お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた!
OH! MY SHOP 先輩達の開業実録
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。
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Vol.92, イタリアンレストラン
グリーングローヴ の場合
インタビュー
グリーングローヴ
オーナー・若山 武司さん(40歳)

住宅街にある一軒家のイタリア料理店。
地域の人に愛される「街の食堂」を目指す
PROFILE
わかやまたけし/1965年、北海道生まれ。高校卒業後、東京にある出版社に就職。情報誌制作や編集の仕事に携わる。勤続20年を機に、独立して飲食店の経営者になることを決意。2004年4月より、会社に勤務しながら料理学校に通い、同年9月に退職。2005年12月、現在の店をオープンさせる。
開業のノウハウ
 子供の頃、若山さんの将来の夢は建築家か料理人になることだった。しかし、進路指導の先生に勧められるまま、高校卒業後に就職したのはなぜか出版社。若山さんにとってその仕事は思いのほか肌に合った。そして、気がつけば20年の月日がたっていた。
 「今度は自分で進む道を決めよう。常々、いつかは雇われるのではなく、自分で商売をしたいと考えていたし、冒険するなら今しかないと。会社勤続20年を区切りに、独立しようと決意したのです」
 独立していったい何をしようか考えた時に思い出したのが、料理人になりたかった子供の頃の夢だった。その夢にしたがって、飲食店を開業すると決めた若山さんは、会社に勤務しながら料理学校に通ったり、経営を学べる学校に通ったりと、退職前から着々と準備を進めていた。これまでいっさい飲食店で働いたことのない若山さんは、会社を退職した後3カ月間、接客サービスを学ぶため、飲食店やホテルでのアルバイトも経験した。
 本格的に開業準備を始めるに当たり、若山さんには最後まで迷っていたことがあった。それは、都心か郊外のどちらで店を開業するか。都心であれば、賃貸契約した物件で、自分がつくった料理を提供するカフェを。郊外であれば、土地を購入して自前の店舗でレストランを。迷った末に若山さんが出した答え……。それは、東京郊外にある自宅周辺エリアで土地を購入し、店舗を建てることだった。
 「その理由はいろいろあります。都心は競合も多いですし、人件費や賃料など様々なコストも高い。それと、せっかく会社員を辞めたのに、また電車通勤するのはいやだという気持ちもありました(笑)。幸いある程度まとまった自己資金があったので、郊外なら土地付きの物件を購入できる。万が一撤退することになっても、自分の所有する物件なら売ることも貸すこともできます。次に何かを始める時の助けにもなると考えたのです。また、多店舗展開をする際、担保になるものを持っていたほうが金融機関からの融資が受けやすくなりますしね」
 購入した土地の広さは22坪。設計を含め約8カ月の工事期間を経て、2階建てのイタリアンレストラン「グリーングローヴ」は、2005年12月にオープンした。閑静な住宅街の一角でグリーンの看板が店の存在感を主張しているものの、この街の風景にぴったりとなじんでいる。
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この店のコンセプトは、地域に愛される食堂のようなレストラン

 グリーングローヴのコンセプトは、地域の人に愛される店。そして、街の食堂のように気軽に利用してもらえるレストラン。若山さんはこの場所で店舗を持つことを決めた時から、料理は自分ではつくらず、プロに任せようと決めていた。開業前にアルバイトしていたホテルで知り合った、ベテランシェフを迎え入れることができ、料理内容はシェフの得意なイタリアンに。また、植物や雑貨の販売コーナーの設置、ペット連れも入店可能なスペースを用意するなど、様々な趣味を持つ人々が楽しめる店づくりを目指した。
 「郊外の住宅街で運営していくなら、しっかりとした特徴を打ち出さないとだめですね。お買い上げの花の苗やグリーンをお包みしている間に、お客様にランチを楽しんでいただく……そんな使い方もしていただけるのではと思い、植物やガーデングッズも扱うようにしたのです」

平日のランチは盛況。ディナーへの集客が今後の大きな課題

 40席あるレストラン&テラススペースと物販コーナーは、若山さん、奥さま、シェフの3人と、アルバイトスタッフの常時4、5人体制で運営している。オープン当初から、お得感のあるランチやディナーメニュー、サマーナイトガーデンメニューといった月替わりのメニューも企画し、集客のための工夫を続けている。パンやケーキなどのスイーツもホームメイドにこだわった。そんな努力のかいあって、地域コミュニティ誌の「地元の自慢したいランチの店ベスト10」にも堂々ランクイン。こうして、着実に顧客数は増えているものの、経営はまだまだ軌道に乗ったとはいえない。
 顧客の約8割は女性。そして、そのほとんどが主婦ということからも、平日のランチタイム需要が圧倒的に多い。週末には子連れのファミリーも増えるが、平日、週末ともに、ディナータイムへの集客が今後の大きな課題だ。また、植物や雑貨などの売り上げはまだ店全体の約1割。こちらの販促にも力を入れたいところ。
 「まだまだやりたいと思うことがあります。今はそれをひとつずつかたちにしていくことに専念しなければ。せっかくこれだけ広いスペースがあるわけだし、より多くの地元の人々に愛される店にしていきたいですからね」

■オープンまでの経緯
 
2004年 9月 飲食店の開業のため会社を退職
2005年 3月 土地の購入契約をする
2005年 4月 設計開始
2005年 9月 工事着工
2005年 12月 2日オープン
 
SHOP DATA
所在地
東京都東大和市南街6-93-5
広さ・席数
22坪 40席
最寄り駅
西武拝島線東大和市駅
平均客単価
1200円(昼)、3000円(夜)
電話
042-506-8740
http://greengrove.jp
売り上げ
非公開
営業時間
11:30〜21:30(L.O)
経費
130万円/月(家賃、光熱費、人件費)
定休日
月曜
仕入れ
売り上げの30%

開業のノウハウ