CASE47行政書士&人材ビジネス業務代行

30代で取得した資格を生かし人材派遣・紹介のスペシャリストに

プロワーカーのメリットを聞くと真っ先に返ってくる答えが、「自由な時間が増えたこと」だ。今年1月にプロワーカーになった川島さんもそんな一人。会社員時代は毎朝6時前に起床し、往復4時間の電車通勤に耐えていたからだ。

「もう、こんな生活から抜け出したいというのが、独立した一番の理由です。毎朝死にたくなるような気持ちで目覚めていたのを思うと、この1年で生活パターンも就労パターンも大きく変わりました。おかげで家族と過ごす時間が増え、特に7歳の息子と平日から過ごせるのがとてもうれしい。この自由さはもう手放せないですね」

20年以上勤めた人材ビジネス会社では、その努力が買われ最後は常務を務めた。しかし、会社が社長の一存で売却され吸収合併されることに。その後1年は勤務したが、会社を大きくするというだけが目的の企業で働き続けることに自分の存在価値を見いだせなかった。


「社長に良く思われたいためだけに朝早くから夜遅くまで働いているというか、いったい何のために自分は仕事をしているのか、わからなくなりました。このまま一生を終えるつもりかって常に思っていました」

川島さんの強みは、20年以上に及ぶ人材ビジネス業界でのキャリアだ。派遣、紹介先の開拓からトラブル対応まで、あらゆる業務を経験してきた。川島さんは「会社勤めがいやになったという理由だけで独立したようなもの。家族はあぜんとしていた」というが、業界の反応は違うものだった。

「かつて付き合いのあった人材派遣会社から紹介事業を始めたいので、やってほしいという依頼がありました。常駐でなく、出社も退社も自由なので、喜んで引き受けました。仕事の内容は営業支援や転職希望者のキャリアカウンセリングなど。ただし成功報酬だけでは生活できないので、会社によっては固定の活動費をいただいています」

それに加えて「武器」となったのが、30代後半に取得していた行政書士資格だ。川島さんは自宅を拠点に行政書士事務所を開業した。時間をうまく使い分け、人材ビジネスの仕事と行政書士の仕事という二足のわらじをはくというスタイルを確立した。

行政書士で得意とするのは、IT関連企業を対象にした外国人技術者や研修生の入管手続きの申請業務。まだ件数は多くはないが、「外国人をもっと日本へ」をスローガンに各社にPRをしている。こうした努力が実り、人材ビジネス関連の取引先は主として3社、スポット先が3社に拡大している。

「申請書類の多い行政書士業務は、PCインストラクターだった妻に任せています。私は資料づくりが苦手なので、とても助かっています。独立してからしばらくは「このままやっていけるのか?」という不安で目覚めましたが、逆に毎朝早く起きてウォーキングをするのが楽しみです。



PROFILE

川島 幸雄さん(52歳)

1955年、埼玉県生まれ。大学卒業後、中堅商社に入社。30歳を機に人材派遣会社に転職。30代後半には行政書士、初級システムアドミニストレーター、第2種衛生管理者といった国家資格を取得。2007年1月にカワシマオフィスを設立。

取材・文●天田幸宏 撮影●刑部友康
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会

[ 2007.11.16 ]

営業ツールの写真

ICレコーダーは会社員時代からの必需品。交渉事は聞き洩らしが命取りになる。相手に悟られずに会話の内容を録音することもしばしば。

POLICY

出退社自由である業務以外は絶対に引き受けない。拘束されないことを一番大切にしている。

HOLIDAY

会社員時代は有給休暇を取ったことがほとんどなかったが、今は自由に時間を管理できる。

MONEY

独立して3カ月は収入ゼロという「どん底」を経験するも、月収が会社員時代に並ぶ日は近い。

SATISFACTION

この自由なスタイルに大満足。仕事を通じていろんな場面を演じられるのが面白い。