お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた! |
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。 |
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イリアス の場合 |
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「よく『雑貨の店を持つのが昔からの夢だったんですか?』と聞かれるのですが、私の場合は、決してそうじゃないんです(笑)。与えられたことをコツコツと一生懸命やってきたら、結果としてこの店に行き着いた……。これが店を持ったことの一番しっくりくる理由でしょうか」 就職した百貨店が、直営の大型雑貨店をオープンすることになり、その立ち上げから運営までかかわった。この異動により、雑貨店運営のノウハウを習得する機会を得ることに。退職後は、そのノウハウを生かし、雑貨の商品開発や店舗プロデュースを行う会社を設立。現店舗のオーナーになるまでの約15年間、一貫して雑貨関連の仕事に携わってきた。自分の店を持とうと思ったのは、独立後にある会社から、雑貨ショップの立ち上げを依頼されたことがきっかけだった。 「物件探しからPRまで、店づくりのすべてを手がけたにもかかわらず、思った以上に評価が低かった。その時、ノウハウもあるんだし、自分でやったほうがいいと思ったんです(笑)」 自分が面白いと思う雑貨、自分の店に置きたいと思う雑貨は、決して同じカテゴリーのものではない。カテゴリーがバラバラの雑貨を小さな空間にズラリと陳列したら、どんなことになるんだろう? 客はどんな反応をするのか? その実験をしてみたい。人の店では無理だけど、自分のお店ならできる。こんな思いもあって、北川さんは、イリアスをオープンさせたのだという。場所は、高校生の時から好きだった、昭和の風情が残る情緒ある街。東京は千駄木・谷中。ここは、有名な江戸千代紙の店やレトロな喫茶店が軒を連ね、週末は、外国人や観光客が多く訪れるエリアでもある。 |
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商品コンセプトはナシ。だから“古今東西雑貨店”
輸入雑貨、ビンテージ、作家もの、和雑貨、オリジナル雑貨……。イリアスで扱っている商品は大きくこの5種類。だから一見、つかみどころがない店に思える。手ぬぐいや扇子などの和小物があったり、作家もののアクセサリーやバッグがあったり。そうかと思えば高価そうなビンテージグラスがショーケースに陳列され、その横には中国の雑貨が並べられている……。 「イリアスというショップ名に、“古今東西雑貨店”という肩書をつけたのは、あらゆる国のあらゆる雑貨が混在している店だから。商品カテゴリーのコンセプトがない仕事をしたのは、自分のこの店が初めてでしたよ(笑)」 ただ、不思議と雑多な印象はない。それは、ジャンルやテーマごとにきちんとコーナー分けされていて、それぞれに、北川さんのメッセージやこだわりが感じられるからだろう。つまり、オーナーが好きなもの、面白いと思うものがいっぱい詰まっているお店、ということが伝わってくるのだ。そんなお店の空気に共感する人たちが、この店の顧客になっていく。 「好きなものじゃなきゃ思いは伝えられないでしょ。好きで仕入れた雑貨をお客さんに手渡すまでが私の仕事。今では、お客さんの顔を思い浮かべながら買い付けしていますね」 北川さんの「思い」が店のオリジナリティをつくり、顧客をつくってきた。オープン当初から5年、順調な経営を続けている理由は、まだまだほかにもあるようだ。 |
再来店の仕掛けづくりを継続することが経営の要
「お客さんにもう再来店してもらうにはどうしたらいいか?」。オープン当初から、北川さんがずっと考えていること。買い付けのために、毎年5、6回は海外に行くのもそのひとつ。 「渡航経費を考えると、輸入品の利益はとても小さい。それでも続けているのは、海外で見て聞いてきた生の情報をお客さんにいち早くお知らせでき、お客さんに喜んでもらえる。つまり、私は商品ではなく情報を提供していると考えているんです。すぐに売り上げにつながらなくても、ここに来れば海外雑貨の最新情報が入手できると思ってもらえたらそれでいいんです」 気に入った作家をお客さんに応援してもらいながら、一緒に育てていきたいからと、2年前から、2週間ごとに作家展を開催している。また、ここでしか買えないものを置きたいと、オリジナル商品もつくった。1週間に1回は商品を入れ替え、ディスプレイもそのたびごとに変える。そうやって北川さんは常に、客を飽きさせない仕掛けづくりを続けている。 「当たり前のことをやっているつもりですが、この当たり前のことを継続するのはそれほど簡単じゃない。でも、それをやめてしまったら、この店は存続できないでしょうね。私は、メーカーさんや作家さん、小売店、そしてお客さんが三位一体になることで、いい商品、いい雑貨店は生まれると思っています。これからもこの思いを大切にしながら、イリアスを育てていきたいと思っています」 |
■オープンまでの経緯 | |||||||||||||||||||||||||||||
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