先輩たちの独立事例集

先輩たちの独立事例集


樋口ユミさんの写真

メンタルケアも行う
ハラスメント対策の専門家

株式会社ヒューマン・クオリティー / 東京都港区
樋口ユミさん(39歳)

ひぐち・ゆみ / 神奈川県出身。大学卒業後、大学職員となり図書館や就職部で勤務。ハラスメントの相談員を経験した後、転職。人材紹介会社、人材研修・コンサルティング会社を経て起業した。趣味の読書は乱読派。時間を見つけてサッカー観戦も楽しむ。

独立準備のがんばりどころ

修業のために2回転職。実務経験を積んで事業内容を決定

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セクシャルハラスメント対策は、研修ニーズも高い。樋口さんは正解を提示せず、社員たちによるディスカッションにより自らが解決策を見つけ出す方法を取っている

独立を考えた時、私は大学職員をしていました。当時もハラスメントに関する相談員をしていましたが、大学は民間企業とは少し違った組織ですから、普通の会社で5年間勉強してから起業しよう。そう考えて、修業のためにまずはベンチャー企業に転職。ここでは就職相談などを行いました。さすがベンチャーだけあって、社員も野心家ぞろい。起業して巣立っていく人も多かったですし、週間の売り上げや粗利益などを明確に提示して目標を掲げるなど、大学職員時代ではまったく見えてこなかった「数字」が見える。企業のありかたを、この会社で学ばせてもらいました。

そして、次に人材研修などを行う会社に転職しました。ここでは、予算を組んで広告を出し、営業活動をして、研修の講師も行うまでのすべての工程を経験。大学職員時代に行っていたハラスメント対策に関する研修事業の立ち上げも行いました。独立するなら専門性を打ち出していきたい、社会の役に立つ仕事がしたいと考えていたので、ハラスメント対策に特化した事業で起業しようと心が決まりました。

起業セミナーを受講し、実のあるアドバイスと仲間を確保!

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クライアントとなる人事担当者には、それぞれの会社の風土に合ったハラスメント対策のスタンダードを考えてもらえるようコンサルティングしている

本格的に独立準備を始めようと会社を退職しましたが、そうはいっても、自分ひとりの力だけで起業することは厳しいと、無料の女性起業家向けセミナーに参加。そこでもっと学んだほうがいいと考え、男女共同参画センター横浜が開催する「起業家たまご塾」を受講しました。これが大正解! 非常にためになりましたね。

前期では事業プランを考えて、後期ではITをうまく活用して販促するまでを学ぶという合計150日間のコースが基本でした。でも、私は惜しくも後期から受講。しかし、本当に細かくそれぞれの事業に沿ったアドバイスがもらえましたし、起業したいという同じ志と不安を持つ仲間に出会えたことも財産になりました。このセミナーを受講していなかったら、起業できなかったかもしれませんね。

営業にかかわる環境にコストをかけ、毎月の出費はトコトン抑える

「ハラスメント対策」という事業だけに、飛び込み営業は向いていませんから、Webサイトづくりと、ネット広告活用には力を注ぎましたね。ハラスメントは加害者・被害者のどちらかが精神的な問題を抱えているケースもありますから、専門医と連携したメンタルケアもメニューに加えています。そこが当社の強みなので、サイトでしっかり伝えることを忘れませんでした。ネット広告は、クライアントになる企業人事部の方の目に留まりやすいよう、人事関係のポータルサイトに出稿していきました。

また、オフィスは都心に多いクライアントへのアクセスの良さと、家賃とのバランスを考え、格安のレンタルオフィスを活用。会議室も使えるので、研修を行う際に役立っていますね。スタートアップの時期はランニングコストを極力抑え、営業にかかわる勝負どころに多くの資金を投下することが大切だと思いますよ。

取材・文 / 石田恵海 撮影 / 刑部友康

ちょっと気になる10問10答

  • なぜ独立した?

    学生時代は公務員を目指す安定志向だったのに、大学職員になった途端、安定派ではない自分に気づいてしまって。独立しようと決意したのが32歳の時で、ここから5年間勉強して38歳には起業しようと考えました。転職当初はまだ漠然としていましたが、民間企業で経験を積むうちに、専門性を打ち出した事業で独立したいと明確な意思に。ハラスメントという分野に自信が持てたこと、困っている方が大勢いることを現場でヒシヒシと感じたことから独立を決意しました。結局、起業したのは39歳の時でしたが、40代に入る前に実現できて良かったと思っています。

  • 開業資金は?

    110万円です。資本金50万円のほかに、Webサイトやパンフレット制作、Webでの広告・宣伝、レンタルオフィスの確保などで60万円使っています。

  • 開業資金はどう集めた?

    すべて自分の貯蓄です。株式会社の設立を考えていたので、最低資本金制度が撤廃されるまでは、資本金1000万円がとても大きな壁でした。しかし、撤廃されたので、株式会社の設立もラクになりました。

  • 周囲の反応は?

    家族や夫からの反対もなく、納得してくれましたね。ただ、友人はビックリしてました。実はガンコな私なのですが、普段あまりそういうところを友人には見せないからかも。みんな、安定志向だと思っていたんでしょうね。

  • 不安だったことは?

    あったけど、なくなったというか……。独立準備のダンドリが不安だったので「起業家たまご塾」を受講したわけですが、このセミナーでの学びや、同じ志を持つ受講者のみんなに相談し合う中で不安も払拭できました。仲間がいるというのは、本当に心強いですね。

  • 役立った情報源は?

    「起業家たまご塾」の講師や受講者から得た情報がやっぱり大きかったですが、オフィス探しなどはネット検索を多いに活用しました。あとはマニュアル本です。私は、法人化の手続き、経理、Webサイトづくり、パンフレットづくりのヒントにするための配色の本を、それぞれ吟味した中から一冊だけ購入し、徹底して勉強しました。

  • 相談相手は?

    先にも言ったように「起業家たまご塾」の講師や受講者のみんなですね。受講者が集まるメーリングリストに質問を投げて相談したり、実際にやってみたことを報告したりすることで、「こうしたら?」「こんな方法もある」「もっとこうすれば、安くできた」など、たくさんの素晴らしい意見をもらうことができました。

  • 独立して一番困ったことは?

    運転資金を用意しなかったことについてです。企業の場合、春は人材採用に時間やお金を取られますから、ハラスメント研修などは夏あたりから始まります。なので、7月前半まではネットに広告を出して広報することが勝負。顧客を得るために最初は攻めていこうと、起業した2月からネット広告にお金をかけていたら、資金が足りなくなってしまいました。起業2カ月目にして新たに定期預金を引き出すなど苦心しました。

  • 独立して一番良かったことは?

    自分で責任が取れることですね。勤め人の時は、最終的には上司が責任を取ってくれていましたが、起業するとすべて自分の責任になります。その分、緊張感もありますが、自分の意思で物事を決められ、自分で責任が取れる仕事の進め方は気持ちいいですよ。

  • 独立を志す人へのメッセージ

    最初は思い切った攻めの姿勢でいったほうがいいと思います。しかし、私が困ったことからもわかるとおり、運転資金をしっかり用意しておくことをオススメします。また、私のように夏から顧客が動き始めるといった季節商売の方は、オフシーズンにどう顧客を確保するか、そのための策を練っておくべき。私の場合は、新入社員や学校向けなど、顧客のシーズナリティにマッチしたメニューを用意することでクリアしていく考えです。そういったオンオフの時期は、どんな事業にも少なからずあるはずですから、収支計画書を作成して、自分の事業の収支の山と谷をよく把握しておくことが大事だと思いますね。

設立
2008年2月

資本金
50万円

従業員
1人

年間売上高
実績なし

アクセス
http://www.human-quality.co.jp/


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