お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた! |
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。 |
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中央線物産館 の場合 |
下古谷さんが、雑貨ショップを開業しようと思った理由がおもしろい。 広告プランナーの仕事に携わってきた下古谷さんが、会社員としてかかわる仕事への限界を感じ、いつか独立しようと考え始めたのは35歳の頃。やがて、小規模店舗や中小企業に向けた、集客やコンセプトづくり、PRなどのコミュニケーション戦略をプランニングし、しかも低予算でサポートできる会社をつくるのはどうかと思いつく。大手企業相手に広告プランニングをしてきた経験やスキルを、面白いコンテンツはあるが上手に世の中に発信できないでいる店舗や会社に提供したい。そう考えた下古谷さんは、まずは雑貨ショップを運営するところからスタートすることを決めた。始めるなら今だと、40歳を目前にした今年、中央線物産館という雑貨ショップをオープン。それにしても、広告サポート会社から一転、なぜ雑貨ショップ経営なのか? 「まずは自分で店舗を経営して、実業を知りたいと思ったんです。自分でやらなければ成功も失敗もわからないじゃないですか。その実績や経験がなければ説得力がない。それに普通の広告会社よりも、つくり手のことも、経営者やエンドユーザーのこともわかったうえで広告の提案していくほうが、仕事の幅は広がると考えたのです」 もともと雑貨が好きだった。これまでの仕事柄、作家やデザイナー、アート関連の知り合いも多い。つくり手やクリエイターの思いがあるモノを扱い、それを客に手渡しで売るという商売の原点を経験したい。そんな発想から、下古谷さんは、雑貨ショップという業態で開業することにしたのだという。 |
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幸せになる雑貨の品ぞろえと店名のギャップに期待
業態を絞り込むところから、店づくりは始まる。コンセプトメーキングを得意とする下古谷さんは、自身の店をどんなふうにつくりあげていったのか。 まずは扱う商品。雑貨は生活の中のアートと考え、日常で普通に使えたり、人への贈り物にしたりと、幸せを感じられるものがいい。遊び心があるデザイン、シリーズとしてそろえられるものなどを軸に、様々な分野の制作活動で生計を立てているアーティストの作品を扱うことを基本にする。 主な顧客ターゲットは、洋服を買うよりも、住まいの空間づくりに興味を持ち始めた30代、40代の独身女性。 店舗のコンセプトは「中央線沿線の屋根裏部屋」。「中央線」はすでにカルチャーワード化していて、ここ数年雑誌で特集が組まれたり、関連本も出版されている。そのイメージを拝借しつつ、デザインを意識したライフスタイルを提案していく。下古谷さんにとっても、中央線沿線は住み慣れた好きな場所。そして「中央線物産館」という名前を思いつく。どこかふざけた名前だが、戦略としては面白い。店名と扱い商品とのギャップがあることで話題になりやすく、一度来店すれば誰かに話したくなるような強い印象が残せると考えたのだ。 広告の仕事で数時間店を閉めることもあるから、通りすがり客が入りやすい1階より2階がいいといった理由も考慮し、南阿佐ヶ谷駅前の雑居ビルの2階に店を構えた。入り口には、店名のイメージそのままの、パンダの絵がかかれたオレンジ色の看板を置いた。看板から想像するイメージを見事に裏切って、店内はおしゃれな空間が広がっている。食器やステーショナリーに、キッチュな雑貨など、どれも下古谷さんのセンスのよさを感じるセレクトだ。 |
実験店舗として始めたが、運営の楽しさに継続を決意
オープン時、エリアを絞り、デザイン事務所や出版関連のプロダクションを中心に約600通のオープン告知DMを送付。狙いどおり、すぐに雑誌やラジオから取材依頼が。それから週末は雑誌を見た客が、平日は周辺に住むデザインに興味を持つ客が訪れるように。「面白い雑貨を贈り物にしたいから」「これ、シリーズで集めようと思って」と訪れるリピーターも少しずつ増え、イメージどおりのターゲットを集客できている。とはいうものの、オープンしてまだ3カ月。今のところ、月商は20万円前後だが目標は60万円。 「専業でやるとしたら、この規模なら月商100万円を目標にしないといけないでしょうが、まずは最低ラインの60万円を目指します」。 本領発揮はこれからだ。 「この店舗が大きな商売になるとは思っていません。自分が本当にやりたい広告ビジネスのために、身銭を切って実験しているようなものですから。雑貨店で成功を目指すなら、阿佐ヶ谷よりも吉祥寺など勝てる場所でやったほうがいいし、そもそもうちは2階でしょう。やっぱり路面店じゃなきゃ厳しいですよ。ただ、店をやっていなければ出会えなかった人たちとたくさん出会えることが、面白いですね。この形態が気に入っているから、この店はずっと存続させていきたい。今はそれが目標でしょうか」 |
■オープンまでの経緯 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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