退職時
ヒト・モノ・カネ、起業するために最低必要な武器は、入念に計画してそろえる必要がある。
何事も計画する時が一番楽しい。
決して後ろ向きにならず、成功するための計画を立てよう。
Q026 |
すごい事業アイデアを思いついたのですが、競合の存在が不安です。調査する方法はありますか? 競合を完全に防ぐことは不可能だと考えた方がいいでしょう。仮に今、競合がいない分野で独立したとしても、あなたのビジネスが本当に優れていれば、将来、必ず、マネをするところが出てくるはずです。では特許を取ればいいのか? 特許を取ってもマネをするところは出てきます。独立後は、高額な費用がかかる訴訟を戦いぬくだけの資金的余裕などありません。1つの優れたアイデアで勝負するよりも、常に新しいアイデアを生み出し続けられる力を持つ。こちらに全力をかける方が、はるかに生産的ではないでしょうか。 (羽根) |
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Q027 |
競合が多く存在する市場で勝負することになりそうです。基本的な差別化戦略を教えてください。 差別化を行ううえで重要なことは、「自分の強み」を徹底利用するということです。誰しもが自分にしかない強みを持っているのです。ただ、多くの人はそのことに気づいていません。例えば、私は奈良県出身です。あなたがそうでないのなら、それだけでこのことが私の「強み」になります。というのは、私の頭の中に入っている、奈良県民ゆえに知りうる情報を徹底利用するだけで、あなたには思いつくことができないビジネスチャンスを導くことができるからです。つまり、思いつき自体の差別化で勝負するよりも、自分の中に眠っている「他者との差異」をいろいろと組み合わせる。これが差別化のコツなのです。 (羽根) |
Q028 |
実際に起業した人に話を聞いてみたいのですが、周りにそのような人がいません。いい方法はないですか? あなたのまわりにもいますよ。たくさん! 誰にでもできる簡単な裏技を教えましょう! 自分の住む町にあるレストラン、ヘアサロン、花屋さんなどで、お客が多い、内装が素敵など、見習いたいお店を訪問します。そして商品を何か1つ買い、オーナーらしい人を見つけ、次のように尋ねます。「ステキなお店ですね」。その後、お客であるあなたが聞く質問に対して、オーナーは基本的にどんな質問にも丁寧に答えてくれます。私自身、起業前、この方法で多くの「起業家」のお話を聞くことができました。ただし、忙しい時は避けるというマナーは忘れずに! (羽根) |
Q029 |
雑貨店を始める予定です。立地調査ってどんなことをすればいいんでしょうか? 立地調査の第一歩は、顧客ターゲットとなる人の流れを詳しく把握すること。そのための通行量調査は、適当な時間に1時間程度やれば済む、というものではなく、朝・昼・夜の時間帯別、曜日別、できれば季節別に行う必要があるのです。例えば、学生街などは春休みや夏休みの時期は閑散とします。また、朝は目的地に向かって大量の人が目の前を通っても、帰りは時間帯もルートもバラつく場所もあるのです。加えて、気をつけておきたいのは、周囲に集客上、マイナスとなる要素はないか、ということ。女性向けの雑貨店なら、付近に風俗系の店などがある立地は絶対に避けるべきです。 (増田) |
Q030 |
事業計画書って、やはりつくっておいたほうがいいのでしょうか? 事業計画書を作成するメリットは多いので、簡単なものでもつくっておいた方がいいでしょう。まず、金融機関に融資を依頼する場合は絶対に必要になります。仕入れ先などのパートナーや顧客に対して、あなたの事業を説明する資料にもなります。また、自分の事業運営のシナリオとすることで、スタート後に事業の進み具合を点検することにも役立ちます。そもそも、事業に矛盾や詰めの甘さがあると、いざ書こうとしてもうまくは書けません。つまり、事業自体の「バグ」を発見することができる、という機能もあるのです。 (増田) |
Q031 |
事業計画書にはどのような項目を用意するべきなのですか? 「6W2H」を心がけてください。まず、「なぜ」「どんな事業を」「どこで、誰を顧客に」「どうやって」行うのか、という基本構想を。いずれも、人に事業の魅力が端的に伝わるような内容を目指してください。そのうえで、「いつから」「誰が」「どのくらいの資金で」行うのか、という実施計画の項目を考えるとよいでしょう。 (増田) |
Q032 |
小資本で独立したいです。心構えと考え方を教えてください。 まず、「安かろう悪かろう」で弱い事業にならないように注意してください。資金をかけずに競争力を高めるには、人と同じやり方をしないアイデアが必要です。例えば、水回り設備やパーマの廃液処理にかかる費用を排除できることに着目し、「事務所物件を利用したカット専門の低価格美容院」などは好例ですね。あと、重要なのは、運転資金をきちんとキープしておくこと。売掛金の回収が遅れたり、予期せぬトラブルが起こるなど、急に現金が必要になることがままあるからです。そのためにも、開業時にかける資金はなるべく節約しておくべきなのです。 (増田) |
Q033 |
起業したら会社を設立する予定です。いろんな種類がありますが、事業によって向き不向きがあるのでしょうか? 多額の資金が必要ならば、株式会社。対外的な信用度が高く、法的にも出資者数は無制限、上場して資本市場から資金調達も可能です。それ以外はどの会社形態でも大差はありません。また、会社設立には印紙代や印鑑代などの費用がかかるので、個人事業ですむものを無理に法人化する必要はないと思います。 (増田) |
Q034 |
起業する気は満々なのですが、何をしようかまだ決めてません。アイデアを生み出すためのオススメの方法を教えてください。 例えば、「既存の要素を合体させる」という方法があります。全く関連性がない2つのものに共通点が見つかった時に、事業アイデアが生まれることは多々あります。日頃から、パッと目に入ったもので練習するとよいでしょう。例えば、コーヒーとパソコンを掛け合わせて、「パソコンが使えるコーヒーショップ」という事業が考えられる、といった具合です。もっとも、とあるものを見ても、それが具体的に何なのかわからなければアイデアのタネにはなりませんし、たくさんのものの中から組み合わせないと斬新なアイデアにはならないと思います。ですから、情報収集と勉強は欠かさないことです。 (増田) |
Q035 |
事業計画書はやはり専門家に見てもらった方がいいのでしょうか? その方がいいと思います。人に見てもらうことで客観的にチェックすることができ、自分では気づかなかった欠点を修正できるメリットがあるからです。ドリームゲートでも専門家のチェックを受けることも可能ですから、相談してみてください。 (野村) |
Q036 |
事業プランコンテストに出るべきか悩んでいます。アイデアが盗まれる心配はないでしょうか? その心配は確かにあるでしょう。しかし、私見ですが事業はアイデア1割、実行力9割。自分一人では限界もあります。コンテストなどの場では、あなたのアイデアを応援し、その実現に力を貸してくれるような人に出会えるなど、ネットワークが広がる可能性もあります。利用する価値はあると思います。 (野村) |
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Q037 |
LLPってどんな事業体のことですか? LLPの正式名は「有限責任事業組合」。05年8月に施行された「有限責任事業組合契約に関する法律」に基づく事業体です。 法人ではありませんが、さまざまな法的権利を持つ組織で、最大の特徴は「構成員課税」と呼ばれる課税方式にあります。LLP自体には 課税されず、出資者が利益分配を受けた場合のみ課税される方式です。会社設立に比べると設立手続きも簡易です。 (アントレ編集部) |
Q038 |
商品や価格のサービスはどのようにして決めればよいのですか? 2通りの決め方があります。まず、原価に必要な利益を乗せる方法。商品が売れれば儲かりますが、よほどの価値がないと売れません。もう一つは、消費者の感覚や競合の存在を考慮して決める方法。価格を先に決めて、その上で利益が出るように原価やオペレーションを工夫します。この場合、競合との価格競争に巻き込まれないように注意が必要です。 (野村) |
Q039 |
銀行から開業資金の融資を受けようと思っています。どうすればいいですか? しっかりした事業計画書をつくって、銀行の門をたたくしかありません。しかし、銀行に、リスクが高く効率的ではない起業資金を融資してもらうのはハードルが高い。確実に返済できることを証明する担保も求められます。オススメは国の金融機関。日本政策金融公庫では、無担保・無保証人で融資を受けることができる制度もありますので、相談を。 (野村) |
Q040 |
日本政策金融公庫からの上手な借り入れの仕方を教えてください。 しっかりした事業計画と、事業にかける思いを明確にしておくことです。また、必要資金の半分程度は自己資金で用意しておいたほうがよいでしょう。そのほうが、事業にかける思いも伝わりやすいからです。 (野村) |
Q041 |
自治体も開業資金を融資してくれるって本当ですか? 本当です。女性向け、高齢者向けなど、独立融資制度を持つ自治体は多いです。まずは居住地を管轄する役所に問い合わせてみましょう。 (野村) |
Q042 |
借り入れの際に、保証人が必要と言われました。どういう人に頼むのがいいですか? 融資する側に「いざという時に回収できる」と思わせる人です。親や兄弟などの身内なら、責任共同体として評価されると思います。知人に頼む場合は、社会的な信用力、財力がある人がよいでしょう。ただし、いざという時には迷惑をかけることにもなりますので、リスクをよく考えて依頼してください。 (野村) |
Q043 |
融資審査担当者はどのようなポイントを重視するのですか? 「返済できる人かどうか」という1点に尽きると思います。必死になって働いて返す、信頼に足る人かということと、事業計画がしっかり考えられているかがチェックされるでしょう。あなたがお金を貸す立場だとしたら何を重視するか、考えてみればおのずとわかるのでは。 (野村) |
Q044 |
フランチャイズに加盟して独立する方法もあると聞きました。メリットとデメリットを教えてください。 フランチャイズとは「事業成功のパッケージ」。ブランドや知名度、事業ノウハウ、安定した仕入れ先などを未経験者でもすぐに利用できるところに最大のメリットがあります。一方、デメリットはその裏返しで、システムを逸脱することができない。自分の考えを打ち出して、すべてを自由に事業を展開したい人には不向きだと思います。 (野村) |
Q045 |
売り上げ予測、利益目標って、どのように算出するのですか? まず、市場調査を行い、顧客数および客単価を想定し、売上金額を予測します。経費については、変動費を売り上げ予測に応じて、固定費については必要な金額を算出します。そして、売り上げが必要経費とクロスする損益分岐点を算出。それを起点とし、売り上げ目標と利益目標を設定してください。 (平田) |
Q046 |
自宅でSOHOを始めます。家賃や光熱費ってどの程度経費として認められるのですか? 家賃については、業務で使用しているスペースを按分して計算します(自宅の3分の1を業務で使用していれば家賃の3分の1が経費)。光熱費は、まず、月ごとの変動金額を事業開始後の増加部分とその他に分け、増加した割合が経費になります。その割合で事業開始後の固定金額分を算出し、変動金額および固定金額の増加分の合計金額が経費となります。しかし、家賃同様、使用頻度を自分で算出し、その割合で経費額を算出する方法もあります。 (平田) |
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Q047 |
出資を受ける際の注意点を教えてください。 あなたが経営権を維持したいのであれば、49%を超える出資を受けないこと。会社は出資者のもの。そのことを忘れてはいけません。 (平田) |
Q048 |
運転資金って絶対に用意すべきものですか? 運転資金を用意せずに開業することは、食糧を持たずに太平洋横断旅行にでかけるようなもの。ですから、できる限り運転資金を確保しておくことをお薦めします。運転資金がなくチャンスを逃してしまったというケースもよく耳にします。 (平田) |
Q049 |
起業後、自分の給与を決める目安がよくわかりません。 高すぎず低すぎず、同業他社の金額を参考にして、一般的な金額で決めればいいのではないのでしょうか。また、努力目標として、少し高めの給与を設定するのも一つの方法です。 (平田) |
Q050 |
返済の必要がない助成金というものがあると聞きました。どのような種類があって、どこに問い合わせればいいですか? 主に「中小企業雇用管理改善助成金」と「中小企業基盤人材確保助成金」があります。前者は、「都道府県の認定を受けた改善計画に従い、環境整備事業または、職業相談者配置事業のいずれかに該当する雇用管理の改善に関する事業を行い、併せて、労働者を雇い入れた場合に、当該事業に要した費用の一部を助成する」もの。後者は、「創業や新分野進出等の経営基盤の強化に資する労働者を雇い入れた場合に、当該基盤人材の賃金に相当する額の一部を助成する」というものです。申請手続きは社会保険労務士にご相談ください。 (佐藤) |
回答者プロフィール
- 佐藤芳子
- 社会保険労務士
- 平田 治
- 税理士
- 野村 滋
- (株)コンテンツ・ファクトリー
- 代表取締役
- 川村篤史
- 弁護士
- 羽根拓也
- (株)アクティブラーニング
- 代表取締役
- 増田紀彦
- (株)タンク
- 代表取締役