先輩たちの独立事例集

先輩たちの独立事例集


松 あきこさんの写真

心身に安らぎを提供する
出張型ヨガスクール

ヨガ・セラピスト / 川崎市麻生区
松 あきこさん(32歳)

まつ・あきこ / 神奈川県出身。留学先の中国で太極拳などの武術を学び、体を動かす楽しさを実感。大学卒業後、旅行専門サイト運営会社に就職するも、妊娠を機にPC仕事が苦手となり退職。現在、子育てとヨガ指導を楽しむ日々を送っている。

独立準備のがんばりどころ

技術はスクールで、経営ノウハウはセミナーで習得

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講座を開催する食材宅配会社、らでぃっしゅぼーやの「スタジオ@青葉台」にて。電気を消した静かな空間に、訓練を積んだ松さんの声が、静かに強く響く

ヨガのインストラクターは資格を必要としない仕事ですから、何よりも自分の技術が看板となります。独立前からヨガ教室に通っていましたが、先生が新たにインストラクター養成講座を開設するというので、そちらも受講。一所懸命、勉強しました。先生に「インストラクターは技術と指導力が必要なのは当然だけど、生徒にしっかり伝えるための声がとっても大事」と教わり、確かにそうだと納得。体調や精神状態が声に表れ、それが受講生に伝播するので、体調管理なども心がけました。

その一方で、独立してフリーランスでやっていくには経営の知識も必要だと考え、ビジネスセミナーも受講することに。自分は何がしたいのかとても明確になりましたし、思いをかたちにするにはどうすればいいのか、様々なノウハウを学ぶことができました。それからは、やりたいことを思いついたらすぐにメモ。時間ができたらそれを文章としてまとめることで、頭の中を整理していきました。

イベント開催で「プチ先生業」を経験。集客は無料のブログを活用

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「パワーヨガ」は動きに連動性があるため、集中しやすく、終わった時はじんわりと汗が流れ、爽快感もある。ふたりの子どもを持つ松さんは出産直前までヨガをしていたとか

本格的にスタートする前、ベビーマッサージを教えている知り合いと一緒に公民館などで共同イベントを開催し、「プチ先生業」を体験してみました。集客のために知恵を絞り、生まれたアイデアを実践し、実際に人を集めて教えるという、スクール経営に必要な一連の流れを経験したことで、これを仕事にしても苦にならない自分、楽しめる自分を発見できたことが大きかったです。事業継続への自信にもつながりました。

営業場所は、通っていたヨガ教室の先生や、リフレクソロジー、ベビーマッサージなどの仕事をしている仲間たちから紹介してもらいました。もちろんそれだけではなく、自分でも開拓していこうと。生協で講師募集しているチラシを発見し、営業先を確保。自治体が運営する市民会館を借り、定期的に教室を開くことも決定。生徒募集の告知方法は仲間たちからもらったアドバイスに従い、無料のブログを活用してクチコミで広げていくことにしました。

出張先は食の安全に意識の高い企業を選び、“想い”と事業を一致させる

子育てと仕事を両立して続けてくためには、保育園に子どもを預かってもらうことが必要だと考え、開業届けを税務署に提出したんです。これが結果的に正解でした。私が住んでいる地域では、税務署の担当税理士が自宅に来て、事業規模に合った帳簿の作成方法をレクチャーしてくれるサービスがあったんです。おかげで、経営者意識も明確になりましたし、初めての確定申告もあわてることなくスムーズにできました。

現在、自治体施設での定期講座、企業・個人宅への出張講座を中心とし、食の安全に対する意識の高い食材宅配会社のカルチャー教室でもヨガを指導しています。私は「ヨガ・セラピスト」という肩書を付けているのですが、それはヨガによる安らぎを人に提供することで、地球全体に安らぎを伝承させたいという“想い”があるからなんです。これからも子育てとスクール運営を両立させながら、自分のペースでこの事業を続けていきたいと考えています。

取材・文 / 石田恵海 撮影 / 魚住貴弘

ちょっと気になる10問10答

  • なぜ独立した?

    子どもが生まれてから、それまで以上に食の安全を考えるようになりました。無農薬野菜などの宅配システムを利用し始め、その運営会社が主宰しているサークルに何度も参加していたんです。そこには雇われずに自分で仕事をつくり出している女性がたくさんいて、かなり影響を受けました。子育てを楽しみながら好きな仕事を自分のペースで続けたいなら、独立すればいいんだと。また、妊娠による体の変化からか、PC仕事に激しい疲れを感じるように。そこで産後、体調改善のためにヨガを習い始めたら、効果はてきめん。ヨガの素晴らしさを多くの人に伝えたいと考えるようになり、インストラクター養成講座を受講。独立を決意しました。

  • 開業資金は?

    サロンを構えず出張型の教室にするつもりだったので、特に開業資金は用意しませんでしたが、ヨガのインストラクター養成講座の受講料やビジネスセミナー、書籍などの自己投資を開業資金ととらえると、50万円ですね。

  • 開業資金はどう集めた?

    自己投資した50万円は、会社員時代の貯蓄です。使わず残しておいて良かったです。

  • 周囲の反応は?

    夫からの反対は特になく、かといって大賛成でもなくといった感じでした(笑)。彼は「何でも好きなことをやったらいいんじゃない」という姿勢です。姑は心配性なので「しっかり稼げるの?」と心配されましたが、迷いはまったくありませんでしたね。私が独立するきっかけをもらったサークルの友人たちは、独立している人や独立を考えている人が多かったので、いろいろアドバイスをもらい応援もしてくれたので、心強かったです。

  • 不安だったことは?

    うーん。ないですね。身ひとつで始められる仕事なのでリスクも低いですし、多額の借金をして始めたわけでもないですし。できることから少しずつやっていくつもりでいましたから、これといった不安を感じないまま始めていました。

  • 役立った情報源は?

    サークルの先導者に教えてもらって読んだ、経営コンサルト・神田昌典さんの本は情報源のひとつですね。とっても勉強になりました。「どんな素晴らしい仕事でも、見せ方がうまくないと続けられない」というのは、まったくそのとおりだよなぁと。あと、ヒマがあればとにかく自分がやりたいことを文章にして整理していきました。自分からの情報を引き出すというか、目に見えるかたちにすることは大事ですよ。

  • 相談相手は?

    サークル仲間です。「生徒募集の告知はブログを使ってクチコミで広げるといい」など、有益な情報をたくさん教えてもらったり、自治体の施設を借りて一緒にイベントを開催したり。ちなみに最近の相談相手は夫ですね。私はちょっとでもトラブルに遭うとクヨクヨしてしまいがちなのですが、夫は逆で強く出るタイプ。彼の意見を聞いていると、物事を別の視点からとらえ直せることができて、「フリーランスは守ってくれる後ろ楯がないのだから、意思表示をしっかりしなくては!」と、元気が出るんですよ。

  • 独立して一番困ったことは?

    ふたり目の子どもを妊娠した時です。ヨガは妊婦でもできるのですが、さすがに出産前後は教室を休まなければなりません。知り合いのインストラクターに代行をお願いし、何とかしのぐことができました。またその年、インドの山奥にヨガの研修に行くことを計画していたのですが、それもできなくなって……。子どもを持つとガマンしなくちゃいけないことが増えるんだと、その時は落ち込みました。でも今考えれば、出産のほうがずっと大事なこと。もっと人生を長い目で見て、本質を間違えないようにしなければと反省しました。

  • 独立して一番良かったことは?

    大好きなヨガを通して、人に喜びをあげられて、そのうえ自分も気持ち良くなれることですね。また、経営者になってから、興味分野がかなり広がりました。それが勉強にもなっていますし、楽しいんです。

  • 独立を志す人へのメッセージ

    何かをしたいと考えているだけの人よりも、何かをしたいと動いている人のほうが、人からアドバイスをもらえるチャンスが多いんです。たとえば自分のやりたいことをブログに書いて伝えてみる、隣の人に話しかけてみるなど、独立したいならとにかく「公言」することが大事だと思いますね。ヨガの先生から聞いてとっても納得した言葉に「果報は“練って”待て」というのがあるのですが、まったくそのとおり! 寝ていたら、チャンスは訪れないけれど、練っていればたくさんのチャンスが訪れますし、ここぞ!という瞬間にジャンプできる力が備わっているはずなんです。寝ないで、練ること。これ、大事ですよ。

開業
2003年10月

開業資金
50万円

従業員
1人

年間売上高
非公開

アクセス
http://plaza.rakuten.co.jp/brilliantspace/


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