学歴や経歴がFC経営の成否に直接影響することはありません。
多少関係があるとすれば、それは結果ではなくプロセスにおいてです。仕事、勉強、スポーツ……領域は何であれいくらかの成果を出してきた人は、そのために自分を律し、努力を積み重ねてきたはず。努力の仕方と継続の大切さを身をもって知っているかは重要といえます。
しかし、「過去の成功体験にとらわれ、日々の改善ができないと状況はよくなりません」とプロは口をそろえます。自分のやり方に固執してしまうためです。
FCオーナーにとっては「誠実さ」や「向上心」のほうが大切。本部のやり方を素直に受け入れ、一つひとつの業務に真剣に取り組んでいけば着実に成果を得られるはずです。
相場はありません。開業資金に何が含まれているか、確認しましょう。
開業資金の主な内訳は加盟金、保証金、開業前研修費、設備費、店舗の内外装費、物件取得費など。中でも特にわかりづらいのは加盟金です。加盟金とは、FC本部が時間とコストを投資し蓄積したノウハウやビジネスモデルの価値を本部が独自に算定したものです。そのため、金額に相場はありません。
加盟金に限らず、提示された金額が割高だと感じるか、支払う価値があると感じるかはあなた次第です。「そうはいっても客観的な判断基準がほしい!」と考える人には、「投資金額の回収にかかる期間」を算出することをおすすめします。プロによる と、「時代背景や業種・業態にもよりますが、2、3年以内が目安。5年は許容の範囲内」だそうです。
各本部が独自に算出するためです。
加盟金についてはQ&Aの13で説明した通り、本部が独自で設定するため金額に差が出て当然なのです。FC業界共通の設定基準もありません。
したがって、内容のわりに低価格に見える本部もあれば、加盟店の募集広告費用まで組み込んでいる本部もあるというのが現状です。また、開業にかかる資金は同業他社にくらべて低めでも、ロイヤリティの設定が高めというケースもあります。
いずれにせよ、金額に見合う価値があるかどうか複数の本部と比較しながら検討し、納得のうえで加盟を決断しましょう。
まずは開業資金の内訳を確認しましょう。
絶対にそれ以上かからないとは言いきれません。エリアや立地などの条件により大きく変動する物件取得費や、材料や商品といった日常の仕入れにかかる費用を入れていない本部もあるからです。最終的に必要になる開業資金の総額と内訳は必ず本部に確認しましょう。
本部に支払う以外に開業にあたって必要な経費も色々と考えられます。たとえば、開店時の販促費用や求人広告の掲載料、物件の仲介手数料など。当面の生活費や運転資金も必要です。最低でも3〜6カ月分は確保しておきましょう。
大丈夫です。あらかじめ確認したいことをまとめておきましょう。
本部には、たいてい問い合わせ用の連絡先が設定されており、募集情報内に記載してあります。あらかじめ聞きたいことを整理したうえで連絡するとよいでしょう。
ただし、電話をかける際は「名乗る」「相手の都合を確認する」といった通常のビジネスマナーに則った言動を心がけたいところです。
資料内容が濃い、薄いだけで判断するのは早計です。
手元に届いた資料がわかりづらい、という声は少なくありません。自社のビジネスがどのようなものかを伝える工夫ができているかどうかは本部選定の一つの基準になるでしょう。
ただし、資料にどんな情報をどれだけ盛り込むかの方針は本部によって異なります。「資料請求者が知りたい情報はもれなく記載する」という本部もあれば、「資料は必要最低限にして、説明会や個別相談会で直接説明したい」という方針の本部もあります。
資料はあくまで入口と考え、「ほしい情報が載っていなければ、直接問い合わせる」ぐらいの余裕を持ちたいものです。
実際のモデルといえますが、あくまで一例です。
収支モデルの算出方法は企業により異なります。「既存店の平均的な収支モデル」を掲載する本部もあれば「好調店の収支」を載せるところも。資料に数字の根拠が書かれていないことも多いので、説明会や面談の際に聞いてみるとよいでしょう。正直に教えてくれれば、信頼できる本部かどうかをはかるうえで参考にもなります。秘密保持契約を結んだうえで全店の売上データを見せてくれる本部もあるようです。
ただし、どんなに現実的な数字であっても、その売上は保証されるものではないことを忘れてはいけません。
頼りっぱなしはいけませんが、必要に応じてサポートしてくれます。
オープン前研修や開業後の定期訪問など、加盟者の段階に合わせて必要な情報と適切なサポートが提供されます。「質の高い接客ができるよう店長だけでなくスタッフの教育にも携わる」という本部も。よってマネジメント経験がなくても、実践の中で身につけることはできるでしょう。
ロイヤリティとは商標やシステムの使用、本部による継続的な指導などの対価です。
加盟契約期間中、原則として毎月支払います。その額も「金額固定」や「売上に対する割合固定」のほか、「売上高に応じて変動する」など様々です。金額に見合うメリットを得られるかどうか、吟味することをおすすめします。
器用な人より時間はかかるかもしれませんが、どうにかなります!
ほとんどのオーナーが未経験からのスタートです。器用な人とくらべれば上達に時間がかかるかもしれませんが、努力すればプロの技を身につけられます。
ある本部は「研修に何カ月もかけては無収入状態が長引くので、1カ月の研修期間に一定の技術は身につくよう指導している」とのこと。ただし、お客の要求に臨機応変に対応するにはその後も継続して技術のレベルアップをはかる必要があるようです。
どちらが、自分が思い描く将来像に近いか考えましょう。
FCチェーンに属するメリットは少なくありません。本部は業界情報を豊富に持っていますし、競合他社・他店との差別化をつねに考えています。スケールメリットによりコストを下げることもできますし、本部の信用によって仕入れを売掛にできるケースもあります。
しかし、あなたが「自由」を一番に求め、FCに加盟する必要がないと感じるならば、自力での開業も選択肢の一つではないでしょうか。
「独立してどんな商売をしたいのか、将来どうなりたいか」をしっかり見つめれば適切な決断ができるはずです。
本部の方針によりますので、事前に確認を。
契約書にある「競業避止義務」の規定に抵触しないか、必ず本部に確認しましょう。仮にOKが出たとしても、個人店で提供していた商品やサービスをそのFC店内で継続できるかどうかはわかりません。後から「こんなはずでは」と思わないためにも、事前に本部に具体的に相談しましょう。
STEP2:資料の比較、業態の検討段階の疑問
(取材・文/後藤仁美 イラスト/栗生ゑゐこ)
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