長く続けられるフランチャイズ(FC)に加盟したいと考える人にとって、開業時の条件だけでなく、将来を見据えた本部選びが肝要。その際、特に見極めたい4項目「本部の事業運営力」「本部の情報公開度」「加盟店の支援力」「加盟店の成功度」に関する18の質問を用意した。これらを活用し、ぜひベストパートナーを見つけてほしい。
※ほとんどの質問は、言い回しを変えれば既存フランチャイズ加盟店のオーナーにも聞ける。本部だけでなく、フランチャイズ店にも足を運びたい。
経営やフランチャイズ展開の姿勢、事業の開発体制などを確認しながら、成長性を見極めよう
Q1
なぜ質問する?
経営理念は企業の信念そのもの。しかしいくら立派な理念でも、実体がともなっていなければ意味がない。理念が浸透していないチェーンでは店舗ごとにレベルが異なり、お客を失望させかねない。そこで、理念をチェーン全体で体現するための取り組みを尋ね、本部の本気度を確かめたい。
本部の見極め方
加盟希望者用のパンフレットに書いてある程度は当たり前。開店前にスタッフが皆で唱えたり、カードに理念を印刷して配っているチェーンもあるのだ。さらなる質問として「開業前研修ではどなたが経営理念を説明しますか?」と聞いてもよい。大手ではFC事業責任者が行うこともあるが、本来、社長自ら語るべきところ。本部の姿勢を知る材料になるだろう。
Q2
なぜ質問する?
特に飲食業の場合、お客は飽きやすく、新しいものに敏感。トレンドやお客の嗜好の変化をとらえたオリジナリティのある商品、サービスや、季節に合わせた新メニューを開発しているかどうかは、チェーンの魅力を維持できるかに直結してくるので実態を知りたい。
本部の見極め方
「新商品は開発していない」という本部で、「他店と差別化できる主力メニューもない」ところは問題外。及第点は年間の開発数が季節商品を含み5〜10点以上。加盟店訪問をする際は、先輩オーナーにも尋ねてみよう。さらに、本部に対し「年間の開発費はどれぐらいか」を尋ねれば成長力をはかる参考になるだろう。業種にもよるが、商品開発のほか情報システムの開発や人材の教育費も含め、売り上げの数%は期待したいところだ。
本部の情報提供への姿勢を見極めつつ、得た情報を正確に読み取ることが大切
Q3
なぜ質問する?
本部から提示される収益シミュレーションは必ずしも既存フランチャイズ店の実際のデータとは限らない。必ずどんな根拠にもとづく試算なのかを確認しよう。
本部の見極め方
直営の優良店データを出す本部、全店の平均を出す本部など様々。ひどい例では、ほとんど根拠のない理想値のみ伝える本部も。出店予定の立地特性に似た加盟店の平均売上高や、「好調・標準・不調」のパターン別の数値を出してもらうのが望ましい。さらに可能であれば、出された収益シミュレーションを上回っている店舗、下回っている店舗の割合を聞いてみよう。もし、フランチャイズ実績がない本部を検討する場合は、全直営店舗の平均売上高はもちろん、最下位店舗の数字も教えてもらいたい。
Q4
なぜ質問する?
環境の変化が激しい中、本部による定期的な情報提供は不可欠。また、加盟店同士の交流をいやがる本部もあるが、それは望ましくない。失敗・成功事例を互いに生かす、加盟店同士が意見をまとめて本部に提案する、適度なライバル意識を醸成するなど、双方にとってメリットは大きい。この質問で、企業体質のオープンさもわかるだろう。
本部の見極め方
「情報交換の場はない」と言われたら、その必要性を感じているか、今後設ける予定があるかを確認しよう。フランチャイズ展開の実績が浅い本部ならば、そういった体制も発展途上かもしれない。いずれにせよ、SVの巡回時以外にも本部から加盟店に対し情報発信する機会はあってほしい。一方、加盟店オーナーには非公式な交流があるかどうかを尋ねてもよい。
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立体制作:西山カルロスさとし