CASE45経営・経理コンサルタント
PROFILE
小山 久行さん(60歳)
1947年、熊本県生まれ。大学卒業後、大手製造会社で経理、人事、総務など事務全般にわたり経験。その後、卸販社に勤務し経理、財務、総務など事務およびシステム構築などに従事。退職前の4年間に2つの大学院で法学・会計学の専門課程を修了。2006年12月に独立。
定年前に大学院に通い自己研鑽。“高度専門職業人”となって独立
近頃は大学院でも「将来のプロワーカー」育成に取り組んでいる。というのは、多様化・グローバル化が進む社会の要請を受けて、各分野で指導的な役割を果たし国際的にも活躍できる“高度専門職業人”を養成する役割を担い始めたからだ。専門職課程を創設し、社会人の受け入れに積極的なところも増える中、小山さんも大学院で学ぶことにより、長年従事してきた経理や財務の専門性をさらに磨き定年を前に独立を果たした。
「大学院で学ぼうと考えたのは、定年後のことを意識するようになった頃でした。振り返ってみると、毎晩遅くまで働いてきた記憶ばかり。このまま人生を終わらせないために、自分の向学心を満たしたいと考えたからです」
小山さんは社会人でも通える学校を調べ始め、55歳の春より国士舘大学大学院の法学研究科で学び始めた。そこでは税法や商法、憲法など専門的な法知識から法理論的な事務処理能力を身につけることができた。また退職後は税理士として独立しようと考えていたため、修了すると税理士資格試験科目が一部免除されることも利点と考えていた。
「国税局の税務官にやり込められないくらいの知識を身につけたいと考えていました。しかし知識を深めていくほど、会社の中で経験したことなど、今学んでいることの何百分の一くらいのものだと思えてきたのです。独立していろんなお客さんに対応しようとするなら、勤め先での経験だけでは足りず、もっと幅広い知識が必要だと。そう感じた私は会計学も勉強したいと思い、高千穂大学大学院でさらに2年間学びました」
平日の夜や土曜日に講義を受け、日曜日は授業内容の整理や論文執筆という生活を送った小山さん。この4年間は、大好きなゴルフも断った。そして今年4月から、プロワーカーとしての活動を始めた。
「税理士になるより、困っている企業のために学んだ知識を生かしたいと考え、経営・経理のコンサルティングや実務指導を手掛けています。再出発したばかりですが、若い頃のように向学心を持って取り組みたい気持ちがあふれ、充実しています」
取材・文●岩見浩二 撮影●松本朋之
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会
[ 2007.10.12 ]

在籍した大学の図書館は卒業後も利用可能。入手困難な書籍や高額な専門書などを自由に閲覧でき、資料作成に重宝
POLICY
困っているお客さんの力になるのが信条。成果に不満だけは感じさせたくないため、仕事に手抜きは絶対にしない。
HOLIDAY
地方の取引先へ週末にかけて出張することが多いため、平日に休みを取る。趣味のゴルフを平日に楽しめるのも利点。
MONEY
開業から間もないため、現在は取引先1社と契約し月額で顧問料を得ている。大きく稼ぐことより仕事の内容を優先。
SATISFACTION
自分がやりたいことを選択し、それをやってよかったと自己評価できる働き方自体に大きな満足感を得ている。