お店で独立を目指す人必読! いろんな業種で独立した先輩たちに立ち上げから運営まで全部聞いた!
OH! MY SHOP 先輩達の開業実録
注)記事内で表記されている金額はすべて取材時のものです。
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Vol.106, 日本茶カフェ
佐人  の場合
開業のノウハウ
インタビュー

1. 資金調達
開業資金 3000万円
自己資金●3000万円 借り入れ●0円

資金には、退職金と貯蓄を充て、借金をせずに開業した佐々さん。3000万円のほかに、「1年間は売り上げゼロでもいいように」と、2000万円の運転資金も用意した。「初年度は赤字になるだろうと予測していましたが、まさか5年以上も続くとは(苦笑)。運転資金はきれいに使ってしまいました。それでもなんとかやってこられたのは、借金をしていなかったから。利子を支払っていたら、とてもやっていけなかったでしょうね。今頃店はなかったかもしれません」。

2. 店舗物件

物件取得費 家賃の15カ月分
家賃●非公開


場所は銀座と決めていた。個人が簡単に取得できるエリアではないと知っていた佐々さんは、ある企業の社長に相談する。その社長のツテで、有力な不動産会社を紹介され、現在の物件が見つかった。当初、この物件には20以上の申し込みがあり、個人は佐々さんのみ。競争に勝ち抜けたのは、紹介者である社長の信用力によるところが大きかった。「誰の紹介か、というのは重要ですね。人的担保がなかったら、銀座で物件を取得するのは厳しかったでしょう」。

店は、銀座松坂屋の真裏のビルの地下にある。「茶房」と染め抜いた旗が目印
気に入ったお茶や茶器を購入することができる販売コーナーも設けられている

3. 店舗工事・設備・什器
計 2000万円

知り合いから紹介された設計士に内装を依頼。コンセプトは、日本文化を感じる空間。佐々さんは、木、土、和紙などの素材選び、書画、花などの空間演出に注力した。もっともこだわったのは、タモの無垢板でつくったV字のテーブルとトイレ。「どうしても無垢を使いたかった。トイレは、着物のお客さんでもゆったり使ってもらえる広さにするため工事しました」。飲食店用の物件ではなかったため、配管と電気工事に予想外の費用がかかり、総額2000万円に。

カウンター席、4人掛けのテーブル席、6人掛けのダイニングテーブルと、店内には3つのコーナーがある
木のインテリアに土壁、和紙の天井、そして書画や花に囲まれた店内で日本茶をいただく。ここはまさに「日本の文化」が凝縮された空間

4. 仕入れ
計 50万円

お茶は、東京と静岡のお茶屋から。和菓子は京都の月乃ぴょん屋、洋菓子はブールミッシュ、せんべいは柴又の宮田屋から。いずれも、現場に出向き、自分の舌で選んだものばかり。「お茶屋さんにしても、個人が簡単に入り込める世界ではないので、知人に紹介してもらい、そのツテをたどって見つけました」。煎茶7種類、玉露、抹茶、焙じ茶が各1種類に甘味用の荒茶を加え、扱っているお茶は計11種類。「これが自分で管理できる限界の数だと考えています」。

お茶を入れるのは佐々さん、赤茶ののれんの向こうであんみつやお雑煮の準備をするのは妻の知子さん
差し湯のポット、注器、急須、湯のみと、お茶には4つの器が必要となる。その前に、お湯の温度を80℃にするために、4つの器に注ぎ替えるのだから、全部で8つの器を使用することになる。「これが本物の日本茶です。だからおいしいんです」
荒茶付き特選わらび餅(1365円)は絶品! ほかにクリームあんみつ、白玉、ぜんざいなど6種類の甘味のほか、丸餅が3つ入った雑煮(1365円)もあり、すべて自家製。荒茶用のお湯は何度でも差し替えてくれるため、お茶もたっぷり楽しめる

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