CASE41人事コンサルタント
PROFILE
小西 真子さん(42歳)
1965年、神奈川県出身。大学卒業後、ソフトウェア会社、独系自動車部品メーカーにプログラマとして勤務。英国系半導体メーカー勤務時代では、営業、総務、経理、人事などを経験。その頃人事監査の概念と出合い、2006年6月にシンシアを設立。
会社の存在自体を評価する「人事監査」のスペシャリスト
女性の働く環境はここ20年で大きく変化した。だが、子育てをしながら働きたい女性が正社員として仕事復帰を果たすには、今なおハードルが高い。
小西さんは27歳で出産。その後、パートタイムの事務職からキャリアを再スタートさせ、その後英国系半導体設計会社に9年間勤務。昨年人事コンサルタントとして独立を果たし、日本ではあまり知られていない「人事監査」の理念を広めようとしている。
「人事監査とは、人事面だけを調査するわけではありません。そもそも企業が社会性のある事業を行っているかといったところから会社の存在自体を監査するものです。日本の商慣習には請求書発行から入金まで6カ月なんてことや、契約書にないものを要求されるケースもあるなど、世界的に見ておかしいと思うものが多い。人事監査には、そういったものを是正していく狙いもあるのです」
そんな小西さんのキャリアは実に多彩だ。結婚前はプログラマとして活躍。仕事復帰後は営業、総務、経理、人事と幅を広げてきた。好むと好まざるとにかかわらず、その多様な経験が独立した今、生きている。
「もともと新しいことにチャレンジすることが好きな性格なので、時には兼務もあって大変でしたが割合楽しく働いてきました。しかし、2年ほど前に勤務先の社長が交代したことによって、社内の制度や雰囲気ががらりと変わってしまったのです。そこで、以前から興味のあった人事監査を本格的にやってみたいと。今では雇用状態で格差が生まれるなど、幸せに働くことが難しくなってきています。そんな時代だからこそ、安心して働ける、取引できる、投資できる格付け情報が必要になると思ったのです」
こうして、1年近くの準備期間を経て06年6月にシンシアを設立。「組織の健康診断」と称して、社名にちなんだ「シンシアマーク」を作成し、法規、社内、IT、採用、人事などの項目を徹底調査。第三者機関として企業を公平に評価するビジネスをスタートさせた。時を同じくして、元の勤務先から人事業務を依頼されたためそれを請け負いつつ、新サービスの開発、営業を行った。
「知名度のある大企業はともかく、そうでない中小企業は今も人材の獲得に悩んでいます。そういった企業にこそ、この人事監査制度を導入してほしい。いまだこの業務の依頼はありませんが、それでも独立してよかった。何より自由な時間が増え、自分の意思でやりたいことを追求できるようになったことが大きい。そして子供と一緒に過ごす時間が増えたことがうれしいです」
[ 2007.8.10 ]

モバイルツールを活用して、移動中や外出先で仕事をすることもある
POLICY
依頼された仕事は全力で取り組み、期待された以上の成果を出すよう心がけている。
HOLIDAY
独立後は自宅でも仕事をするようになったため、オン・オフの切り替えが難しくなった。
MONEY
収入は減ったがやりたい仕事をできているのでお金に対して不満はない。
SATISFACTION
仕事を獲得するのは大変だが、自分で自分を評価でき、自分で責任を取れるのがうれしい。