先輩たちの独立事例集

先輩たちの独立事例集


林 真佐子さんの写真

地域住民に貢献する
英語でアート教室

マナボーズ/千葉市中央区
林 真佐子さん(45歳)

はやし・まさこ/神奈川県出身。大学では英文学を専攻し、卒業後、主にマーケティングや教材開発などの業務で6社を経験。趣味でアートを学んでいたこと、英語が堪能だったことなどから、英語でアート教室「Bears English Club」を立ち上げた。

独立準備のがんばりどころ

保育園と勤務先を行き来するだけの毎日に疑問を感じて

ミニ絵本たち

ひとつのアルファベットの音に的を絞ったストーリーが展開するミニ絵本。塗り絵にもなっていて、英語を習い始めの子どもに最適な教材だという。林さんオリジナルの教材だ

独立する前、私も夫も会社に勤務する共働き家庭でした。でも、朝から夜遅くまで娘を保育園に預け、残業をして暮らす日々に疑問を感じながら過ごしていたんです。マンションを購入したことで引っ越しをした千葉市には誰も知り合いがおらず、保育園以外、地域との接点もなく、ほとんど交流もない。そのうち自然と、地域のみんなで子どもたちを支え合うような、そんな地域交流や子育て支援に貢献したいと考えるように。ちょうど勤務先の情勢が怪しくなってきたこともあり、独立することにしたんです。

地域の子育て支援として、自分がまず始められることを考えたら、親子が一緒に通える教室だと思い当たりました。私は大学で英文学を学んでいましたし、勤務先では海外とのやりとりもけっこうあったので、英語は得意でした。また、趣味として通信教育でずっと絵画を習っていて、アートも大好き。そうやっていろいろ考えた結果、自分ができることと好きなことを組み合わせ、親子一緒に英語でアートを学べる教室を開設しようと思いつきました。

講師としてのスキル磨くかたわら、起業セミナーでノウハウを習得

教室風景

体を動かしたり、歌を歌ったり、ゲームをしたり、絵を描いたり、子どもたちを飽きさせないカリキュラム。この日はハロウィンに行う演劇の練習をした

まず、子ども向けアート教室を開業するため、通信教育で講師のテクニックを学ぶコースを受講。講師としてのスキルをつける一方で、独立したい女性を対象とした「女性と仕事の未来館」で開催されたセミナーを受講しました。このセミナーに参加したことは大正解だったと思っています。独立準備にお金をかける前に、まずは「ひろう、もらう、つくる」で節約してから、身の丈で独立するノウハウを学べましたし、同じ志を持つ仲間との出会いが心の支えにもなりました。このセミナーを受講してすぐ、SNS「mixi」に受講者たちが集うコミュニティを立ち上げて交流。この仲間たちの情熱に背中を押され、「やっぱり独立するしかない!」と、改めて決意することができました。

また、セミナーで身の丈で起業する大切さを学んだことで、オフィス物件を借りて教室を開くのではなく、自宅に教室をつくろうと発想を転換! 運が良いことに、購入した自宅はマンションの1階だったので、庭やリビングを開放して教室にすれば物件取得費も不要となります。家庭的な雰囲気も受講者にとってプラスに働くはずと考えました。さらに、看板やホワイトボードなどの備品も手づくり。教室づくりにかかる資金を極力抑えた分、親子で2週間ホームステイをしたり、他社の体験セミナーにも参加したり、「小学校英語指導者」の資格取得や発音に関する講座などを受講するなど、キモとなる授業内容にかかわる研修費にはお金をかけていきました。開業した今でも、研修にかかる経費は惜しまず、講師としての自分磨きを心がけています。

自宅の一室で身の丈スタート! 地域交流に発展させていきたい

生徒集めに関しては、自宅教室に通えるだろうと想定したエリアに折り込みチラシを3000部配布したほか、ネットでの告知に力を注ぎました。IT系のベンチャー企業でWeb管理の業務に就いていた経験もあるので、ネットの重要性はよくわかっていました。Webサイトやケータイサイトを自作し、検索サイトにヒットしやすい仕組みもほどこしました。まずは内容を理解してもらえるよう、無料体験コースを開き、実際に教室を開講したのが2007年10月のこと。生徒5人でのスタートでした。この人数でも教室が開けたのは、大きな固定費となる家賃がかからない自宅教室だからこそですね。

今のところ事業として常時行っているのは、この英語でアート教室「Bears English Club」だけですが、今後は世代を超えた地域住民が子どもたちを支え合う活動に発展させていきたいと思っています。私が住んでいるエリアは老人世帯が多いため、その方々の自宅には空き部屋がけっこうあるんです。教室を始めたことで、自分と同じく子ども相手の指導をしている講師仲間などの友人も増えましたし、そういったつながりをもっと強めて、子どもから高齢者までがつながりを持てるイベント開催を、そろそろ準備していきたいと考えています。

取材・文 / 石田恵海 撮影 / 岡本寛

ちょっと気になる10問10答

  • なぜ独立した?

    独立するまでに、大手や中堅、ベンチャー企業など6社での勤務経験があるのですが、事業縮小や倒産などを機に転職することもあり、企業の勝手で自分の仕事がグラグラ動かされるなら、自分で事業をしたほうが安定的ではないかと独立を考え始めました。また、勤務先では残業続きで、保育園に娘を預けて遅くまで仕事をする生活から、できるだけ早く卒業したいとも思っていました。保育園以外、地域との接点がなく、そんな生活に疑問を感じたことが、現在の事業を選んだきっかけです。

  • 開業資金は?

    150万円です。折り込みチラシの印刷代や折り込み料などが20万円。子ども用のイスやテーブル、ホワイトボードなどの備品が10万円。残りは娘と行ったホームステイなどの研修費です。

  • 開業資金はどう集めた?

    全額、会社に勤めていた時の貯蓄です。

  • 周囲の反応は?

    夫は特に反対しませんでした。また、両親も遅くまで保育園に娘を預ける生活を知っていましたからね。それと比べたら、独立して自宅で教室を開くことで、子どもの面倒も見られると喜んでいましたよ。

  • 不安だったことは?

    自分オリジナルで考えた、英語とアートを組み合わせた授業が、本当に自分にできるのかという不安はありました。今振り返ると、最初は要領がつかめず、けっこう詰め込みすぎの授業だったかなと思います。

  • 役立った情報源は?

    独立することに関するノウハウは、「女性と仕事の未来館」でのセミナーやそこで出会った仲間たちから。英語教育に関しては、娘と一緒にいくつも参加した他社の体験レッスンや、すでに英語の講師として独立している先輩たちのサイトやブログが教材づくりにとっても役立ちました。英語講師は、不思議と自分オリジナルの教材をサイトなどにオープンにする方が多いんです。ですので、私も先輩たちに倣って、自分の教材は動画サイトなどにアップするようにしています。

  • 相談相手は?

    うーん。私は人に相談しないタイプかも。しいて言えば、娘かしら? 娘が飽きるものや面白くないと思うものは、授業に生かしてもしょうがないですしね。彼女が興味を持つ授業内容にしていきました。娘は相談相手というか、実験台と言ったら怒られるかな(笑)。

  • 独立して一番困ったことは?

    まだ困るほど手広く事業を行っていないので、困ったことが思い出せません(笑)。ひとつだけ挙げるとしたら、生徒である子どもの扱いに関してかな。子どもなので、遊びたがる気持ちはわかりますが、レッスンに来ているので、遊びがすぎると困ってしまいますね。より子どもの心をとらえるレッスンができるよう、私自身、学びを続けています。

  • 独立して一番良かったことは?

    やっぱり一番は、何もかも自分で決められることですね。あとは、これまで経験してきた仕事のスキルがすべて生かすことができることです。

  • 独立を志す人へのメッセージ

    独立すると、すべて自分で決められる自由がある半面、自分に対して甘くなる時もあります。なので、事業計画や日々のスケジュールをしっかり立てることが大事だと思います。ただし、状況によって臨機応変に切り替える柔軟性も重要。「高い理想を追いながら、一歩ずつ地面を歩き続ける」とでも言うのかな。着実に身の丈で始めて地面を歩みながらも、かなえたい希望や目標を常に意識して見失わないようにする。その両面を常に心にとめておいてほしいです。

開業
2007年3月

開業資金
150万円

従業員数
1人

年間売上高
非公開

アクセス
http://bears.manabos.com/


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