「競業避止義務」により、一定期間は開業できません。
ほとんどのFC本部は、同業他社にノウハウが流出するのを防ぐため「競業避止義務」を設けています。「加盟契約終了後、数年以内は同業種での開業を禁止する」というところが多いようです。
一方、異業種の場合は加盟契約中に開業しても問題になることは少ないでしょう。「ただし、先に加盟したFC店の運営が安定してから」(FC関係者)。既存の店を軌道に乗せてからでないと新しい店に集中できず、結局どちらも伸び悩むことになりかねないからです。
基本は自分で修復することになります。保険などでリスク回避を。
不測の事態に備えて保険に入り、急な出費は避けたいところ。 「店舗総合保険には必ず入ってもらっています。火事、事故、盗難、休業補償、預かり品賠償などが含まれますが、地震の場合は特約をつけないと補償の対象外。任意である旨は伝えています」(FC関係者) 経営者として、あらゆるリスクを想定し事前に対策を講じておく必要がありそうです。
対応の仕方は本部によりけり。確認しておきましょう。
オーナーが店に立てなくなった場合、路面店なら臨時休業できるかもしれませんが、商業施設に入っている場合はそうはいきません。プロによると「明確なフォロー規定はなく、その都度、必要に応じて人材を派遣する」本部が多いようです。
「単発や短期の場合は、本部や直営店からSV、スタッフを有償で派遣して対応しています」(FC関係者)。 万が一に備え、どのようなフォローをいくらぐらいの金額で依頼できるのか確認しておきましょう。
ゆきづまる前に行動するのが大前提です。
どの本部も、ロイヤリティを免除したり、家賃を肩代わりすることはありません。営業を続けるため、何としてでもお金を集めましょう。
「銀行にどう話を持ちかければ融資を受けやすいか、過去の事例をもとにアドバイスすることは可能です」「販促チラシの費用を応援するケースはあります」とプロが言うように、本部によっては経営状態を立て直すための相談に乗ってくれるところもあるようです。
いずれにせよ、ギリギリまでそのような状態を放置しておくのは問題外です。早めに対策を講じましょう。
契約期間内での閉店は違約金が発生します。
FC契約には、「契約期間」があらかじめ設定されています。自己都合で期間内に契約を解除する場合、違約金が発生します。本部にとっては、契約途中で加盟店が退店すると信用低下にもつながりかねないのです。
また、店舗物件の賃貸借契約でも、「退店の何カ月前に通知する」「解約する場合は、残りの家賃も全額支払う」といった取り決めがあります。よって、FC契約し開業したら簡単には解約はできないと肝に銘じておきましょう。
資金、能力、物件……条件さえ満たせば可能です。
「タイミングは、1店舗目が余分にスタッフを抱えても利益が確保できるくらいの売上になり、その店を任せられるスタッフが育った頃が望ましいですね」(FC関係者)。
加盟を検討中の本部には、多店舗オーナーは何割ぐらいか、2店舗目を出すまでにかかる期間の目安はどのぐらいかなどを確認しておきましょう。
ほとんどのFCは1店舗だけ運営するよりも多店化するほうが効率的に経営でき、儲かるはずです。ただし、店舗数が増えれば増えるほど、現場に立つよりマネジメントにまわる時間は長くなります。望む仕事スタイルと照らし合わせて方針を考えましょう。
経営の継続は不可能ではありません。
本部がつぶれたからといって、自店も即刻廃業だと考える必要はありません。
本部の手助けがないとまともに運営していけないならば廃業はやむを得ませんが、技術支援や経営指導、原材料の供給などを本部に頼る必要がない状態ならば、同じ商売を続けていけばよいでしょう。
ただし、店舗物件の賃貸借契約が本部名義の場合は注意が必要です。貸主によって、FCオーナーとの契約に切り替えができない場合も。同じ場所での営業ができなくなることもあるからです。
STEP5:FC加盟契約前の疑問
(取材・文/後藤仁美 イラスト/栗生ゑゐこ)
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