2016年3月18日更新

さて、起業とお金に関するお話の第32回目。今回も事業計画書上に記載する各項目について、気づきになるようなヒントを書いていきます。起業するときに借りたお金を、その先きちんと返していけるか。金融機関の数字上の判断基準としては、利益が上がる見込みが高いかどうかだと前回お話ししました。
もう一つ、大事な視点があります。それは、キャッシュの残高推移、つまり、資金繰りの予測です。一度は聞いたことがあるかと思いますが、黒字倒産という言葉があります。たとえば、売り上げが好調だとしても、売上代金を回収するまでの間に、仕入資金の多額の支払いや給料などでキャッシュが枯渇してしまう計画だとしたら、会社を維持できませんよね。その場合、金融機関としては貸せないという判断をせざるを得ません。
その逆に、あまりにもキャッシュが豊富で、毎月1000万円も残高が残り続ける計画だとしたら、創業融資など借りる必要がないですよね。金融機関としては、借入希望金額から減額する必要があると判断することになります。
このように、利益があがるかどうかに加え、キャッシュの残高推移が適正かどうかも審査の重要な要素なのです。よくある失敗例としては、全くこの点を考えずに作った事業計画書を提出してしまうパターン。または、そもそも事業計画書のフォーマットにキャッシュ残高の推移をあらわす表(資金繰り表)を添付していないことです。事業計画書を作成するときには、必ず、キャッシュ残高の推移を月ごとに予測した資金繰り表を作成して説明しましょう。もちろん、事業計画書上のみならず、起業後の経営においても、キャッシュが足りるどうかが非常に重要だということは、いうまでもありません。
次回も、この点をもう少し詳しく見ていきます。お楽しみに!