CASE53業務コンサルタント

自分のすべてを提供する理念から「祐介」を社名に冠し事業開始

プロワーカーとして成功を収めている人に、共通して感じられるのが「請われる人材」ということだ。会社員時代に築いたITとビジネスの高い専門性を生かし、業務コンサルタントとして独立した山崎さんもそのひとり。昨年11月に独立したばかりだが、前職で取引のあったクライアントからすでに仕事のオファーが来ていたことから順調なスタートを切れた。

お客さんに『山崎さんと一緒に仕事をやりたい』と言われたその言葉は、私が独立を考える大きなきっかけになっています。会社員時代はメーカーやベンチャーなど数社で働いてきましたが、どの企業に属していても『自分は常にクライアントのほうを向いて仕事をする』というポリシーをずっと持っていました。個人として付き合っていた感覚に近いですね」



その働き方を象徴したエピソードがある。外資系コンピュータメーカーの社員だった時、直販営業部隊を支援するSEとして企画提案業務を担当した時のことだ。自社製品やソリューションを中心に複数社の製品を検討するマルチベンダーとして携わった案件でサーバー部分を担当した山崎さんは、打ち合わせ資料を作り、ベンダー調整を行い、最終的に企画提案書をまとめていた。

「自社製品をひとつでも多く採用される提案書にまとめることが会社の望むところですが、中には他社の製品が適しているものも。そこで、顧客にとって価値あるシステムを構築するという本来の目的のために、他社製品の導入部分は顧客からの要望という形で当社に伝えてもらえるよう担当者に取りつけ、提案書の社内チェックを通したこともありました。稟議を通すコツや提案書をまとめる技術は、独立後に役立っています」

会社員時代に様々な顧客のシステムに対して要件定義から企画・設計を担当し、プリセールスやプロジェクトマネジメントなど一通りの上流工程をこなせるノウハウが培われた。現在、山崎さんは個人事業主である技術者をパートナーとして迎え、自分の持つノウハウと仕事の機会を提供することにも力を入れている。早くも6名のパートナーが名乗りを上げ、業務に就いているという。まさに技術者にも請われているわけだ。

「仕事は生活を維持するために必要ですが、そこに自分の成長を実感し、現場の業務に役に立てたことを確認することができなければ、持続することは難しいでしょう。顧客に貢献することによって、共に成長しようとする技術者の受け皿となることを目指しています」

独立に当たり、法人登記を行った。その社名は「株式会社祐介」だ。自分の持つすべてを顧客に、パートナーに提供することを事業にした山崎さんの理念が凝縮されている。



PROFILE

山崎 祐介さん(40歳)

1967年、神奈川県生まれ。大学を卒業後、大手コンピュータメーカーにて通信制御装置のOS開発を担当。外資系コンピュータメーカーに転職し、上流工程(企画提案〜プロジェクトマネジメント)に従事。その後、ベンチャー企業で提案型営業、ITに関するコンサルティング業務を経て、2007年11月に独立。自らの名前を取った(株)祐介を設立する。

取材・文●岩見浩二 撮影●松本朋之
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会

[ 2008.02.15 ]

営業ツールの写真

組織に縛られなくなり、自由な発想ができるようになった。事業アイデアなどもノートに書きためている

POLICY

お客さまあっての商売」だと思っている。顧客のためを考えるポリシーは、会社員時代から今でも変わっていない。

HOLIDAY

クライアントの休日に合わせるため、週末はゆっくり休めるようになった。子供から「前より楽しそうだね」と言われる。

MONEY

初年度の収入は会社員時代に比べ3分の2程度と予測。事業成功後には売り上げの一部を地域発展に役立て貢献したい。

SATISFACTION

クライアントが机やFAXなど自由に使えるよう提供。自宅開業したことを知る担当者からも応援を受け、幸せを感じる。