CASE43国際ビジネスコンサルタント
PROFILE
浜地 道雄さん(64歳)
1943年、上海生まれ。慶応義塾大学卒業後、商社ニチメン(現・双日)に入社。貿易大学で学んだ後、石油部に配属となり中近東に駐在。45歳で退職し帝国データバンクへ。アメリカ支社設立後、翻訳会社、日米通信会社を経て2002年に独立。
豊富な国際経験・人脈を生かして若い企業のアドバイザーに
高度成長の1960年代、商社で働くことは多くの学生たちのあこがれだった。国際ビジネスコンサルタントとして活躍する浜地さんもその一人。総合商社ニチメン(現・双日)では、中近東に赴任しプラント建設に奔走。日本の石油会社と産油国会社による世界初の直接取引を実現させるなど、日本経 済の歴史的瞬間にも立ち会ってきた。
「商社の仕事は人脈の世界ですからね。賄賂が横行するといった悪い意味では なく、いわば人間力が問われる場。特に中近東ではそうでした。情報がない中で何もわからない土地に行くことに不安はありましたが、何事も体当たりで挑んだ結果、自分でもよくやったと思いますよ。当時知り合った人たちとは今も付き合いがありますからね」
1度目の転機は45歳に訪れる。大手企業調査会社帝国データバンクを紹介され、アメリカ支社設立に挑戦することに。再び海外での生活が始まり、永住権も取得。4人の子供も育て上げた。96年に帰国後は翻訳会社へ。そして、日米通信会社の社長を歴任し、2002年、59歳で独立を果たした。
「定年退職して“そば打ち、孫守り、引きこもり”になってしまう人が多い現状は、少しおかしいと思うのです。定年まで仕事を続けられたのも周囲の協力があったからこそでしょう。だから今後はこの知識や経験を社会に還元すべきという思いが強くありました」
こうして、現在は顧問契約を中心に4社のクライアントを抱え、再び多忙な日々を送っている。文教大学からは国際学部の講師を依頼され、次代を担う若者の教育に情熱を注ぐ。多言語コールセンターを手がける「ワールドサポート」や米国大手システムハウス「コグニザント」からは、豊富な経験、知識、人脈は高い評価を受けている。中でもライフワークと断言するのが、実践的な英語力を正しく測定するスピーキングテスト「ヴァーサント」の普及活動だ。
「日本人って読み書きは得意だけれどスピーキングが不得意ですよね。このヴァーサントは10分間コンピュータ相手に答えるだけで、発音、語彙、流暢さ、文章構文など本物の英語力が測定できるのです。すでに大学や大手企業などに導入していただいています」
趣味は音楽。これまで藤沢市民交響楽団団長、浦安シティオーケストラの創設などに尽力してきた。アメリカでは名指揮者バーンスタインの貴重な音楽映像を発見し、日本語に翻訳。DVD発売にもこぎつけた。
「こういった趣味の延長が仕事になるのもプロワーカーの魅力ではないでしょうか。まだまだこれからも日本の近代化、国際化の役に立ちたいですね」
[ 2007.9.14 ]

携帯電話はUSBメモリと一緒に紛失しないよう、常に首から下げ保管にも注意している
POLICY
Sは「好き」、Tは「得意」、Aは「相手に」、Yは「役に立つこと」。浜地流「STAYの法則」。
HOLIDAY
海外出張の際は、なるべく妻と一緒に行くようにしている。仕事でもリフレッシュできる。
MONEY
顧問契約は1カ月100万円以上に設定。それでも大手コンサルファームよりは格安だとか。
SATISFACTION
若い経営者たちから頼りにされ、実績を積み重ねるたびに無常の喜びを感じる。