CASE33CAE解析コンサルタント

PROFILE

高田 賢二さん(36歳)

1971年、東京都生まれ。大学理学部物理学科卒業後、関東自動車工業鰍ノ入社し、トヨタ車のCAE解析、車体強度実験を担当。2002年、日産自動車鰍ノ転職し、後輪駆動系開発車両のCAE解析、車体構造計画を担当。2006年1月、独立。

機密性の高い自動車開発現場で「前人未踏」の働き方に挑む

CAE解析は、一般にはコンピュータシミュレーションと呼ばれる専門技術領域。試作品や製品を用いた実験・計測を実施する前にCAE解析を活用することによって、事前に高い品質水準を確保でき、工数低減やコスト低減にも貢献する。高田さんはこの分野でプロワーカーとして頑張っている。

独立するきっかけは、トヨタ車の欧州での認証試験に派遣され、欧州の認証官に激賞されたこと。

「我々が開発した、組み込み式チャイルドシートを装備したシートが技術的に高く評価され、ラボに展示させてほしいといわれました」

欧州の認証官との折衝で「キミの技術レベルは高い」といわれたが、うのみにはできない。高田さんは、それを検証するために転職を決意し、転職サイトに登録。面識のあった日産自動車の担当者から誘われ、同社に転職した。

日産では、後輪駆動系開発車両の衝突CAE解析を任され、さらにチームリーダ(係長)として車体構造計画(設計業務)とCAE解析を兼務。メーカーのカベを超え、彼の技術力が高いレベルにあることが証明された。

「だが、このままいくとマネジメントの比重が増えるばかり。自動車開発エンジニアとして、もっともっと自分の技術を磨きたい。その後の人生を考え、思い切って独立することにしました」

一抹の不安はあった。CAE解析のオペレーション業務はアウトソースされているが、外部の一個人が自動車開発プロジェクトに直接参加するという話は聞いたことがないからだ。環境は整っていないが、必ず需要はあるはずと見切り発車した。案の定、高田さんが営業に回ると、メーカーの担当者からは就職しないかという話ばかり。そうこうするうちに、あるメーカーで業務委託契約という形でプロジェクトに参画できるという話が舞い込んできた。

現在、高田さんは設計力のあるCAE解析者として企画や設計など他部署と緊密に連携しながら、開発を進めている。日本の自動車開発の最前線でも外部のエンジニアが活躍できるという前人未踏の領域を切り拓いたのだ。

「CAE解析者の価値を高めるために独立しましたから、非常に高い技術レベルを目指しています。企画、設計、評価、生産技術の分野からもプロワーカーが生まれ、一緒にプロジェクトが組めれば、新しいクルマを作ることもできる。そのためにも、私がまず、プロワーカーとして雇われなくても大好きな自動車開発をやっていけることを証明しなければ、と思っています」

高田さんは、営業も、仕事の評価が次期契約に直結することもすべて面白いという。今後の活躍に期待したい。

[ 2007.4.13 ]

営業ツールの写真

10年ほど前まではスーパーコンピュータが行っていたCAE解析。現在は市販のノートPCで作業できるように

POLICY

先駆者として、付加価値の高い仕事で評価を獲得し、プロワーカーの道を切り開いていく。

HOLIDAY

現在、関西に単身赴任中。2週間ごとの週末に神奈川県横須賀市の自宅に戻り、家族と過ごす。

MONEY

仲介業者の倒産による売掛金未回収というトラブルに遭遇したが、今年から赤字解消モードに。

SATISFACTION

四半期ごとの業務委託契約では、仕事にどれだけ付加価値を付けたかが評価されるので新鮮。