アントレ-独立した人のための保険ガイド-独立したゆえのピンチや出費には各種の共済や保険で備えておこう

12.独立した人のための保険ガイド

03独立したゆえのピンチや出費には各種の共済や保険で備えておこう

【小規模企業共済制度】いわば個人事業主や会社役員の退職金制度

小規模企業者が掛金を積み立てて、廃業、老齢、死亡、あるいは役員を退職した場合に、掛金の払い込み月数に応じて共済金を受け取る制度。加入対象は次のいずれかに該当する人。

  1. 常時使用する従業員の数が20人(商業・サービス業の場合は5人)以下の個人事業主または会社の役員。
  2. 事業に従事する組合員数が20人以下の企業組合役員。
  3. 常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合役員や農事組合法人役員。

月々の掛金は1000円からで最高7万円。金額はその範囲内500円きざみで自由に選択できる。

共済金の支払額は、掛金の払い込み月数に応じて法律で決まっている。

税法上の特典が魅力。
掛金は全額が所得控除に

税法上の取り扱いは、その年に納付した掛金は、その年分の課税対象所得から全額が控除できる。一定額までしか控除できない生命保険などと比べて有利。
一方、共済金の受け取りは、一時払い、分割払い、一時払いと分割払いの併用のいずれかが選択できる。共済金を受け取った時は税法上、一時払い共済金については退職所得、分割共済金については雑所得として扱われる。また、左上の表にあるように貸付制度もあり、一定条件を満たした加入者は、納付した掛金総額の範囲内で、借り入れができる。問い合わせは各金融機関、商工会議所などへ。

契約者貸付一覧
一般貸付 10万円以上200万円まで
傷病災害貸付 50万円以上1000万円まで
創業転業時貸付 50万円以上1000万円まで
新規事業展開等貸付 50万円以上1000万円まで
福祉対応貸付 50万円以上1000万円まで
緊急経営安定貸付 50万円以上1000万円まで
※1 ただし、掛金の範囲内。納付月数に応じる
※2 複数の貸付を併せて受ける場合は合計1500万円まで
3パターンある受け取り方法
3パターンある受け取り方法
共済事由と基本共済金(一時払い)などの額

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共済事由掛金月額
10,000円の場合の例
A 共済事由 B 共済事由 C 共済事由 D 共済事由
■事業の廃止(個人事業主の死亡・会社等の解散を含む)(注)配偶者、子への譲渡及び現実出資により個人事業を会社へ組織変更した場合を除く ■会社等の役員の疾病・負傷又は死亡による退職(注)任意退職を除く
■老齢給付(65歳以上で180ヵ月以上掛金を納付した場合は請求することにより受給権を得る)
■会社等の役員の任意退職
■配偶者、子への事業譲渡
■現物出資により個人事業を会社組織に変更し、その会社の役員にならなかったとき
■任意解約
12ヵ月分違法の掛金の滞納
■現物出資により個人事業を会社組織に変更し、その会社の役員になったとき(なお、この場合において小規模企業者でないときは、準共済事由となる)
掛金納付月数 掛金合計額 共済金A 共済金B 準共済金 解約手当金
60ヵ月 600,000円 621,400円 614,600円 600,000円 ■12ヵ月以上の掛金納付月数に応じて、掛金合計額に80〜120%の範囲内の一定の率を乗じて算定した金額が支払われる(ただし掛金納付月数が240ヵ月未満の場合は、掛金合計額を下回る)
120ヵ月 1,200,000円 1,290,600円 1,260,800円 1,200,000円
180ヵ月 1,800,000円 2,011,000円 1,940,400円 1,800,000円
240ヵ月 2,400,000円 2,786,400円 2,658,800円 2,419,500円
360ヵ月 3,600,000円 4,348,000円 4,211,800円 3,832,740円
●共済金A、共済金Bは、掛金納付月数が6ヵ月以上の場合に支払われる(6ヵ月未満の場合は掛捨て)
●準共済金、解約手当金は、掛金納付月数が12ヵ月以上の場合に支払われる(12ヵ月未満の場合は掛捨て)
●この表の共済金額は、将来受け取る基本共済金の額で、実際に受け取る共済金の額は、付加共済金の額が算定されている場合はその額が加算される
(基本共済金とは、掛金月額、掛金納付月数、共済事由に応じて法律により算定される金額)
(付加共済金とは、毎年度の運用収入等に応じて経済産業大臣が定める率により算定される金額)

【所得補償保険】もしもの病気やケガの時最大、収入の70%をカバー

病気やケガで仕事ができず、収入が途絶えたら……。独立したばかりの人なら、誰でもこの不安は頭をよぎるものだ。
その心配に対応するのが「所得補償保険」である。万が一、病気やケガで入院したり、自宅療養が必要という事態になった時、一時休業時の所得不足分を補償するものだ。
保険金額は契約直前1年間の平均月収を基礎に設定され、その60〜70%が支給の目安となる。
補償期間は1年か2年の2種類。免責期間は7日、14日など数種類の中から選択できる。保険金額が多いほど、また免責期間が短いほど保険料は高くなる。保険期間は掛捨て型で1〜10年、積立て型で3〜10年。ここでは民間保険会社の商品の一例を紹介したが、ほとんどの民間保険会社で取り扱っているので問い合わせをしてほしい。

所得補償保険の仕組み
保険料表

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タイプ ●標準タイプ
保険期間1年、免責期間7日
●入院のみ補償タイプ
保険期間1年、補償期間1年、免責期間7日
A B C D
契約金額
(保険金額)
基本契約 1日5,000円
(月額15万円・年間180万円)
1日5,000円
(月額15万円・年間180万円)
1日5,000円
(月額15万円・年間180万円)
1日5,000円
(月額15万円・年間180万円)
傷害契約 1,500万円 750万円 1,500万円 750万円
保険料 払込方法年齢 月払 年払 月払 年払 月払 年払 月払 年払
満25〜29歳 3,380円 36,750円 2,480円 27,000円 2,810円 30,540円 1,920円 20,790円
30〜34 3,750円 40,800円 2,850円 31,050円 3,050円 33,140円 2,150円 23,390円
35〜39 4,230円 46,050円 3,330円 36,300円 3,360円 36,500円 2,460円 26,750円
40〜44 4,830円 52,650円 3,950円 42,900円 3,740円 40,710円 2,850円 30,960円
45〜49 5,430円 59,100円 4,530円 49,350円 4,130円 44,850円 3,230円 35,100円
50〜54 6,000円 65,400円 5,120円 55,650円 4,490円 48,870円 3,600円 39,120円
55〜59 6,290円 68,550円 5,400円 58,800円 4,680円 5,900円 3,780円 41,150円
※表は民間保険会社の商品の一例。詳細は保険会社によって異なる

【中小企業退職金共済制度】従業員を雇用するなら退職金支払いに備える

この制度は、単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業などに対し、相互共済と国の支援により退職金用資金を確保するもの。
加入対象は小売業の場合、資本金・出資金が5000万円以下または常時従業員数50人以下の企業。サービス業は同5000万円以下または同100人以下の企業となる。新しく加入した場合は、国が掛金の2分の1(上限5000円)を加入後4カ月目から1年間、助成する。月々の掛金は、5000円から3万円の16種類。掛金全額を必要経費または損金にできる。
前記の掛金のほか、短時間労働者(パートタイマー)に限定した掛金特例もあり、こちらは月々2000円、3000円、4000円ののいずれかになる。問い合わせは各金融機関、商工会議所などへ。

【経営セーフティ共済制度】得意先がピンチ!連鎖倒産を回避する

取引先企業が倒産し、売掛金や受取手形などの回収が困難になった場合、あらかじめ積み立てた掛金に応じて、掛金総額の10倍を限度として、無担保・無保証人で共済金の貸し付けを受けられる公的制度。
加入対象は、引き続き1年以上事業を行っている中小企業者。貸付限度額は加入後6カ月以上経過して取引先が倒産し、回収不能となった額と積立総額の10倍相当額のいずれか少ない額。上限8000万円。償還期間5年〜7年(据置期間6カ月含む)の毎月均等償還。月々の掛金は5000円から20万円(積立限度額800万円)。

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