CASE62イメージコンサルタント
内外面のトータルコンサルティングでコミュニケーション力の向上を指南
自分の「外見」をどこまで気にしていますか?
ここ数年来の自己啓発ブームで、仕事に取り組む心構えやモチベーション、問題解決の方法、交渉術や社内の人間関係など、いわゆる内面の向上に関する書籍や雑誌記事、セミナーはちまたにあふれている。しかし、外見となると意識の高い人でも「おしゃれ」の範疇にとどまっているのがほとんどではなかろうか。
「外見、特に第一印象は皆さんが思っている以上に、後々まで尾を引くことが多いのです。最初の印象が良いとビジネスも後々スムーズに進みます。外見のコミュニケーションはそれほど大切なのです。外見を、人に自分を良く見せるためのツール、コミュニケーションツールの一部としてコンサルティングを行うのがイメージコンサルタントの仕事です」
伊勢田さんは、色がもたらす心理術(カラー戦略)、その人に似合う色(パーソナルカラー)から、洋服のコーディネート、表情のつくり方や態度、しぐさなどの立ち居振る舞い、人の心をつかむジェスチャーや話し方まで、見た目の印象をアップするための様々な要素をトータルでアドバイスしていく。しかも、すべてワンポイント・アドバイスで、今すぐできるような簡単なことを中心に提案している。
「ちょっとしたことを変えるだけで見た目の印象は変わります。だから、誰でも簡単にできることを中心に提案しています。例えば、人と話す時の手の位置。机の上にあるか下にあるか。上にあるなら、手のひらの向きが上か下か。それを変えるだけで、相手が持つ印象は変わります。また、おでこも重要です。おでこを出すと『人を受け入れる』という印象を与えて、仕事ができるようにも見えますよ」
伊勢田さんの仕事の場は多岐にわたる。セミナーは民間企業で営業職や派遣社員を対象にしたものや、商工会議所などからの依頼も多い。ミスユニバース出場者を輩出するマナースクールの講師、経営者や個人事業主などの個人クライアントにもアドバイスする。一風変わったところでは、地方自治体で毎年選ばれる「ミス○○県」のミス研修も担当している。
もともと伊勢田さんは、この仕事を「やりたかった」わけではなかったという。転機は、福岡で家業を継がなければならなかった夫との結婚。大手情報誌系出版社の営業職として2年、法律事務所でパラリーガル(事務職)として5年勤めたものの、結婚して移り住んだ福岡で職を見つける自信がなかった。ならば独立しようと、たまたま読んでいたメールマガジンの著者にコンタクトを取り、個人レッスンを依頼。その内容がパーソナルカラーについてだった。
「私は人から怖く見られがちだったのですが、カラーを勉強したことでその印象が変わりました。それが面白くて、人にも伝えていきたいと思ったのです。今も利益追求ではなく、自分が楽しいから、またイメージコンサルティングを知ってもらえるのが楽しいからこの仕事をしています。ほかの経営者からは『甘い』とか『もっと拡大すればいいのに』と言われますけれど(笑)」
開業から約9年、伊勢田さんは一度も営業活動をしていない。ホームページと顧客の紹介のみで依頼は増え続けている。それを可能にしているのは「良い仕事をすれば、必ず自分に帰ってくる」という強い信念だ。そして、言葉にはちょっとこだわりがあるという伊勢田さんから、読者へのメッセージ――。
「人は言葉によって動くこともやめることもできます。『私にはできない』と言って自分で自分を制限するのは思い込みです。独立してやっていけるかどうかなんて、やってみなければわかりませんよね。だったら『でも』『だって』は言わない。思い込むなら良いほうに思い込んで、とにかくやってみる勇気を持つことが大切だと思います」
PROFILE
伊勢田 幸永さん(33歳)
1974年、神奈川県生まれ。短期大学卒業後、(株)リクルートに入社。アルバイト情報誌の新規開拓営業を担当。2年後に退社し、法律事務所に転職。パラリーガルとして民事・刑事事件などの業務に携わる。99年、結婚を機にイメージコンサルティングの勉強を開始。同年、オフィスカラーステージを設立しプロワーカーに転身。2002年、東京オフィスと福岡オフィスを設立する。
取材・文●山根洋士 撮影●井出マコト
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会
[ 2008.07.04 ]

実際にその場で組み合わせや色を見せて示すために、男性物のシャツとネクタイ、カラーチャートはいつも持ち歩いている。
POLICY
人を魅力的にするために、出し惜しみをせず全力を尽くす。そして常に学ぶ。今も大学でコミュニケーション学を受講。
HOLIDAY
独立してから3年間休みなしの時期もあった。今は仕事をセーブして休みを取るようにして、自然と触れ合う機会をつくっている。
MONEY
金銭感覚は昔も今も特に変わっていない。昔は「ざる」で、入ったらすぐに使ってしまい貯蓄ができなかったが、最近はしている。
SATISFACTION
どのクライアントも最初は緊張しているが、最後には笑顔になって喜んでくれる。その時が仕事をしていて一番うれしい。