先輩たちの独立事例集

先輩たちの独立事例集


加藤俊之さんの写真

国内外に人と情報を
提供する人材支援企業

株式会社ノーズフー / 東京都港区
加藤俊之さん(39歳)

かとう・としゆき / 茨城県出身。大学卒業後、証券、IT関連、物流企業、政府系プロジェクトでの勤務を経て独立。モットーは「思い立ったら即行動」。常に起業家仲間と酒場でつるんでいるが、深夜まで飲んだ週末の翌朝さえもジョギングや野球に夢中。

独立準備のがんばりどころ

首都圏や都市から遠い企業が切望していることを事業にして役に立ちたい

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右奥が小中高で同級生だったサブマネージャーの登内信博さん。その前の伊藤悠さんは幼少時から世界各国での生活を経験。左の萩尾祐子さんは韓国語通訳として活躍

「人の流れそのものを事業にしたい」と、そう思い立ったことが起業のきっかけです。独立前は経済産業省の起業創業プロジェクトのスタッフを務めていましたので、全国各地の起業家たちと会っていました。彼らの中で、特に首都圏や都市から遠い地域で頑張っている人たちが切望しているのは、東京や都市での営業活動を活性化させたいということ。しかし、東京に営業所を持つのは負担が大きすぎるということで、躊躇している経営者が多いことがわかりました。

そこで、東京で動いている人や使える場所を提供するような営業サポートを行うサービスがあれば役に立ててもらえるのではないかと考えたわけです。それまでの様々な仕事の経験から、人には情報が、情報には人が付いて回ることを実感していたので、人と情報とが融和することにより成り立つ事業がいくつもあることが見えてきたんです。

国内の人の流れだけでなく、中国や韓国にも目を向けた人材紹介サービスも展開

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中国や韓国の企業との契約書はもちろん日本語ではない。これらの書類をきちんと作成することや、それぞれの国に精通したスタッフを置くことで信頼を得ている

まず、法人営業サポートのアウトソーシングサービス、さらに事業所代行や販売代行サービス、そしてコンサルティングサービスに着手しました。また、それらと同時に進めたのが国際業務に特化した人材紹介サービスです。まず目を付けたのが中国市場。日本の企業で働きたいという中国人が多いことはわかっていたのですが、改めて調査してみると、中国の有力企業で働きたい日本人、中国に進出している日本の企業で働きたいという中国人や日本人も多いことがわかりました。

現在は、中国だけでなく韓国に向けての同サービスも行っています。サービス開始に当たっては、中国や韓国から日本に来ている若者が通っている大学や専門学校、語学学校の協力を仰ぎました。その狙いどおり、学校側としても生徒や卒業生の就職や転職に関する情報やサービスを望んでいたようで、スタート直後から軌道に乗せることができたのです。

すべての人が“オールウィン”の関係になることで事業は発展する!

こうして僕は仕事のことをついつい簡単なことのように話してしまうのですが、各学校に協力してもらうために、スタッフと共に都内にある学校という学校を一校一校回って、当社のサービス内容をこと細かに説明しました。さらに、中国人や韓国人の求人を行っている企業のデータも集めてデータベースを構築。その情報量は、今のところ当社が日本一だと思います。

現在、日本から中国、中国から日本、中国から中国、そして日本から韓国、韓国から日本、韓国から韓国と、6通りの人の流れをつくり出しているのですが、これをさらにアジア各国に、やがては世界中で展開することが目標です。このサービスの名称は「ALL?WIN Station(オールウィン・ステーション)」と名付けました。その名のとおり、サービスを提供する人、サービスを利用する人、そして、周りで支援する人のすべてが“オールウィン”の関係になることで事業をますます発展させることができると思っています。

取材・文 / 田村康子 撮影 / 加納拓也

ちょっと気になる10問10答

  • なぜ独立した?

    本当に正直にいいますと思い付きです。独立を考え始めてからは、自分がやってみたい事業に関して、どのように展開できるかなどを書き溜めるようにしましたが、それ以前に、「独立して好きなことをやりたい!」と単純に思い付いたことがそもそもの始まりでした。独立前は、経済産業省の起業創業プロジェクト「ドリームゲート」のスタッフとして全国各地を巡り歩いて大勢の起業家たちと会う機会に恵まれました。彼らの生き生きした姿や、仕事が楽しくて仕方がない様子にも大いに影響されたのだと思います。

  • 開業資金は?

    1000万円を用意しました。このうち、開業時に使ったのは、パソコン、机や椅子などの備品を購入した代金と家賃とを合わせた100万円。最初は知り合いのオフィスの空いているスペースを貸してもらったので、事務所費用はかけていません。残った資金は運転資金として残しておくことにしました。

  • 開業資金はどう集めた?

    1000万円のうち約7割が自己資金。これは独立前に株式投資で稼いだお金です。約3割は、数人の先輩起業家たちからの支援。「関連事業で協力できそうだから、お互いに頑張ろう」と快く出資してくれました。また、開業して間もなく、東京・港区の創業支援融資を受けて、さらに1000万円の運転資金を確保することができました。融資に当たっては、事業計画書のプレゼンがあったのですが、自分の感触としても「このプレゼンは成功だ!」という実感がありました。

  • 周囲の反応は?

    友人知人は起業している人が多いので、「その事業いいよ。やろうよ! やろうよ!」という意見ばかりでした。家族は無関心かな(笑)。そうそう、大学卒業後は証券会社に就職したのですが、そこからIT関連の企業へ、さらに佐川急便に転職してシステムの導入に携わり、その後ドリームゲートのスタッフになったのですが、その過程でも転職相談などは家族の誰にもしませんでした。決めたら即行動というタイプなので、気づいたら転職していた、また気づいたら起業していた、ということです。妻なんか、佐川急便に転職してしばらくした時に「じゃあ、パパもあのトラックに乗ってるの?」って聞いたくらいですからね(笑)。今も、「会社を設立して何かやってる……」くらいにしか思っていないはずです。ある意味、信頼してくれているのでしょうが、あれこれ言われるより楽ですね。

  • 不安だったことは?

    うーん、不安ですか……。そうですね……、「さあ、やるぞ!」とばかり考えていたので大きな不安はなかったというのが本心ですね。といっても開業後、予測どおりに売り上げが立たなかったら資金は減るのみ。運転資金は潤沢に確保しておこうと決めていました。そこで東京・港区の創業支援融資にも応募したのです。資金的なことで心配しなくてもいいようにしておいたことが、不安の払拭にもなったのでしょう。

  • 役立った情報源は?

    ドリームゲート時代に知り合った人たちとは情報交換をよくしましたし、今も頻繁に会って話をしています。何しろ、本人が起業家か、起業家の支援に携わっている人たちばかりですからね。といっても、情報交換の場はほとんどが飲み会(笑)。誰かに誘われればすぐに駆け付け、自分から何人かを誘って、日々飲み歩く。時には、その店で初めて出会った人とも盛り上がって、そのひとりが今うちのスタッフになっています。

  • 相談相手は?

    情報交換を繰り返していた起業家や起業支援をしている人たちです。僕は、自分が考えていることや計画している事業のことをベラベラしゃべってしまうほうなんです。それに対する反応や意見を参考に行動に移していくことも多いですね。知り合いの大学の先生から、「あまりしゃべるとビジネスモデルを真似されるから、やめたほうがいい」といわれたこともありますが、信頼している人には包み隠さず話すこと。それが自分のやり方だと考えていますし、いつもいい話につながっていることも確かなので、このスタンスは今後も変えないつもりです。

  • 独立して一番困ったことは?

    困ったこと……。開業から1年と少したっていますが、「うーん困った!」と思い悩んだことはないですね。今、この質問の答えに困っています(笑)。今思い出しましたが、証券会社時代に最低でも1日100軒の飛び込み営業をこなすというノルマがあったんです。一軒がダメなら次の一軒へと、どんどん動き回らないとこなせない数でした。その経験が今生きているのだと思います。困っているヒマがあったら行動すればいいということが自然に身に付いているのでしょう。AがダメならBはどうかと、視点を変えて行動に移していくことが大切だということですね。

  • 独立して一番良かったことは?

    第一に、毎日が“楽しい”ということです。スタッフや協力してくれている人たちとあれこれ話して、みんなで考えて仕事を進めていくことが楽しいんです。次に、雇われていた時と違って、やることのワクが決められていないので、“何でもやれる”こと。そして“一からやれる”ことに対するやりがいです。やりたいことが次から次へとわき出てきますが、一度に全部はできないにしても、「今後、こういうことをやっていこう」と考えるだけでワクワクします。

  • 独立を志す人へのメッセージ

    独立したい、起業したいと考えていて、ある程度計画ができているなら、勇気を出してチャレンジしてみることですね。会社員生活が長いと、「この安定した生活が……」と、不安になるかもしれませんが、会社を辞めることも勇気のひとつです。僕の場合は、例えていうと、泳げなくても水の中にボチャンと飛び込んでしまうタイプなのですが、自分もそのタイプと思う人なら、躊躇せずに行動してほしいです。また、会いたい人や相談したい人がいれば、アポイントを取って会いに行くこと。そうすることで新しい情報もどんどん入ってきます。独立後も、すぐ行動に移すという精神を貫けば、事業は生き物のように自然に成長するものだと思いますよ。

設立
2006年9月

資本金
1000万円

従業員数
4人

年間売上高
非公開

アクセス
http://www.knowswho.co.jp


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