アントレ-個人事業主のための税金ガイド-必要経費をしっかり理解しよう

10.個人事業主のための税金ガイド

04必要経費をしっかり理解しよう

「収入を得るため」に必要とした費用のこと

必要経費とは、事業所得の総収入金額に対応する売上原価や、その総収入金額を得るために直接要した費用、または、その年の販売費や一般管理費のこと……。といってもわかりにくいだろうから、左下の一覧表を参照してほしい。つまり、収入を得ることを目的に、直接・間接に要した費用のことで、詳細は、当然、業種によっても違ってくる。
また必要経費に関する情報は国税庁が運営している「国税庁タックスアンサー」というサイトでも収集できる。トップ画面で「所得税」を選び、さらに「事業主と税金」を選べばOKだ。

必要経費不算入、つまり認められないものは何か

同一生計の家族へ支払った給与や家賃、利息などは原則不可。家事のための費用や衣食住の費用、教育費などもダメ。ただし青色申告者が青色専従者に対して支払った給与は全額OK。
また、所得税、住民税、贈与税、相続税などの支出も必要経費にはならない。交通反則金、税金の延滞税や加算税、住宅ローンの利子なども無理。なお、自宅を一部事業用に使っている場合は按分計算で、一部が必要経費に認められる。

交際費は認められる?金額に限度はある?

法人と違い、個人事業主には交際費の限度額がなく、全額が必要経費になる。もちろんプライベートな飲食代などは除かれる。ただし、個人的な付き合いと仕事上の付き合いの両方がある人との間での出費もある。それを税務署に必要経費と認めさせるには、領収書を保管し、相手や内容、目的などをちゃんと残しておくことがポイントだ。

領収書は記名が大前提!「上様」はなるべく避ける

帳簿のもとは売り上げや仕入れ・経費に関する請求書、発注書、領収書などの証憑(しょうひょう)だ。領収書を受け取るときは、「上様」ではなく、自分の氏名や屋号を書いてもらうのが原則。また、記名のないレシートでも、ないよりはいい。また領収書が出ない交通費や慶弔金などは、メモ用紙か出金伝票に明細を記載すれば大丈夫だ。

先輩たちの実例情報

正確に記録すれば、領収書のない飲み物代も経費に計上できますよ

打ち合わせでカフェをよく使います。相手が後輩なら自分がおごって、領収書をもらいます。でも、仲間とワリカンにした時、どうするか悩んでいました。互いに遠慮して、誰も領収書をもらわないんですよね。そこで試しに領収書はないけど、いつ、誰と、どこで、いくら、何のために使ったかを詳細に記録して会議費に計上したら、必要経費として認められました。これ、けっこうデカイですよ。(Webデザイナー・25歳)

撮影機材を仲間と共有したら「資産」が「経費」になりました

最初は仕事上の出費なら、何でも必要経費になると思っていて、50万円以上する超望遠系レンズなどを購入。ところが10万円(08年3月31日までは30万円)を超えると「経費ではなく資産だ」と言われ、結局、高い税金を納める羽目に。その失敗を教訓に、友人と共同オフィスにしてからは、新しく買う機材は彼と共有するということで領収書を分割してもらい、できる限り、ひとり当たりの支出が10万円を超えないようにしている。(フォトグラファー・41歳)

主な必要経費

勘定科目 内容例
売上原価 販売した商品の仕入れ代金や製造原価
賃借料 家賃、共益費、OA・事務機器や事業用の自動車のリース代
水道光熱費 電気・ガス・水道使用料
旅費交通費 通勤費、交通費、ガソリン代、有料道路代、駐車料金、出張旅費
事務用品費 文具、フロッピー・MO・CD-ROM、電池、トナー、コンピュータソフト、コピー用紙
消耗品費 名刺、蛍光灯、トイレットペーパー、洗剤、清掃用品
交際費 接待飲食費、中元・歳暮、取引先慶弔見舞金
広告宣伝費 新聞・雑誌の広告掲載料、看板代、カタログ・試供品・チラシなどの費用
通信費 電話料金、切手・はがき代、プロバイダ利用料金
支払手数料 振込手数料、税理士・会計士・弁護士などへの報酬
保険料 火災保険、施設賠償責任保険、事業用の自動車保険
修繕費 建物・機器、事業用の自動車などの修理費
租税公課 印紙税、事業用の自動車税、登録免許税、固定資産税
会議費 会議・商談・打ち合わせのための会場代や飲食代
新聞図書費 書籍代、雑誌代、新聞代、マニュアル代
運賃・荷造費 宅配便・バイク便などの運賃、荷造りに必要な用品代
利子割引料 事業に対する借入金の利息、受取手形の割引料
給与 従業員給与
専従者給与 家族への給与(事前に届出が必要)
福利厚生費 研修費用、従業員慰安旅行、従業員慶弔見舞金、健康診断費用、従業員用お茶・コーヒー代
法定福利費 従業員の健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料
減価償却費 建物・機械・自動車など固定資産がある場合の事業用分
雑費 上記の勘定科目に当てはまらないもの

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