CASE37Harness(ハーネス)LLP 理事長

PROFILE

松倉 泉さん(44歳)

1962年、群馬県生まれ。大学卒業後、85年から日本IBM梶A94年から日本オラクル梶A97年からマイクロソフト鰍ノ勤務。一貫してマーケティング関連業務に従事するする。2006年、マイクロソフトを退社後、Harness LLPを設立設立し理事長に就任。

プロワーカーが結集したLLPでIT系中小企業のM&Aをサポート

企業買収(M&A)というと、大企業に大手金融機関が絡み、業界再編や覇権争いを繰り広げる経済戦争のイメージが強い。しかし、事業を売買したいのは大手企業に限らない。

松倉さんが理事長を務めるハーネスは、IT関連の中堅・中小企業のM&AをサポートするLLP(有限責任事業組合)だ。新しい事業体であるLLPは、専門技術やノウハウを持った人同士、もしくは人と企業が、資金がなくても力を合わせて新たな事業に取り組みやすい特性を持つ。

ハーネスも、営業や人事、コンサルティング、M&Aなどの得意分野を持つプロワーカー16名がスキルやノウハウを持ち寄り、クライアントのために活動している。松倉さん自身も、IT関連のマーケティングを専門とするプロワーカーである。

「LLPは理念を共有するプロワーカーが集まり何かに取り組むには、もっとも適した法人組織です。ただ、新しい制度なので、前例も参考書も少ない。設立準備や運営は結構大変です」

最初の会社に就職した頃は「転職さえ考えたこともなかった」松倉さんが、独立を考え出したのはマイクロソフトに勤務していた頃。管理職で日中はミーティングの連続。自分の仕事を始められるのは夕方6時から。帰宅は深夜2時、3時という毎日だった。

「組織をリードする立場で、人間的な幅は広がるし、大きな責任もやりがいもある。仕事に不満はなかったのですが、ミーティングは部門間の意見調整がほとんど。誰のために仕事をしているのか、もっと時間を有効に使えないものかと疑問を持ち始めた頃、プロワーカーの方々と出会い、そういう生き方、働き方もあるのかと思いました」

その出会いが、後のハーネス設立につながる。マーケティングの専門家として議論に参加していくうちに、自身もプロワーカーとして生きていく決意を固めた松倉さんは、ハーネスの創業と同時に勤め先を退社した。

「今の仕事は、ハーネス7割、マーケティングのコンサルが3割。ハーネスでは起業の、マーケティングではいろいろな会社の仕事で経験を積むことができます。会社員時代とは比べ物にならないくらい世界が広がりました」

ハーネスは設立から2カ月で1件目の案件が成約。個人の仕事とともに、潜在需要に手ごたえを感じている。今後は、顧客のニーズに応じたLLPの設立も考えているという。

「最終的に、仕事は個人についてくるものです。今の日本ではまだまだ会社名が先にきますけど、そこの垣根さえなくなれば、プロワーカーは究極的な働き方ではないでしょうか」

[ 2007.6.15 ]

営業ツールの写真

契約書などが入ったケースと、携帯電話は仕事にかかせないアイテム。移動が増えたのでスイカも手放せない

POLICY

お客さまのために良かれと思うことには、妥協をしないで、最善を尽くしていきたい。

HOLIDAY

会社員の頃は完全OFF。今は自分で時間管理できるので平日に趣味のゴルフを楽しむことも。

MONEY

仕事に対する対価という点では変わらないが、成果に対する責任感はより大きくなった。

SATISFACTION

お客さまに感謝された時の喜びは、会社員時代よりもはるかに強く感じる。