アントレ-個人事業主のための税金ガイド-そもそも確定申告ってなんだろう?

10.個人事業主のための税金ガイド

02そもそも確定申告ってなんだろう?

10種類の所得区分がある所得税の仕組み

所得税は個人の所得に対してかかる税金。所得は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得に分かれ、その性質によって収入や必要経費の範囲、所得の計算方法などが違ってくる。理解の第一歩は、自分の該当する所得の計算の原則を知ることだ。

「申告納税制度」の基本を理解しよう

確定申告とは、文字どおり自分で所得税を確定させること。ではどうやるか?1月1日から12月31日までの1年間の売り上げ(総収入)から仕事上で必要とした費用(必要経費)を控除して、まず所得金額を算定。この所得金額から、生命保険料控除や扶養控除などの所得控除の金額を控除して課税所得金額を割り出す。これに税率を掛けると所得税が算出できるのである。
所得状況をもっとも知っている納税者自身が、税額を計算し、納税するこの方法を申告納税制度という。一方、住民税など役所からの税額通知により納付する方法は賦課課税制度という。

個人事業主になったら、「開業届」を必ず提出!

法人を設立せずに事業を始める場合は、税法上「個人事業主」という分類になり、開業1カ月以内に「個人事業の開廃業等届出書」を納税地の税務署に届け出る義務がある。その際に青色申告の申請を行う人も多い。「青色申告承認申請書」は、その年の1月15日までに事業を開始した場合はその年の3月15日まで、それ以降に開始の場合、事業を開始した日から2カ月以内に提出しなくてはならない。

事業所得の計算はどうやって行う?

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生ずる所得のことであり、独立して個人事業主になった人が得た所得は、おおむねこの事業所得だと考えていい。
事業所得は、前でも触れたように総収入から必要経費を引いて算定する。総収入とは、1年間に事業で得たすべての収入で、商品の売り上げ、報酬(ギャラ)などのほか、各種の雑収入なども含まれる。なお必要経費については262ページで詳しく説明する。
一方、本業とは別に講演や原稿などで収入を得た場合は、事業所得ではなく雑所得となり、その収入を得るための経費も雑所得で計算するので事業所得の経費にはならない。注意しよう。

有利な節税方法には諸届けや申請書が付きもの

「開業届」や「青色申告承認申請書」のほかにも、各種の届出書や申請書がある。それらの中から自分の事業スタイルに合った届出を行うことで、節税につながる場合もある。
「青色事業専従者給与に関する届出書」は、青色申告者が事業に従事する家族に支払う給与を、必要経費として認めてもらうための書類だ。申請期限は前で説明した「青色申告承認申請書」と同じ。家族または使用人に給料を支払っている場合は「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する。
また毎月、源泉徴収した所得税は翌月10日までの納付が原則だが、給与の支給人員が10人未満の事業所の場合は、「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すれば、7月10日と1月20日の年2回、まとめて納付することもできる。これは申請した月の翌月末から承認される。

早く申告すれば、還付金も早く戻ってくる

確定申告は毎年、2月16日から3月15日までの間に行うものだが、還付申告に関しては1月から可能。ところが、還付申告の場合でも多くの人が3月に入ってから申告に訪れるという。当然、税務署は膨大な作業をすることになり、還付金が入金されるのも遅くなる。早い時期の還付を望むなら、税務署が込み合う前に申告を済ませておくこと。また、還付の場合は3月16日以降も受け付けてくれる。特に急がない場合や、相談ごとがある場合は、そのタイミングに出かける方法もある。

先輩たちの実例情報

確定申告無料相談会を利用して初年度の申告をクリア

独立初年度の、いよいよ確定申告という時期のこと。少しでも出費を抑えたいと思い、申告書の作成を税理士に依頼せず、自分でやることにした……が、難しい。そんな時、地元の近くの駅で「確定申告無料相談会」の垂れ幕を発見。そこに税理士がいて、そのとおり無料でアレコレやってもらえた。翌年から青色申告にしたら、税理士が自宅まで無料で記帳指導に来てくれた。こういうサービスもある。(ライター・40歳)

税務調査はあなどれない!調査官の目は光っていた

独立当初から何年かたったら法人にしようと思っていて、実際4年目に会社を設立。退職後3年間の個人事業所得は申告しなくても平気とタカをくくっていた。が、税務調査で「3年間、どうやって生活してたんだ」と追及され、無申告の事実がいとも簡単に明らかに。それで3年分の所得税、住民税、もろもろの追徴金を支払うはめになり青ざめた経験がある。結局は脱税。許されるはずがなかった。(機械設計・51歳)

独立直後なのに住民税!?でも納税のための現金がない

年の半ばで会社を退職し、独立したものの1年目は実質4カ月の営業期間。収入(事業所得)はゼロ状態。にもかかわらず退職後すぐに市役所から住民税、国民健康保険、国民年金の納付書の通知がきた。それらがこんなに高額だったとは!住民税などは、会社在職中だった前年分の所得に応じ課税される仕組みだってことも知らなかった。以降、納税を念頭に、収入の一部は貯金することにした。(パタンナー・34歳)

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