お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた!
OH! MY SHOP 先輩達の開業実録
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。
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Vol.103, 犬の雑貨ショップ
JUST DOG MARKET  の場合
インタビュー
JUST DOG MARKET
オーナー・東 マミさん(40歳)

コーギー犬関連グッズに特化。
リピート客獲得で安定経営を継続中
PROFILE
ひがしまみ/1966年、東京都生まれ。大学卒業後、航空会社に就職。国際線の客室乗務員として活躍。34歳の時、海外でよく通っていたような犬の雑貨ショップを開業したいと独立を決意し退職。2000年9月、現在の店をオープンさせる。
開業のノウハウ
 
 生まれた時から犬といっしょに暮らしていたという東さんにとって、犬のいない生活は、もはや考えられないことだそう。現在も、4匹のコーギー犬と暮らしており、彼らは店の看板犬として、客を出迎えてくれる。
 そして店内には、コーギー犬用の洋服や、コーギー犬をかたどったインテリア雑貨などが所狭しと陳列されている。そう、ここは都内でもまだめずらしい、コーギー犬関連グッズ専門の雑貨ショップなのだ。
 国際線の客室乗務員として世界を飛び回っていた東さんは、仕事で海外へ行くたびに、犬の雑貨ショップ巡りをしていた。今でこそ、日本でもそのようなショップを多く見かけるようになったが、それはここ数年のこと。7年前はまだ、店の数も少なく、またこだわりの雑貨や洋服を豊富に取り扱うところはほとんどなかった。それで、東さんはフライトのたびに、飼い犬のためのかわいいグッズを求めて、ショップを巡っていたのだ。
 「日本にもこんな店があればいいのに」という希望は、やがて「ないのなら、自分でつくればいいんだ」という思いへと変化していく。
 職場では、客室乗務員として経験を積むにつれ、求められるポジションが現場から指導する側へと変わり、転機を迎えつつあった。同じ頃、社内の早期退職優遇制度の利用者募集が始まり、「ちょうどいいタイミングかも」と、退職を決意。アメリカから輸入した犬関連の商品を扱う雑貨ショップ開業に向けて準備を始めた。   
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メーカーとの直接交渉で商品はアメリカから直輸入

 開業場所は、実家のある代官山と決めて物件を探したが、条件の合う物件に出合えなかったこともあり、自宅のガレージを改装して開業することに。商品のほとんどは、アメリカからの輸入雑貨。自身でメーカーを調べ、直接交渉をして仕入れたものだ。
 扱う商品は、大きく2つのカテゴリーに分けられる。ひとつは、首輪やリード、洋服など犬が使うもの。ドッグフードは、今ほど世間で“安心安全”が叫ばれていなかった開業当時から、成分や素材にこだわったものを置いている。天然素材を使用したフードは、オープンから現在に至るまで、店の人気商品だ。もうひとつのカテゴリーは、犬の絵柄が入ったインテリアやステーショナリーなど人が使うもの。
 「今でこそ店中に商品があふれ返っていますが、初めはすかすかだったんですよ(笑)。徐々に増やしてきました」
 2000年9月、「JUST DOG MARKET」はオープン。当初は、現在のように犬種をしぼっていなかったが、日本ではほとんど売られていない品ぞろえと、まだ多くなかった業態の店ということが話題を呼び、開店時から雑誌や新聞などで紹介され、訪れる客の数は自然と増えていった。 

コーギー犬グッズへの特化が差別化とファンづくりに貢献

 東さんが、コーギー犬専門の雑貨ショップへと業態変更したのは3年前。ネットショップ開設がきっかけだった。
 「検索されやすくするにはどうしたらいいかを考え、コーギー犬に特化することを思いつきました。それに、犬種をしぼることで、仕入れのリスクも軽減されると思ったんです。例えば洋服なら、同じ体形のものをサイズ違いでそろえればいいのですから」
 この判断は正しかった。数ある犬の雑貨ショップのなかでも、犬種をしぼった店はほとんどない。コーギー犬の飼い主にとっては、体形に合う商品だけが置いてあるので選びやすい。一方でそれ以外の犬を飼っているお客を失うリスクはあるが、コーギー犬の飼い主のリピート率は高くなるはず。そう考えた東さんの思惑どおり、現在、お客の半分はリピーターが占めている。
 オープン当初、代官山エリアに犬の雑貨ショップはほとんどなかった。ところが今では、半径300m以内に把握しているだけでも3軒。オープンしたもののまもなく撤退する店も少なくないという。競争がますます激しくなる中で、生き残っていくのは容易ではない。そんな時代にあって、「JUST DOG MARKET」は、コーギー犬専門ショップに業態を移行したことで、うまく生き残る道を切り開いたのである。
 売り上げは、ここ最近70万〜80万円。多い時で、100万円前後。オープン時より、それ以上大幅に上がることもないが、下がることもない、という安定経営ぶりだ。それを7年間も維持してこられたのは、競合店がまだ少なかった早い時期にオープンしたこと、3年前にコーギー犬専門店へと業態変更したことが大きな要因だと考えられる。
 「同じ犬種を飼っているという共通点があるので、お客さまとの距離が早く縮まるような気がします。お客さまと話すことが、何より楽しい。これからも、もっとコーギー犬の雑貨を充実させていきたいです」

■オープンまでの経緯
 
1999年12年 独立を決意し退職
2000年1月 物件探しを開始
2000年2月 商品の買い付けにニューヨークへ
2000年4月 自宅ガレージを店舗に改装することを思いつく
2000年6月 内装工事開始
2000年9月 4日オープン
 
SHOP DATA
所在地
東京都渋谷区猿楽町5-7
平均客単価
2000円
最寄り駅
東急東横線代官山駅
平均来客数
10人/1日
電話
03-3496-0557 
売り上げ
70万〜80万円/月
営業時間
12:00〜19:00
経費
4万円/月
(光熱費、ネットショップ管理費)
定休日
月曜
仕入れ
15万〜20万円/月
広さ・席数
5坪

開業のノウハウ