業員給与などを参考にして決めればいいのでは。方法としては、求人広告で調べる、社会保険労務士に聞く、などがあります。 (平田) |
Q089 |
手形や小切手での取り引き実務がまるでわかりません。 基本は受けない、振り出さないを原則に。うかつに使い始めるとくせになるし、なによりも危険性が高い。 (平田) |
Q090 |
経営者として常に把握すべき数字にはどのようなものがありますか? 売上高、原価、粗利益、経費、そして経常利益。また資本や負債、資産も把握しておくべき。起業直後は、経営者がすべての数字をチェックしておくべきだと思います。 (平田) |
Q091 |
消費税申告の必要があるのはどんな事業者ですか? 課税売上高が1000万円を超える事業者は消費税の課税業者になります。法人の場合、消費税の課税業者になるかどうかは2期前の課税売上高で判断 されます。その2期前のことを基準期間といい、その期間の課税売上高が1000万円を超えていたら課税業者になるわけです。 ちなみに個人事業者の場合の決算期間は1月1日から12月31日となります。 (アントレ編集部) |
Q092 |
取引先との打ち合わせの際、3000円以上の飲食代は、交際費になるというのは本当ですか? 会議や商談などに伴って茶菓や弁当などの飲食物を出す時に通常要する費用は、交際費にならないことになっています。この、通常要する費用の基準として、1人3000円程度という考え方がありますので、その基準に当てはめれば、通常の範囲を超えるということで、3000円以上の飲食代は交際費になります。 (平田) |
Q093 |
会社が個人事業主と仕事をし、その対価を支払う場合、必ず源泉徴収をしなくてはならないのでしょうか? 個人事業主のうち、法律によって定められた者(税理士など)に支払う対価については、源泉徴収をしなければなりません。しかしそれ以外の者に支払う対価については、源泉徴収の必要はありません。また、これは会社が支払う場合にのみ適用されるものではなく、個人事業主が個人事業主に支払う対価についても同じ取り扱いになります。 (平田) |
Q094 |
うちの会社はスタッフの労働時間が不規則です。リスクを避けるためにケアしておくべきことを教えてください。 労働基準法で、実労働時間は平均1日8時間、週40時間を超えてはならないと定められています。ただし、月の前半は暇で後半が忙しいといった事情を考慮し、1カ月単位・1年単位の変則シフトを組むことも可能。詳細は社会保険労務士に相談を。 (佐藤) |
Q095 |
採用したスタッフが気に入らない場合、クビにしてもいいのでしょうか? 労働基準法には、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会理念上相当であると認められない場合は、この権利を濫用したものとして、無効とする」とあります。また、客観的に合理的な理由があっても、「使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日以上の平均賃金を支払わなければならない」とあります。気に入る・気に入らないというレベルで解雇することなど、到底認められません。 (佐藤) |
Q096 |
取引先として考えている会社の経営状態がよくわかりません。どういった調査ができますか? 基本的には、相手先の会社から説明を受けたり、会社のパンフレットやホームページを見るのが原則ですが、裏づけとして会社の商業登記簿謄本を取ること、帝国データバンクなどの信用調査会社の調査報告を取得することなどが考えられます。商業登記簿では会社の設立時期、役員の氏名・住所、資本金、業務内容などがわかります。実際に、会社と名乗っているものの会社でなかったといった事件もありますので、商業登記簿を取ることは基本です。信用できる信用調査会社の調査報告からは、その経営に関する重要な情報が得られる可能性があります。 (川村) |
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Q097 |
居酒屋を経営しています。ヤクザっぽい人から用心棒料のようなものを払えと言われています。やはり断るべきですよね? 用心棒料は、暴力団やその関係者の資金源となりますので、支払うべきではありません。相手はこちらの弱みにつけ込んで違法な金銭要求をしてくるのが通常なのですが、こちらが違法な行為やつけ入られるような弱みがないのですから、正々堂々と拒絶すべきです。 (川村) |
Q098 |
何かのトラブルが起こった時のために、顧問弁護士を探しています。どのくらいの費用が必要でしょうか? 弁護士の報酬は個々の弁護士が自由に定めることができますので、一概には言えませんが、基本的には企業の売り上げ、利益、業種、相談・依頼の種類・量、弁護士の経歴や専門性などを参考に決めることが多いと思います。起業したての企業では顧問料として4万円前後が考えられ、場合によっては1万円ということもありうるかもしれません。 ただ、顧問料の範囲でどの程度の相談・依頼ができるのかは、弁護士によって違います。法律相談に対し顧問弁護士が口頭で回答した場合は顧問料以外の料金はかかりませんが、文書で回答した場合には別途料金がかかるといったこともありますので、よく確認してください。 (川村) |
Q099 |
もしも、会社を倒産させてしまった場合、代表取締役以外の役員も責任を負うのですか? 会社を倒産させてしまった場合であっても、株式会社であれば原則的に代表取締役も含めた役員は責任を負いません(例外的に、役員が違法なことをした結果、会社を倒産させたりした場合は、商法により第三者に対する責任が発生したり、破産や民事再生手続きの中で責任を追及されることはありえます)。 ただ、通常、銀行が会社に融資する際に、代表取締役個人の連帯保証を求められます。その場合には、会社の倒産とともに代表取締役個人の連帯保証人としての責任が当然問われることになりますが、連帯保証人になっていない役員には責任は発生しません。 (川村) |
Q100 |
レストランを開業します。営業上、加入しておくべき保険ってありますか? いくつかの損害保険会社から、飲食店向けに火災や食中毒などを起こした際の賠償、休業補償などを補償する保険が販売されています。管理に全力を注ぐことが一番ですが、もしものことが起こった時のためにも加入しておいた方がいいでしょう。 (アントレ編集部) |
回答者プロフィール
- 佐藤芳子
- 社会保険労務士
- 平田 治
- 税理士
- 野村 滋
- (株)コンテンツ・ファクトリー
- 代表取締役
- 川村篤史
- 弁護士
- 羽根拓也
- (株)アクティブラーニング
- 代表取締役
- 増田紀彦
- (株)タンク
- 代表取締役