お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた!
OH! MY SHOP 先輩達の開業実録
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。
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Vol.100, 居酒屋
海鮮居酒屋 本丸  の場合
開業のノウハウ
インタビュー

1. 資金調達
開業資金 1800万円
自己資金●500万円 借り入れ●1300万円

現店舗で飲食店を経営していた前オーナーは、長谷島さんの親戚。親戚が運営する会社の社名と役員変更を行なうことで、長谷島さんがその店舗で、継続して店舗経営できる権利を得ることができた。借り入れの1300万円というのは、開業時、前オーナーが物件取得時に支払った保証金。それがそのまま、物件取得費となる。その1300万円は、交渉により、前オーナーに毎月支払う分割返済が可能となった。よって、1300万円の借り入れ先は、前オーナーということになる。

2. 店舗物件

物件取得費 1300万円
家賃●55万円


店舗は、飲食店の激戦区でもある恵比寿エリアにある。恵比寿駅から徒歩5分。飲食店が軒を連ねるビルの1階で、広さは30坪。近隣にはオフィスビルが立ち並び、昼間はランチ需要が、夜は会社帰りの飲食需要が見込める好立地でもある。ムダな家賃を発生させないために、前店舗が閉店した2週間後には、本丸の営業を開始した。「この場所で、一からの開業となると、保証金に礼金、契約時から発生する家賃と1300万円では収まらないでしょうね。こういう形で取得できてラッキーでした」。

 
隣はラーメン店、裏にはイタリアンレストランや最近人気のたいやき屋などがある。「他の店とのつながりもでき、それもまた楽しいですね」
入って右側にカウンター席、左側がテーブル席。さらに奥は畳の座敷席と、奇をてらった内装はひとつもない。心がけたのは、店長が全体を見渡せられる仕切りのないオープンな配置と、40代50代の男性が落ち着ける木素材と暖色系に統一することだけ

3. 店舗工事・設備・什器
計 200万円

厨房機器はほとんど手をつけずそのまま使用。変えたのは、カウンターに、畳のベンチシート、壁紙程度。「正月返上で、妻と2人、油で汚れた店の掃除をしました」。準備期間2週間でオープンすることができたものの、その後、原因不明の水漏れに見舞われ、閉店後、夜通し電動ポンプで店内にあふれた水を汲み上げる作業をする日々が3カ月続く。「店を閉めるわけにはいかないから、店長と交代で店に寝泊まりしてやっていました。この時期はつらかった。これが居抜き物件の宿命ですね」。

 
畳ユニットのベンチシートは長谷島さんの考案&制作。畳は開閉式で、中は収納庫として利用できるようになっている
開業時、求人広告の募集で採用した32歳の料理長は、割烹料理店での調理経験を持つ。本丸の味とメニュー開発は調理長が担当

4. 仕入れ
計 130万円

魚介類は、仕入れルートを熟知し、さらに魚の目利きができる店長が担当。築地市場で調達している。野菜類は太田市場から、それ以外の食材や調味料は、知り合いから紹介してもらった業務用の問屋から。酒は当初、ディスカウントショップから取り寄せていたが、開業後、ほかの酒店から見積もりを取り、価格やサービスに大きな差があることを知る。そこで、もっとも条件がよく、協力的な酒店に切り替え、地酒や焼酎の種類も徐々に増やしていった。原価率は、オープン当初から35%前後で推移。

地酒20種類(400円〜)、焼酎28種類(450円〜)と、酒の種類も豊富
旬の野菜の焼き物、旬菜焼き盛り合わせ(750円)。この日の野菜はソラマメ、タケノコ、シメジ
魚がうまいと評判の本丸のイチオシは本日の刺し身の盛り合わせ。割烹出身の料理長の盛りつけには小技がいっぱい

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