CASE71キャリアコンサルタント

“人”をはぐくむ研修を通じて 組織も社会も、自分も元気に!

会社が費用を負担することの多い従業員研修は、社会人になってからの最も手軽で身近な学びの機会だろう。しかし人は与えられる学びに対して受け身になってしまいがち。受講する人のモチベーションを高め、学びを実践力に変えていくには、研修を行う講師の豊かな経験と実力が必要になる。

「社会人の学びは知識を知恵に変えること。さらにその知恵を仕事の現場で使えるようにしなきゃ!」と元気に語る明浄さんは、理論(気付き)と実践(トレーニング)の両柱で教育研修を行うコンサルタントだ。専門はリスクマネジメント、人材育成コンサルティング。企業と個人の「信用」にかかわる分野。活躍の場は一般企業や金融機関での従業員研修をはじめ、行政機関でのキャリア研修や中小企業の経営サポート、起業相談など幅広い。

「今の仕事のベースは、金融機関で働いた20年間の積み重ねです。支店で10年、本部で10年。本部では人事部で研修の企画から運営や管理までトータルに経験して、新入行員や女性行員向けの研修ではインストラクターも務めました」

その後企業審査・企業格付け業務にも従事、約1000社の取引先の貸出審査を担当したという。そんな現場での経験が生き生きと語られる研修や講演が評判を呼び、今や全国の金融機関から引っぱりだこの人気講師となった。

独立を考えたのは42歳の時。「60歳で定年退職するとしたら、残りはあと18年でしょう?勤め続ければこれまでの20年の繰り返しになるかもしれない。迷いの中で、私は組織にとって一番大切な“人”を手助けする仕事をしよう!と気付きました。そんな時、金融業界づてに仕事の依頼があったのです」

もちろん待ちの姿勢ではない。コンサルタントとしての基礎固めにと産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を取得。また大阪市の中小企業支援センター「あきない・えーど」で経営や企業についてのアドバイザーを務めるなど積極的に活動した結果、口コミで順調に仕事が増えていった。

「独立した当初は研修の企画書を作って売り込んだりもしましたよ。常に自分から求めていくことが大切だと思うので」。そんな明浄さんは「生涯学び」をポリシーに掲げ、今年からMBA取得を目指して大学のサテライトキャンパスに通っている。自らの成長を研修に生かし、受講する人の成長にもつなげるというポジティブな道を切り開いている。

ハツラツと生きる明浄さんは実年齢よりも若く見られることが多いが、講師にとっては年齢を重ねることがプラスに働くこともあるという。

「例えばまず女性である点で、高い年齢の男性受講者の信頼感を得るまでのハードルは高い。年齢を上手に味方につけることも大切なんです。自分の仕事や生き方に責任を持つ本当の大人として、頼られる存在でありたいと思います」



PROFILE

明浄 太津子さん(50歳)

1958年大阪府生まれ。大学卒業後、金融機関に就職し、支店にて10年(融資、渉外、外国為替など)、本部にて10年(人事部研修課、審査部)。2002年に「マネジメント・サポート」の屋号でコンサルタントとして独立後、外資系企業のコールセンター設立に参画(電話応対マニュアルの作成、研修業務、規定整備)。現在は主として行政機関、金融機関、および一般企業の研修を受託。2007年4月からは大阪市職員人材開発センターにて、大阪市職員のキャリア相談・キャリア研修業務を受託中。

取材・文●目次あき 撮影●マツラヒデキ
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会

[ 2008.12.05 ]

営業ツールの写真

研修のスケジュールや出張予定を手帳に書き込む。まずは依頼者の経営方針チェックから。金融機関からの依頼を受けた時には業界情報満載の「金融手帳」もチェック

POLICY

人間には一生学びが必要だと思う。長い人生の中では仕事に集中するべき時期緩和の時期など波はあるものだけど、生涯を通じて学習への意欲を持ち続けることが大事。

HOLIDAY

長期契約と単発の研修に加えて毎週末のMBAプログラム受講もあり、不定休。まとまった休みを取ることはほとんどない。暇があればスポーツクラブへ。

MONEY

独立後、収入はアップ。でもお金に欲張るとキリがないので生活に必要な分だけあればいい。人の縁を大切に、愚直に自分の仕事に邁進すべきと考える。

SATISFACTION

受講者の研修中の反応や研修後の成長ぶりに感動できること。いいことは素直にうれしいし、たとえ結果がダメでも結局はぜんぶ自分のためになる。