お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた!
OH! MY SHOP 先輩達の開業実録
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。
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Vol.105, 無添加焼き菓子店
レリーサ  の場合
インタビュー
レリーサ
オーナー・内山智子さん(35歳)

無添加素材と味へのこだわりが近隣の女性客をキャッチ!
PROFILE
うちやまともこ/1972年、東京都生まれ。短大の栄養学科卒業後、大手生命保険会社に就職。営業事務として6年間勤めた後、語学と料理を学ぶため1年間イタリアへ。帰国後、レストランやワインショップにて勤務するが、28歳の時、派遣スタッフとして以前在籍していた保険会社に転職。独立を決意し、32歳で退職。2005年3月、現在の店をオープンさせる。
開業のノウハウ
 
 一般企業に就職したり、イタリアに留学したり、飲食店に勤めるもまた元の企業に転職したり……。「食」への興味はあったものの、それをどう仕事につなげていけばいいかわからなかった内山さんにとって、開業までの12年間は模索の日々だった。
  きっかけは、ラジオ番組が主催する3日間限定の「カフェ開業プロジェクト」に応募したことだった。最終選考の4組には残ったものの、プロジェクト参加にまではいたらなかった。しかし、開業のシミュレーションをしていくうちに「お店っておもしろいかも」と、やっと自分がしたい方向が見えてきたという。
 「カフェは、一人でやるにはムリがある。自分一人でできることって何だろう? と考えていくうちに、焼き菓子のお店を思いついたのです」
  ところが、開業を理由に会社を辞めたものの、すぐには物件探しに手をつけられなかった。
 「不動産屋さんに行くのが怖かったんです(笑)。まだ自分のなかで、どんなところで、どんなお店を開業したいかということが、整理できていなかったからだと思います。聞かれたときに答えられなかったらどうしよう? と考えると動けなかったんです」
  まずはコンセプト固めや出店場所の候補探しから準備を開始。コンセプトは「無添加の素材にこだわる焼き菓子を提供する店」に、場所はオーガニックに関心の高い住民が多いと予想される文京区周辺。こうして具体的な方向性が固まり、物件探し開始から約半年で、店をオープンすることができた。
写真
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普通の焼き菓子ではだめと無添加素材を特徴にした

 緑の街路樹が茂る大通りに面した1階に、店舗面積3坪、厨房面積5坪の“小さなお菓子屋さん”レリーサはある。ガラスのショーケースには、約10種類の焼き菓子が並べられ、客は、思い思いに好きなお菓子を選ぶ。
  うさぎの形をしたアーモンドクッキー、和三盆糖や黒こしょうのクッキーなど、かわいくて素材の意外性を感じるクッキーやパウンドケーキがずらり。無農薬の国産小麦粉、放し飼い有精卵、とうきびでつくるオーガニックシュガーなどなど、素材はすべて無添加のオーガニックと徹底している。
 「自分自身もできるだけオーガニックのものを食べるようにしていましたから、特徴を打ち出せるとしたら、これだ!と思ったんです」
  だから、出店場所にもこだわった。オーガニックに関心の高い人が多いエリアで、土地勘のある場所がいい。そうして絞り込んだのが、文京区周辺だった。運良く思い描いたとおりの物件が見つかり今に至ったわけだが、内山さんが打ち出したコンセプトと立地は見事に合致。それが、オープン当初から順調に経営できている要因の一つとなっている。

コンセプトと立地が符号。予想どおりの集客ができた

 月商50万円でスタートし、3年目の現在は、60万〜70万円。これは、店舗だけでなくネット販売分も含んだ数字だが、2年半で着々と売り上げを伸ばしていることがわかる。
  客は、近隣に住む幼い子供を持つ若い母親から年配者までと幅広く、オーガニック素材に興味を持ち、リピーターになっていく場合がほとんど。さらに、周辺には出版社が多く、そこに勤務する女性たちが、ギフトとして購入することも多いようだ。アーモンドクッキーは6枚入りで450円。日常的に購入しやすい価格でないことを考えると、ある程度経済的に余裕のある人が多く住むというエリア特性も、レリーサの好調を支えていることは間違いない。
  そして何より、内山さんの商品開発に対する妥協しない姿勢。店を成長させ続けるには、お客に飽きられない努力が必要だ。
  いくらいい素材でも、おいしくなければ受け入れてはもらえない。これなら大丈夫、と納得できるまで商品化しないのが、内山さんのポリシー。
 「これくらいならまあいいか、と思うものは絶対に売らない。そうしてしまうと、お客さんはついてきてくれないと思うから。新しい商品のことは、いつも考えているし、暇さえあれば試作もしています。でも、商品化しないもののほうが断然多いんですよ(笑)」
  職人気質をのぞかせる内山さんだが、一方で「どうしたらお客さんに来てもらえるか、お客さんはどんなものに興味を持つのか、経営者としていろいろと考えるのもおもしろい」と話す。
 もう少し売り上げを伸ばしたい。そのためには、ネット販売の強化と、卸に力を入れていくことが、当面の目標だと考えている。
  そんな内山さんの夢は、
 「この店を老舗にすることです」


■オープンまでの経緯
 
2004年1月 焼き菓子店の開業を決意
2004年6月 会社を退職
2004年10月 物件探しを開始
2004年11月 物件が決まる
2005年1月 内装工事着工
2005年3月 オープン
 
SHOP DATA
所在地
東京都新宿区山吹町128-1階
平均客単価
1500〜2000円
最寄り駅
東京メトロ神楽坂駅・江戸川橋駅
平均来客数
15人/1日
アクセス
03-5261-8156
http://www.lerisa.jp
売り上げ
60万〜70万円/月  
営業時間
11:30〜19:00(土曜・祝日は〜18:00)
経費
13万円/月(家賃、光熱費)
定休日
第1・4月曜
仕入れ
売り上げの30〜40%/月
広さ
8坪

開業のノウハウ