CASE54IPOコンサルタント

監査法人、証券会社、上場会社。三方の経験を持つ上場支援のプロ

20年以上にわたり資本市場にかかわる仕事をしてきた平山さんは、その経験を生かして独立。現在、IPO(株式公開)コンサルタントとして活躍している。プロワーカーに業務を委託する企業にとって、彼らが持つ知識や豊富な経験は最大のメリットだが、同時に社外の人間としての第三者視点にも期待している。平山さんも上場準備を進めている取引先企業から、客観的な意見や評価を求められている。

「IPO業務に関して、私は過去に監査法人、証券会社、上場準備申請会社という3者の立場を経験しました。それぞれの局面から問題解決を図ってきた人材は希少ですし、この経験が私の最大の強みです。加えて、どの企業にも属さないプロワーカーという立場は、私の手掛ける事業には好都合といえます」



2006年5月に独立した平山さんは、IPOソリューションズ(株)を設立。中小企業を元気にするために、資本市場への参入障壁を取り払いサポートする“水先案内人”として、各種の支援事業を展開している。株式公開に関するコンサルティングのほか、内部統制、M&A、財務評価などの業務にはそれぞれ強みを持つ公認会計士や弁護士などの専門家とパートナー契約を締結。案件ごとにプロジェクトチームをつくり、組織力を生かしたサービスを提供できる体制を整えた。

「この仕事は営業面で言えば、金融機関やベンチャーキャピタル、監査法人などからの紹介がほとんどです。口コミで仕事が来るような狭い世界ですから、個人の信用は何よりも大切。筋違いな仕事をしようものならパタッと仕事が来なくなる怖さもあります。品質管理が仕事の肝になりますから、私がパートナーを選ぶうえではプロ意識を判断材料にしています」

平山さんは現在、IPO支援サイト『上場ドットコム』認定コンサルタントとして会員企業向けの無料相談にも応じている。さらに、企業で働くCFO(最高財務責任者)や株式公開業務担当者たちを“IPOコンサルタント”として募集し独立を支援する事業も取り組み始めた。

「IPO業務はハードな業務の割に給与が見合っていないことに悩んでいる人は多いのです。実際に私が独立したきっかけもそこでした。3人の子供を持つ我が家は将来膨大な学費が必要。生涯年収を計算した結果、倍働いたからといって給与が倍になることはない、会社に勤め続けていることこそリスクが大きいとわかったのです。成果を挙げて仕事の単価を高めていくことができる働き方も、プロワーカーのメリットですね」



PROFILE

平山 眞一さん(48歳)

1959年、東京都生まれ。大学を中退後、監査法人にて監査業務およびIPOサポートに従事。同法人の紹介により上場準備申請会社に入社。店頭上場・東証2部上場・東証1部指定準備を主管。上場後はIRを担当。その後、証券会社にて主幹事案件の上場を成功させ、5年間で11社の上場支援を行う。2006年5月、IPOソリューションズ(株)を設立し独立。

取材・文●岩見浩二 撮影●松本朋之
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会

[ 2008.03.07 ]

営業ツールの写真

パソコンでのデータ持ち出しができない資料は出力紙で保管。取引先訪問時には膨大な資料を運ぶためカートを使用

POLICY

クライアントには、自分の持つ情報に恣意性を絡めず、客観的な事実をもとに話をする。この姿勢は昔から変わらない。

HOLIDAY

平日は取引先を訪問し、週末はオフィスでまとまった仕事をこなす。休みはほぼないが、空き時間をオフと考え楽しむ。

MONEY

家計が回るだけの収入があれば十分と考えている。事業で出た利益は、個人収入の増額より先に会社運営資金に充てる。

SATISFACTION

IPOは経営者、従業員、株主などステークホルダー全員をハッピーにする。そこに携わる自分も幸せで達成感を得られる。