2000点のこだわりグッズ 海外から直輸入で卸&ネット通販 互いの得意分野を生かし成長中
(有)ボタニカルプラネットは、女性2人で起業した会社。共同経営をすることは難しいといわれるが、成功させるポイントは?と尋ねると、
「お互いを尊重して、相手のことを信頼するのが鉄則ですね」
という答えが返ってきた。円満経営の秘密はそんなところにありそうだ。
経営者のひとり、上野さんは大学卒業後、日系航空会社で客室乗務員として7年半勤務。仕事は楽しかったが、年齢を重ねるごとに、体力の限界や将来への不安でストレスを感じていた。
「癒やしを求めてアロマセラピーに興味を持ちました。会社を辞めてオーストラリアに渡り、日本にはまだなかったアロマに関する勉強を重ねました」
一方の守随さんは、芸術大学を卒業後、スペースデザインの勉強をするために、イギリス、アメリカに留学。帰国後、家具メーカーのインテリアデザイン担当となり、家具づくりやインテリア設計の仕事に携わった。
「今度はもっといろいろな仕事にトライしたいと思い始め、独立を決意しました。フリーランスとなって、店舗設計や内装など、デザイン全般や設計までも手がけられるようになりました」
そんな2人が出会ったのは、名古屋市内で開催されたある異業種交流会。
「上野さんが勤務していた会社で扱うアロマグッズを、私が設計した店舗に取り入れたりしていたんです。そのうち、自分もアロマにとても興味を持つようになりました」
と、守随さん。
アロマがきっかけとなって親交を深め、同世代の2人が打ち解けるのは早かった。お互いの顧客を紹介し合い、それぞれの仕事につなげていく。今まで一人では手が回らなかったことも、2人なら効率的に回すことができた。
「一緒に会社設立をすれば2倍速で伸びる、と思ったんです。2人が納得して勧められるアロマ関連の商品を、取り扱おうと決めました」(上野さん)
アロマグッズだけでなく、客室乗務員時代に上野さんが海外で出合った雑貨などの販売・卸を行う企業を目指し、起業準備に入った。
1999年8月、ボタニカルプラネットを設立。まずは、オリジナル商品の開発・輸入を行い、合い間をぬって2人で営業開始! 北海道から沖縄まで、ホテルや土産店、観光施設、美術館などを回り、商品の提案を行った。
「今まで営業経験などなく、彼女がいなかったら、どうにもなりませんでしたね。でも2人だからこそ、頑張れたと思います」(守随さん)
ある美術館では、オリジナルグッズの企画のほか、ショップコーディネートまで任せてもらえることに。守随さんの今までの経験を、大いに役立てるチャンスだった。ほかにも、展示会や百貨店の催事に参加して、輸入雑貨の販売にも注力した。
「最初はアロマが主流でしたが、海外からまだ輸入されていない、オリジナリティの高い雑貨も扱うようにして、差別化を図りました。商品は、主にヨーロッパなどから輸入しています」
HPのトップ画面は、おしゃれなアクセサリーが並べられ、目を引くつくり。楽天にも出店しており、商品は今や2000点を超える充実ぶり。
そんな彼女たちの仕事スタイルには、特徴があった。名古屋と東京にオフィスを設立。デザインやWeb管理を行う守随さんが、名古屋事務所を統括。営業を担当する上野さんは、企業数の多い東京を拠点に活動を行い、営業部門の責任者でもある。商品仕入れは2人で相談しながら行う。
「私は、彼女のデザインに関する感性を信頼していますから、ネットショップの運営は、安心して任せています。その分、人前に出ることに躊躇しない私は、商品を売り込むため企業や店に営業する。それに卸販売はラクーンの小売店専用仕入れサイトなども利用しています。お互い自分の能力が発揮できる仕事を担当することで、効率が上がりますよね。それに、今月はネットショップの売り上げがいいから、営業も負けないよう頑張らなきゃ、とか、いい意味で刺激し合えるのもいいですよね」(上野さん)
ついお互いの仕事には口を挟みたくなるもの。でも、そこは相手を信頼する心が大切のようだ。とはいえ、時には衝突することもあるのでは?
「たまにはありますが、距離があるので少し冷却期間を置けば、すぐに戻ります(笑)。普段から、言いたいことはしっかりと伝えることが大切だと思いますね。それより、同じ目標に向かって走っている2人なので、お互いの仕事を見ていて、ぶれないように軌道修正を行うことができるのがいいですね。共同経営はメリットのほうが大きいと思いますよ」(守随さん)
そんな2人に、これから起業を目指す女性たちへのアドバイスを聞いた。
「今はネット時代。情報も集めやすくなり、社会も追い風です」(守随さん)
「女性の社会進出も顕著になり、挑戦しやすい世の中になったと思います。経験やノウハウがなくて躊躇するより、まずはやってみること。道は必ず開けるのですから!」(上野さん)
所在地 | :名古屋市中区(東京支社は東京都世田谷区) |
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設立年月 | :1999年8月 |
資本金 | :1000万円 |
売上高 | :1億円(2006年5月期) |