CASE35株式公開コンサルタント

PROFILE

長山 裕一さん(58歳)

1948年、東京都生まれ。大学卒業後、山一證券に入社。個人営業、M&A業務、地方債の調査研究などに従事。自主廃業までの10年半は公開引受部で株式公開業務を担当。印刷会社にて株式公開支援業務を経て、2000年3月に独立。

50社以上の公開実績をもとに第三者視点で上場申請企業を支援

近年、新興企業にとってより審査体制が緩やかな市場が増え、上場する企業数は急増している。しかし、上場しても株主数が一向に増えない、赤字転落し時価総額が所定額を割り込むといった企業も相次ぎ、上場審査体制にも疑問の声が上がっている。

そんな中、本来あるべき株式公開の意義を問いただし、上場申請企業側に立った視点からアドバイスを行っているのが長山さんだ。証券会社での公開引受業務など、これまでに培った20年のキャリアを発揮している。

「事業見通しの甘さや会計体制のずさんさなど、上場申請企業側の問題点は確かにあります。しかし、幹事証券会社や監査法人との役割分担といった協力体制に問題があるケースも少なくないのです。私の取引案件では、主幹事会社や監査法人の選定から任せていただき、打ち合わせの場に同席することもあります」

長山さんは、証券会社に在籍中、公開引受部で株式公開業務に従事。主担当として五十数社の上場を実現した。課長職としても自社の主幹事銘柄を管理し、100社以上の企業に関与し実績を築いてきた。証券会社退職後の2年間は、株券や開示書類専門の印刷会社に公開支援室長として勤務。5社のコンサルティング、十数社の企業に訪問指導を行ってきた。さらに、株式公開セミナーや金融機関の社内勉強会で講師を務めるなど、独立後のアドバイス業務に生かせる話術や指導力なども身につけていった。

「独立を意識したのは、印刷会社に転職してからでした。この2年間に、申請書類やフローチャート作成といった実務をみっちり手掛け、その楽しさを思い出しました。また前職時代には競争相手であった他の証券会社と接する機会も多数あり、新たな経験で視野も広がりました。こうして、第三者の立場で株式公開を支援するセカンドオピニオンのような仕事を行ううちに、独立へと考えが至ったのです」

2000年2月に印刷会社を退職し、同年3月から業務を始動。現在は7社の上場準備を手掛けている。そのほか、上場後に監査役として就任したり、コンサルティング会社、会計事務所などとも契約を交わしている。独立してよかったと感じる瞬間を、最後に聞いてみた。

「取引先で主幹事会社との打ち合わせに同席した後に、お客さんから『長山さんが横にいてくれてよかった』と言われることがあります。それこそ素直にうれしく、存在意義を感じる瞬間です。この仕事に長年携わっている者としての倫理観や責任を大切にしなければと、身が引き締まりますね」

[ 2007.5.18 ]

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取引先の情報を自宅に持ち帰る際にはメモリースティックに保存。ネックストラップで首から下げて紛失防止

POLICY

取引先のためを真摯に考える。気づいたら取引先のことを「ウチ」と呼ぶようになっていた。

HOLIDAY

休みは特に設定していない。スケジュール調整が自分でできるため、空いた日・時間で休む。

MONEY

取引先からのギャランティはすべて月額顧問料で設定。年収は会社員時代よりもアップした。

SATISFACTION

気が進まない仕事を受けることもない代わりに、今は全責任を負うが、それもやりがいに。