お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた! |
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。 |
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楽 豚 の場合 |
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伊賀の国道沿いにある平屋の一軒家が、約3年前に開業した金正さんの店「楽豚(らくとん)」。店の前には50台は止められる駐車場があり、そこからのぞむ田園風景は、雄大でのどかで、そしてどこかなつかしい。 「豚が好きで、豚に関連するいくつかの仕事を経験し、たどりついたのが、この店でした」 会社員だった父親の姿を見て、自分はネクタイをして決まった時間に会社に通うような仕事はしたくないと、子どものころから思っていたという金正さん。やがて、動物に関する仕事がしたい→動物の飼育員になりたい→地元で唯一動物に関連する学校は農業高校→それなら畜産科に。こんな経緯で高校を選び、そこで豚と出会う。 「豚について勉強していくうちに、豚を極めたいと思うようになりました。豚はムダな部分がひとつもない、究極の家畜。そこにおもしろさを感じたのです」 開業するまでの18年間、養豚所で仕事をしたり、体験型農業の観光施設では、ハムを実際につくったり、パン工房やビール工場をつくり企画から運営までを担当。畜産や農業にかかわる幅広い仕事を経験した金正さん。しかしその間、いつかは豚を使って自分で何かをしたい、という思いはずっと持ち続けていた。 その「何か」が具体的にイメージできるようになったきっかけは、東京にある、豚のしゃぶしゃぶと野菜料理がメインの料理店との出合いだった。プロの料理人じゃなくても、素材のおいしさを生かしたこの形態なら自分にもできる。金正さんの中で、これまで考えていたことが線でつながった。 豚に携わっている時がいちばん楽しいから「楽豚」。自分の思いを店名に託し、「豚を極める」と決意してから約20年後、金正さんは「楽豚」の店主となった。 |
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素材を生かしたこだわり料理でファンを拡大
豚肉は、自然のなかで健康的に育てられた鹿児島産を使用。金正さんが全国を巡り探した豚だ。さらに、豚と同じようにこだわっているのが野菜。 「食材はすべて地産地消が理想ですが、純粋な伊賀豚はもう現存していない。だから、せめて野菜だけは地元産にこだわりたかったのです」 その日に収穫した地元の新鮮な野菜を使った料理も、この店の定番&人気メニューだ。 地元客を中心に客層は幅広く、評判を聞きつけて、大阪や京都、名古屋など遠方から訪れる客も多い。開業前、金正さんが勤務していた東海・関西地区で人気の農業体験型テーマパークが近く、国道沿いに店があることも、遠方の客の集客につながっている。しかし、地元客、遠方客含めても、ほとんどがリピーター。繁盛の理由は、単に立地がいいだけでは集客にはつながらない。厳選した素材のよさを生かしたほかでは食べられない料理、あたたかみがあり、清潔感ある落ち着いた内装、スタッフの育成に注力し、気持ちいい接客を心がけるなど、客が「また行きたい」と思う店舗運営に必要な要素が、この店にはバランスよく備わっている。 開業月は230万円を売り上げたものの、その後の数カ月は毎月売り上げが落ち続けた。しかし、認知され始めた半年後から、徐々に伸び始め、現在は、月商220万円から260万円を推移。順調な店舗経営を維持していると言えるだろう。 「ただ、うちの店、大阪の“だんじり祭り”に出るために、10日以上休業する10月だけは、売り上げがいつもの半分になります(笑)」 |
ライブイベントなどでファンづくりにも力を注ぐ
経営が順調だからといって、それで満足しているわけにはいかない。 音楽が趣味ということもあり、金正さんは、2、3カ月に1回の割合でライブイベントを主催し、集客や顧客とのコミュニケーションづくりを積極的に行っている。今後は、ベーコン作り教室などのワークショップにも取り組んでいきたいという。 「この商売は、すべてがダイレクト。帰る時のお客さんの表情で、気に入ってくれたかどうかがわかってしまう。1年目はリアル過ぎて戸惑いましたが、今は心地いい(笑)。それに、予約でいっぱいになっていても、雪が降ればキャンセルになる。数字は正直ということが、ほんまにようわかりました。毎日が勝負ですわ」 そう笑う金正さんの夢は、ドイツに「楽豚」をつくること。会社員時代、ハムづくりの修業でドイツに数カ月暮らしたことがあり、以来ドイツに魅せられたのだとか。 「50歳になったら家族みんなとドイツに渡り、生涯ドイツで暮らしたいと思っています」 |
■オープンまでの経緯 | |||||||||||||||||||||||||||||
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