CASE77システムコンサルタント

支援企業を活用することで
苦手な“営業”をカバー&強化

エンジニアとして独立したプロワーカーには、“営業”に苦手意識を持っている人が少なくないようだ。会社員時代、上流工程の仕事に携わっていれば要件定義などクライアントと折衝する経験はしているだろうが、価格や諸条件の折衝まで営業同等に行っていた人となるとまれだ。独立後の営業シーンでは主導権をクライアントに握られてしまい、仕事をもらうためには希望より低い条件でも仕方ないと妥協することになってしまう。

システムコンサルタントとして今年2月に独立した髙野さんも、「営業は自分の弱点」だという。大学を卒業してからずっとエンジニアとして働いてきたが、これまで企業に就職したことはない。



「高校生の頃から演劇の世界に憧れ、その道で食べていこうと決めていましたから就職活動はしなかったんです。演劇活動を続けつつ劇団のオーディションを受け、その間の生活費を稼ぐために始めたのがエンジニアの仕事です。それ以来、請負契約で仕事をもらっていたため、条件面で不満を感じたことが度々ありました」

ある日、常駐先のプロジェクトに他社から派遣されていたエンジニアと話をしていて、同じ業務なのに自分の価格が安いことがわかった。調べると、髙野さんが請負契約をした開発会社が相場以上の利益を取り、安くエンジニアに委託していたのだ。しかし、いくら契約更新時に交渉しても価格条件の変更は認められなかった。

「仕事内容には十分満足していたのです。次世代携帯電話のサーバーアプリケーション開発など、大きな案件の営業代行をしてもらえ、プロジェクトに専念できるメリットは確かに大きかったから。でも、どれだけ成果を挙げても収入に反映されない不満はずっとありました」

そんな不満も、プロワーカーの営業支援を行う企業との出合いで解消する。その企業は上流工程案件を中心に扱い、プロワーカーと企業が対等な契約形態が組まれており、また他社案件との掛け持ちも認められている。さらにプロジェクトでの成果によっては、契約終了後にクライアントから直接仕事をもらえるチャンスもあるという。

「社会に出てからずっと個人で仕事を受けてきましたから、常に自分の価値を高めていく、常に責任を持って仕事をする、常に対価以上の付加価値を提供するという姿勢が、自然と身についたのだと思います」

ある大手通信会社の顧客管理システム再構築ではプログラマとして参画したが、クライアントから高く評価され開発チームリーダーに昇格。さらに数社のベンダー代表としてユーザー企業との障害対応折衝まで任されたこともあった。

「今は、苦手な営業は支援会社の力を借りてカバーし、自分の価値を高め期待以上の成果を提供して、正当な報酬を得られる関係を保っていきたいと考えています。そして、今後は弱点である営業にも挑戦していかなければ、と思っています」



PROFILE

髙野 清さん(33歳)

1975年、東京都生まれ。東京理科大学在学中に劇団を創立し、将来は演劇の道へ進むことを決意。卒業後はシステム開発会社の仕事をしながら、オーディションを受ける。その後、演劇を一旦休止して好奇心を刺激されたエンジニアの道へ。2007年には同業者と起業し、副社長として2年間在籍。2009年にプロワーカーとして再独立する。

取材・文●岩見浩二 撮影●松本朋之
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会

[ 2009.03.06 ]

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FMラジオ、Podcastは街歩きしながら情報収集や気分転換ツールとして活用。本はビジネス書、趣味系など2冊は常に携帯

POLICY

クライアント、パートナーなど自分と一緒に仕事をする人たちみんなが「ハッピー」になることを大切に考える。

HOLIDAY

自分の中でONとOFFは表裏一体をなしているため境目は限りなくグレー。休日に仕事をしても、押しつけられたわけではないのでストレスなし。

MONEY

正当な成果報酬を得るため、契約更新後にそれまでに出た成果をもとに、価格アップ交渉を行うようにしている。

SATISFACTION

プロジェクト・マネージャーなどリーダー業務が多くなり、メンバーの成長や笑顔が見られた時など、至極の喜びを感じる。