先輩たちの独立事例集

先輩たちの独立事例集


橋本連さんの写真

人材紹介や覆面調査も行う
営業販売支援会社

株式会社ブリジア / 東京都新宿区
橋本連さん

はしもと・れん / 東京都出身。大学卒業後、大塚家具に入社。2005年に退社するまでの8年間、同期では常にトップの営業成績を維持。全国トップセールスとして、昇給・昇格の過去最年少記録を更新し続けるなど、多くの伝説を残して独立した。

独立準備のがんばりどころ

企業の成り立ちを研究し、事業計画を練り続けた3年間

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スタッフは、前職で年間3億円以上を売り上げていた営業成績トップ20位内のツワモノぞろい。その地位を捨て、彼についてきた。強いきずながうかがえる

独立するまでの3年間、仕事を終えた深夜は、すべて勉強の時間でした。本業の営業成績は最後までトップをキープしたまま、独立準備を行うと決めていたので、二足のわらじ状態。大変でしたけどね。まずは、企業という組織はどうやって成り立っているのかを研究することからスタートしました。私は営業職の経験しかないですから、たとえば、経理や法務はどういうことをするのか、どこまでするのかといったことをネットや本で調べていったんです。

その後は、独立して自分は何ができるのかと考えながら、ひたすら事業計画を練る毎日でした。事業は何百件と考えたんじゃないかな? ちょうどテレビ番組の『マネーの虎』がはやっていた頃だったので、もし、この事業を虎たちにプレセンした時に「マネー成立です」となるかどうか、なんていう軸で考えたりもしてましたよ(笑)。

法人営業の仕事を通じて、「人材」に関する課題に着眼

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起業当初は自身も営業職として飛び回っていたが、現在はできるだけ社長業に専念。スタッフと営業先との状況を確認し、指導する場面も

事業計画を練る際に気をつけたのは、決して人の真似をしないこと。これは学生時代から続けている剣道を通して学んだことなのですが、誰かの真似をするとその人を超えられないんですよ。ですから、いくら起業家のインタビュー記事を読んでも、この人のようにやったらうまくいくかな、とはいっさい考えないよう注意してましたね。

そうした作業を続けていく中で、行き着いたのが、営業・販売をサポートする人材ビジネス。まず、在庫を持つ必要がないので、小資本で始められるということ。そして、営業の仕事を通して、企業は優秀な人材の確保を課題にしながらも、それに割ける時間や採用コストがないということに着眼。何より営業の現場や、後輩育成の場面で培った自分のコミュニケーション力や指導力などをフルに生かすことができると考えました。

企業の実態を調査し、勝算を確信。事業の柱を構築した

人材ビジネスに的を絞りましたが、企業は人材に対してどれだけのコストをかけているのか、その実態を調査する必要があります。そこで、『四季報』などをチェックし、企業規模と使われている人件費を照らし合わせていくことで裏付けを取り、勝ち目はあると確信。人材紹介、営業・販売代行、人材研修、販売のプロが行う店舗の覆面調査の4つを事業の柱にすることに。

私の場合、最初からスタッフを雇って企業組織として始める予定でしたから、企業経営のあり方を知ることと、自分の力を発揮できるビジネスで、成立する事業を練ることが一番の準備だと。このふたつを突きつめました。結果、それで正解! 収入目的ではなく、自分にほれ込んでついてきてくれた仲間たちを路頭に迷わせることはできませんから。

取材・文 / 石田恵海 撮影 / 刑部友康

ちょっと気になる10問10答

  • なぜ独立した?

    経営者だった父親の影響もあって、入社3年目あたりから独立を考え始めました。漠然とですが、30歳までには独立しようと。仕事が面白くなればなるほど、経営者になりたいという気持ちが強まっていったんです。家具メーカーで働いていても営業職しか経験ないですから、家具をつくっている人の思いも、配送をしている人の気持ちも私はわからないんですよね。それ、全部知りたい。全部自分も経験したいと思ったんです。ゼロから自分で会社を立ち上げれば、それぞれの仕事の素晴らしさをすべて味わえるんじゃないかという思いもあって、起業を選びました。

  • 開業資金は?

    800万円です。在庫不要の人材ビジネスですから、オフィスを借りるための保証金などに100万円ほど使ったくらいでしょうか。最初は有限会社でスタートしたので 500万円を資本金にして、残りはすべて運転資金に充てました。ちなみに現在は、500万円の増資を図り、資本金1000万円の株式会社に組織変更しています。

  • 開業資金はどう集めた?

    入社当初からボーナスの半分は貯蓄したり、8年間コツコツ貯めていきました。借金だけはしたくなかったですしね。

  • 周囲の反応は?

    いや?、そりゃあもう、周囲からは大反対ですよ(笑)。起業したのは結婚して1カ月後でしたし、責任取れるのか、と。会社での営業成績も良かったですから、上司からもかなり引き止められましたしね。でも、最終的にはほとんどの方が応援してくれ、部下もついてきてくれました。

  • 不安だったことは?

    だらけです(笑)。未経験分野での仕事でしたし、金もコネも人脈もない。ないないづくしでしたからね。おまけに、私についてきてくれた前職の部下たちの人生も背負っているわけです。相当のプレッシャーがありましたよ。

  • 役立った情報源は?

    ビジネス誌で様々な起業家の起業までの軌跡などが書かれた記事を読んで、経営者になるということはどういう喜びがあるのかを知りました。また、心理カウンセラーや中小企業診断士など、コミュニケーションを武器として仕事する分野の起業本も役に立ちましたね。「企業は何を望んでいるのか」と「起業家は何を喜びにしているのか」。このふたつを知ることを目的に、雑誌や書籍などを選んで読んでいたような気がします。

  • 相談相手は?

    いなかったです。というよりも、一度誰かに相談すると、そのままズルズルずっと相談してしまうような気がしていましたし、まだ自分は人に相談できるレベルには達していないとも思っていました。それは今でもそうですね。異業種交流会を主宰して、様々な起業家さんと情報交換はしていますが、相談となると、まだまだかな、と。

  • 独立して一番困ったことは?

    オフィスを借りようと不動産会社に行っても冷たくあしらわれたり、審査に落ちたり。営業に行っても信用してもらえず、話すら聞いていただけなかったり……。名前が知られていない会社は、こんなに大変なんだと。勤務先だった大塚家具という看板の大きさを思い知りました。オフィスは何とか借りられましたが、営業に関しては、とにかく無駄な方法でもいいから、すべての方法にチャレンジしてみようと。ありとあらゆる営業手法を駆使して、何が無駄で何が無駄ではないのかということを把握するところから始め、少しずつ信用を築いていきました。

  • 独立して一番良かったことは?

    会社員時代は企業側に提案しても実現できなかったことがいっぱいありましたが、それがひとつもないことでしょうか。すべてにこだわって、ひとつずつつくり上げていける楽しさがあります。やりがい、ありますねぇ。「サイコーの自己満足」といわれれば、そのとおりなんですけど(笑)。

  • 独立を志す人へのメッセージ

    大きな夢や理想を追うのもいいですが、それだけでは食べていけません。スタッフを雇う予定があるなら、その人の人生も背負うわけですからなおさら、借金を背負う以上の圧力が自分にかかります。夢も大事ですが、まずは「自分には何ができるのか?」を考えて、そこからスタートしたほうがいいと思いますよ。誰でも得意、不得意がありますし、前職で培った経験もあるでしょうから。自分にできることは何なのか、突きつめて考えてみてください。

設立
2005年10月

資本金
1000万円

従業員数
6人

年間売上高
2億円(2007年10月実績)

アクセス
http://www.bridger.co.jp/


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