お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた!
OH! MY SHOP 先輩達の開業実録
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。
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Vol.97, ビンテージショップ
EVA  の場合
インタビュー
EVA
オーナー・宮崎聖子さん(31歳)

買い付けはすべて海外からメールで毎日。
厳選の品ぞろえでファンを拡大中!
PROFILE
みやざきせいこ/1975年、宮城県生まれ。高校在学中に始めたレコードの並行輸入がきっかけで、卒業後、レコードや雑誌、バイクなどを輸入販売する仕事を手がけるように。23歳で上京し就職。企業の受付業務や秘書業務に携わる。28歳の時、個人輸入のノウハウを生かし、ビンテージの古着ショップを開業することを決意。2004年7月、現在の店をオープンさせる。
開業のノウハウ
 
 2年前、28歳で都内の人気エリア、恵比寿にビンテージの古着ショップを開いた宮崎さんの経歴が面白い。
 宮崎さんは、高校を卒業してすぐに、個人で日本未販売のレコードや雑誌、バイクなどを海外から輸入し、販売するビジネスを始めた。個人輸入のノウハウを取得したのは、高校生の時。音楽好きが高じて、海外から中古レコードを取り寄せたのがきっかけだった。インターネットもパソコンも今ほど普及していない頃、英語の辞書を手に、手紙やファクスを駆使して輸入した。日本で買うより安く手に入れられ、それを自分で好きな値段をつけて売ることができる。その醍醐味にハマった。しかも、知り合いに頼まれ輸入の数を増やしていくうちに、商売になることがわかり、卒業する頃には、何人かの常連顧客もついていた。卒業後、仕事は順調だった。しかし、宮崎さんは3年でこの商売を辞め、上京して企業に就職。受付や秘書といった、全く違う仕事をすることに。そして……。
 「約4年間会社員をやってみて、これは私のしたいことじゃないということがはっきりわかりました(笑)」
 やっぱり好きなことをしよう。ファッションは音楽と同じくらい好き。好きな服を海外から仕入れて好きな値段で売る古着の店なら、輸入手続きのノウハウも生かせる。それなら、価格の競争がないビンテージものにこだわりたい。商売人から会社員に、そして再び商売人になる道を選択した宮崎さんは、こうしてEVAをオープンさせた。
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7坪の店内に約250点の商品がぎっしり。価格は1500円〜80万円まで

 赤い天井とシャンデリアが、どこか非現実的で幻想的な空間を演出。そこに、エルメスやシャネルといったハイブランドの服やバッグから、中世のヨーロッパ貴族が身につけていたようなドレスやパラソルなど、様々なアイテムの商品がぎっしり。その数、常時約250点。さらに、価格帯も1500円のピアスから80万円のバッグまでと幅広い。
 「時代の世相を反映したビンテージの面白さをわかってもらいたい。女性たちのファッションリテラシーを上げていきたいという思いから、『この服どう着ればいいの?』と聞かれるような、ちょっと挑戦的なものを意識して扱っています」
 確かに、ただ見ただけではどう着こなしていいかわからないものもある。でも、「これは下着ですが、こうしてインナーにするとかわいいですよ」「これは100年前のジャケット。袖が破れていたから、いっそのことそれをこうしてアクセントにするとかっこいいでしょ」といった具合に、宮崎さんの説明を聞いていると、それなら着こなせるかもと思えてくる。何より、宮崎さんのセンスや商品を選ぶ視点に信頼感がわいてくる。デザイナーやスタイリストといったファッションのプロが顧客に多いというのもうなずける。80年前、100年前のビンテージを手にしたり、これは歴史的デザイナー、マリアーノ・フォルチュニーの初期のものといった話を聞きながら歴史に思いをはせていると、とても特別で大切なもののように思えてくる。

手間と経費を惜しまない一点ごとの買い付けで客の信頼につながった

 そんな商品の数々を、宮崎さんはほぼ毎日、海外のディーラーにコンタクトを取り、一点一点買い付けているのだとか。だから、店の営業が終わっても宮崎さんの仕事は終わらない。夜からはメールで買い付けの仕事が始まる。
 「手間も経費もかかるけど、これはこんな女性が着たら素敵だろうな、これはあのお客さんが好きそうというように、イマジネーションをかきたてられるものを店に置きたいんです。お客さんからリクエストがあれば、それにこたえたいと必死で探します。お客さんを感じながら仕入れ、歴史や着こなし方など商品のことをきちんと説明しながら売っていくのが私の仕事で、一番大事なことだと思っています」
 個人輸入のノウハウがあったとはいえ、店舗経営は初めてのこと。わからないことがあっても聞く人はいない。来客ゼロ、売り上げゼロの日もあった。お客さんが増え自信が持てるようになったのはオープン半年後。大きなきっかけは2つある。ひとつは、偶然にも米紙『ニューヨークタイムズ』に紹介され、外国人観光客が増えたこと。もうひとつは、自分の買い物は他店でするようにし、その店のスタッフと仲良くなることを心がけたこと。ショップカードを置かせてもらったり、お客さんを紹介してもらったりと、次第に口コミで広がっていった。現在は、月に1回は雑誌などで紹介されるという。
 「たとえ売り上げが少なくても、誰のせいにもできない。だから逃げも隠れもできない。責任を負うことで自信がつきました。今年は、“パーソナルスタイリスト”として、個人にスタイリングをするコンサルティング業も始めます。夢を見るより今を見たい…、眠れませんね(笑)」

■オープンまでの経緯
 
2003年12月 店を持つことを決意。物件探しを開始
2004年4月 物件が見つかる。仕入れを開始、内装工事着工
2004年6月 ヨーロッパへ買い付けに行く
2004年7月 7日オープン
 
SHOP DATA
所在地
東京都渋谷区恵比寿南3-6-7 イシイビル202
広さ・席数
7坪
最寄り駅
JR・東京メトロ恵比寿駅、代官山駅
平均客単価
1万2000〜1万8000円
電話
03-3760-0371 http://evatokyojapan.blogspot.com/
平均来客数
10〜20人/1日
営業時間
12:30〜19:00
売り上げ
非公開
定休日
月曜
経費
20万円/月(家賃、光熱費)

開業のノウハウ