起業のヒントになる!? 米国発☆ビジネス最前線

起業のヒントになる!? 米国発☆ビジネス最前線 / 月2回更新

取材・文 / 田中秀憲

ネット時代の新・代行サービス
――I Sold It

今や誰もが参加するようになったネットオークション。買い手から見れば様々なお宝や、思いも寄らない品々が手に入り、そして売り手にとっては、不要の品物を売ることができるので、双方にとってうれしいことだらけに見える。しかし、一方でオークションには面倒な作業も多いのも現実。「代わりに誰かがやってくれれば……」そう思う人は多いだろう。そして、需要があるところにはビジネスの種がある。その不満を解消する代行サービスが、インターネットの中でも成り立っているようなのだ。

手続きの煩雑さを解消!?

日本ではYahoo!オークションなどが人気だが、米国をはじめ各国で展開しているeBayは、世界中で2億5000万人以上が利用している。また、eBayは10億点もの出品があり、年間売り上げは450億円にも達するという。何でも売買できる半面、大きくなったがゆえの弊害も散見される。

その中でも最も懸念される点は、「売り手が自身の商品をうまくPRできない」こと。似たような商品はeBayの中だけでも無数にあり、いかにして自分の商品を魅力的に見せるかに悩む出品者は多いという。見やすいことはもちろん、魅力的な写真や、簡潔かつ過不足のない商品説明……。一般の出品者にとっては、なかなか上手に表現したり演出することは難しい。

何とかオンラインにアップしても、その後の面倒な作業は続く。入札者からの問い合わせに答えたり、落札後の梱包作業や商品の発送、そして何より大切なお金の受け取り……。安全に商品と現金をやりとりするには結構な気苦労があるものだ。1、2度オークションを体験し、手間の煩雑さや失敗経験から二度と手を出したくないと思ったユーザーも少なくないだろう。そういう現状を打開すべく生まれてきたのが今回ご紹介するI Sold Itである。

I Sold Itは2003年にカリフォルニアのパサディナで創業。同社のビジネスは、「客から預かった商品を代理でeBayに出品し、落札後に現金をお客に支払う」という代行サービスだ。写真撮影、コピーライティングから始まり、梱包、発送、最終的な金銭授受まですべてを代行。落札されなかった商品は再度出品するもよし、もう売れないと思えば施設への寄付などもI Sold Itが代行してくれる。

I Sold Itが出品者から徴収するのは、

  1. I Sold Itへの手数料(最低5ドル以上で商品の落札価格の33〜40%。人件費、撮影費や梱包代などを含む)
  2. eBayへの手数料(eBayによって決められている)
  3. 支払い関係の手数料(Paypalなどへの手数料)

の3つ。扱う商品によって経費が異なるので、このあたりは各店舗の裁量に任せているという。そう、このI Sold Itはフランチャイズ化を果たしており、多くのメディアからの注目を集めているのだ。

FC化で店舗拡大

現在フランチャイズは全米100拠点以上。ニューヨーク市内にも2店舗ある。ニューヨークはブルックリンにある店舗を訪ねてみた。窓口の担当者は、
「都会に住む人たちは忙しいし、物価は高いから生活は大変。いろんな人が商品を持ち込んでくるので、とても忙しいよ。扱う商品が多くなればその分経験になるし、おかげで飽きずに仕事できるよ。なにより売れた時のお客さんの喜ぶ顔は我々の喜びでもあるんだよ」

街中には小さな窓口があればよく、実作業は郊外でもできるので、店舗家賃などが大きな負担にならない。このことも安定したフランチャイズ運営ができる要因なのだという。お客との実際のやりとりをする地元密着のビジネスのよい面と、ビジネスの場所を問わないオンラインビジネスのよい面の両方をうまく組み合わせているといえよう。

現在I Sold ItはeBayだけではなく、amazon.comやubid.comなど複数のインターネット上のマーケットを扱うようになってきており、大手の宅配業者などとも本部が一括契約をするなど、サポート体制も充実。eBay上での実績も多いので、サービス利用者の評価は高いという。

I Sold Itは、「サービス利用者が抱える不満・わずらわしさを代行する」というシンプルなビジネスプランを、需要のあるところにうまく投下できた成功事例だろう。

次回は2008年7月25日更新予定。お楽しみに!

ページの先頭へ