お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた! |
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。 |
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手染メ屋 の場合 |
“服好き”ゆえに、就職先にアパレルメーカーを選んだ青木さん。商品開発の仕事にかかわるうち、「いつか自分の服をつくってみたい」という思いが自然と芽生え始めていた。 染織に出合ったのは、アパレルメーカーでの仕事がきっかけ。エコロジーがコンセプトの新ブランド開発を進めるため、青木さんは天然素材の染織工房を訪れる。それが、のちに転職することとなる「益久染織研究所」だった。 「もともと僕は、色あせた独特の雰囲気を持つ古着が好き。工房で、天然染料で染めた布を見た時、その色合いに、どこか古着と似たものを感じひかれていきました」 以来、青木さんは時間があれば工房に通い、次第に染織を本業にしたいと思うようになる。職人になるべく会社を退職、益久染織研究所に転職したのは32歳の時。 それから1年半後、青木さんは、早くも染職人として独立を決意する。染織の技術や知識を深めていくうちに、 「自分の染め場を持ちたい。自分が着たい洋服に染めてみたい」という思いが高まっていったのだ。 当初は、工房用の物件を持ち、商品はインターネットで販売するつもりだった青木さんだが、現物件と出合ったことで方針変更。工房兼店舗として開業することを決めた。そうして、会社員時代から描いていた「自分の服をつくりたい」という夢が、いよいよ実現する時を迎えた。 |
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色にこだわり、差別化した商品づくりに成功
京都御所にほど近いエリアにある、築70年の味わい深い洋館の2階。急な階段を上ると、仕切りがあるわけではないが、店舗は右に、工房は左にとコーナー分けされている。お客は、工房の様子をのぞくこともでき、店舗と工房が、ほどよく共存している。 扱っている商品の中心は、半袖と長袖のTシャツ。種類は、キッズサイズ(4900円〜)と男女兼用の大人サイズ(6900円〜)の2種類。タグには、柘榴、柿渋、茜……と、使用した染料の名前が書かれている。天然染料だからこそのなんともやさしい、独特の色合いのTシャツ。しかも、オーガニックコットンの生地だから、肌触りもやさしい。 ただし、青木さんが化学繊維の生地を使わないのは、エコロジーという発想からではない。出したい色が出せる生地を探し求めていったら、それがたまたまオーガニックコットンだったというわけだ。 「今の生地にたどり着くまで、開業時から4回も変えました。これを超えるものはないと思う。世界一染めやすい生地です(笑)」 こうして、青木さんがこだわり抜いて染め上げたものが、そのまま店頭に並べられている。だから、ここのTシャツは、この店でしか買えないものだ。 そんな青木さんのTシャツを求めて、お客は全国からやって来る。そのほとんどが、まずホームページで「手染メ屋」の存在を知り、次に実際に店舗を訪れ、常連になっていくのだという。旅のついでに立ち寄りやすい立地が功を奏しているのだ。 「京都にリアルショップを持てたことは、本当によかったと思っています」 |
店舗とネットの両軸で売り上げは毎年着実にアップ
現在、経営は順調だが、開業した年の年商は150万円、家賃と仕入れ費を払ったら利益が残らない額だった。営業期間が5カ月しかなかったことを考えても、かなり厳しいスタート。 「いったいどうやって生活していたのか、今はもう思い出せません(笑)」 それでも、売り上げは毎年着実に伸び続け、なんとか食べていけるようになったのは、年商800万円を超えた3年目。そして開業5年目の昨年度は1800万円! ほかにはない独特の商品を、実店舗とショップ機能付きの充実したホームページの両軸で販売していることが大きな理由の一つだろう。しかし、青木さんはこう分析する。 「僕の仕事は、自分が好きなものをつくり、それを気に入ってくれる人に届けること。だから、自ら売り込んではいかない。好きなことにうそをつかず、やり続けるだけです。その姿勢が、結果的にお客さんを呼び込んでいるのだと思う。好きなものをつくって、それについて説明したり、文章を書いたり。どの過程にも僕の中では矛盾がない。それがお客さんに伝わって、お客さんがお客さんを呼んでくれるのだとも思っています」 心からよいと思えるものをつくる。そして、そのよさを自分の言葉で発信し続ける。青木さんの染職への情熱は、直接会えばもちろんのこと、パソコンの画面を通してでも、真っすぐ伝わってくる。商売の原点を決して見失わないその強い姿勢こそが、「手染メ屋」の支柱となっているのではないか。 |
■オープンまでの経緯 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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