CASE70人事コンサルタント
“仕事を選ぶ”ことで充実感とプロ意識が増大
社会人になってから一貫して人材関連ビジネスに携わってきた宮本さんは、これまでの経験を生かし人事コンサルタントとして昨年10月に独立した。プロワーカーになり2年目を迎え、「会社員時代に比べると、働き方も生き方も充実している」と笑顔で答える。
「語弊を恐れず言えば、“仕事を選ぶ”ようになりました(笑)。自分の価値が出せそうにない案件には手を出さない。一方、受けた仕事は絶対に手を抜かない。仕事を選べるようになったことは、独立の大きなメリットでした」
現在宮本さんは人事組織開発領域でのコンサルティング業務を中心に、研修講師なども手掛けている。あるネット系ベンチャー企業では、組織活性化プロジェクトのファシリテーターとして参加するなど長期の案件も受託。前職時代の取引先や人脈を主とした紹介で継続的に仕事が入り、独立初年度にして収入は前職時代を大きく上回った。
「会社勤めをしていたころは、会社の方向性や上司の指示に従わざるを得ないことがもちろんありました。今はすべて自分で判断していますので、納得できないということはありませんし、お客さんとも目的を共有しやすい。ボタンの一つ目を掛け違えることがないので、無意味な葛藤もありませんね」
働き方や収入面は、会社員時代よりも良くなった。また人付き合い、日常の発言などにおいても、以前とは考え方や行動が変わってきた気がするという。
「これまで以上に”当事者意識”が出てきたと思います。納得できない仕事は受けないので、受けた仕事は必然的に結果を出そうと思います。そういう意識で取り組んでいるので、仕事を通じて自分の成長を感じることも多くあります」
独立に大きな満足度を得た宮本さん。だが、2年目を迎えるにあたり、ひとつの不安も感じているという。
「独立は見切り発車でした。今、目の前にある仕事に無我夢中になれていることは幸せですが、将来の何のために夢中になっているのかが少しあいまいなのです。その先にある何か大切なものを見出したいという思いがあります。これからは、それを模索しながら走っていこうと思います」
世の中の変化やワークスタイルの変化にも、柔軟に対応できるのがプロワーカーのいいところ。プロ2年目の宮本さんも、柔軟性を生かして活躍していくことに期待しよう。
PROFILE
宮本 寿さん(33歳)
1975年、静岡県生まれ。大学卒業後、求人情報誌出版会社に入社。法人営業として事業部トップの成績を収める。その後、人材関連企業2社に勤務。組織人事領域のコンサルティング、新規事業開発、経営人材の斡旋、人材育成体系の設計などに従事。2007年10月に独立し、今年5月、(株)メロスパートナーズを設立する。
取材・文●岩見浩二 撮影●松本朋之
協力●NPO法人インディペンデント・コントラクター協会
[ 2008.11.07 ]

キッチンタイマーはセミナー時の時間管理用に持参。録音可能なラジオはお気に入りの番組を取り、移動中に楽しむ
POLICY
「やりたくないことはやらない」「会いたくない人には会わない」というスタンスを理想としている。
HOLIDAY
休日という概念がなくなった。暇だと不安になるため、むしろ仕事で忙しいほうが精神的に充実している。
MONEY
会社員時代は出ていくお金が気になったが、独立後は入ってくるお金が気になるように。
SATISFACTION
働き方にも生き方にも”自分らしさ”を感じるようになったことが大きな満足。