先輩たちの独立事例集

先輩たちの独立事例集


清水慎也さんの写真

老若男女に愛される
ホットドッグの移動販売

RAIZU(有限会社Truth-Brothers) / 東京都江東区
清水慎也さん(38歳)

しみず・しんや / 埼玉県出身。専門学校中退後、飲食、アパレルなど様々な業界でアルバイト。資金が貯まれば海外放浪に出かける自由を満喫した後、社員経験を経て移動販売で独立。趣味は料理とサーフィン。顧客との会話と商売をこよなく愛する。

独立準備のがんばりどころ

趣味感覚で海辺に開業した夏季限定の生ジュース店が修業の場に

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遠くからでも、前後左右からでも「何屋」か一目でわかるよう「ホットドッグ」の文字でアピール。人でごった返すイベント会場では、のぼりが効く!

旅先のブラジルで見た生ジュースの移動販売のかっこ良さが、どうしても忘れられなかったんです。もともとアメリカンテイストなモノが大好きだったこともあり、移動販売をするならその商材は、1位生ジュース、2位ホットドッグだろうと。それで最初、夏限定で生ジュースの移動販売を友人と共同で始めました。海の近くに出店して、時々サーフィンを楽しんで、冬場は売れないので海外放浪の旅へ……と、商売というより趣味感覚ですね。

2004年から、この生活を2年やりましたが、営業期間が短いためさほど売り上げも立たない。すると職人気質な料理人の相棒が、こだわりの“おこわ屋さん”をやりたいと言うので商材を変え、本気でやろうと法人化もしました。ところが、これが予想以上に売れなかった。でも、相棒は信じていました。「おいしければいつか必ず売れる」と。でも僕はだんだんと「おいしいだけではダメ。売り方も良くないと売れない」と思い始めるように。結局、徐々に互いの考え方にズレが生じ、僕はひとりでホットドッグ屋として独立することを決意しました。相棒と共同経営していたこの数年は、本格独立のための修業期間といえますね。

「何屋」なのか遠くからでもわかるよう、見せ方を工夫

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一番人気のメニューは「サラダドッグ」。特注したこだわりのオリジナルソーセージに、野菜をシーザーサラダのごとくトッピング。ヘルシーさが老若男女にウケている

おこわ屋時代、イベント会場などで知り合った移動販売の先輩たちに「僕たちの店は何で売れないんでしょう」って相談していました。すると「まず何屋なのかすぐわからないからダメ」と言われ、「そうだったのか」と。初めて見せ方の大切さを思い知りました。自分ひとりで始めたホットドッグの移動販売では、遠くからでもホットドッグ屋とわかるよう車の上にのぼりを立て、看板もお客さまが商品をイメージしやすいよう写真を使ってつくることにしたんです。

出店先は、イベントプロデュース会社に登録して紹介してもらったり、自ら商業施設に飛び込み営業をして開拓したり。秒殺で断られることがほとんどでしたが、めげない心で時間を見つけては飛び込みを繰り返した結果、商業施設「横浜ベイクォーター」を本拠地にすることができました。ここを拠点としながら、春や秋の行楽シーズンの週末は様々なイベント会場に出店。そしてイベントが少なくなる冬は、クリスマスと年末年始に勝負をかけるよう心がけていますね。

自分のキャラに合った車、商材、立地、看板で、売れる店に

これは、始めてからわかったことなんですけどね。クレープやドネル・ケバブなど、圧倒的に人気の高い商材ってあるんです。クレープは子どもや女性、ケバブは男性のウケが断然いい。でも、どんな商材であっても移動販売で一番大事なのは、自分のキャラクターと車のテイスト、商材、立地、看板などが合っていることなんです。これらがすべてマッチすれば、必ず売れます!

僕のキャラと商材、立地、看板は、かなりマッチしていると思っているんです。でも車のテイストだけが、大柄の僕にはちょっと合っていない。今は「フォルクスワーゲン・タイプ2 バス」という中型車なのですが、近々、大型車に変える予定です。移動販売で成功したいなら、出店場所の確保とそれらテイストのマッチングをしっかり考えておくことです。

取材・文 / 石田恵海 撮影 / 刑部友康

ちょっと気になる10問10答

  • なぜ独立した?

    フリーター生活と海外放浪を繰り返すなど、ずっと自由に生きてきて、最後は会社勤めも経験したのですが、やっぱり自分らしく自由に生きることが一番幸せな人生だと。料理も得意でしたし、人と話すのがとにかく好き。それで、海外で見た移動店舗のかっこ良さを思い出して、これだ!と。

  • 開業資金は?

    ちなみに最初、友人とふたりで生ジュースの移動販売を始めた時は140万円。車はその時に100万円で購入したものを使っています。なので、ホットドッグの移動販売を始める際にかかったのは5万円のみ。費用を抑えるため、鉄板や看板、メニューもすべて手づくりしましたから。

  • 開業資金はどう集めた?

    最初に移動販売を始めた時の140万円は、共同経営者の友人と70万円ずつ出し合いました。7年間勤めた会社員時代に貯めた貯蓄です。

  • 周囲の反応は?

    友人たちは笑ってましたよ。「バカだね、やっぱりおまえは」って。親には事後報告ですが、僕は「いつものんきに遊んでいる息子」と見られていたようで、報告しても「あっ、また??」みたいな(笑)。「何でもいいけど、世間様に迷惑かけんじゃないわよ!」程度でしたよ。でも、これで食っていけるようになるなんて、誰ひとり思ってなかったんじゃないでしょうか。

  • 不安だったことは?

    なかったッスよ! 問題が起きても必ず解決できる方法はあると思ってましたから。ただ、友人とジュースの移動販売を始めて、出店先がなかなか見つからなかった時は「車まで買ったのにどうしよう」とちょっとだけ不安になった記憶がありますけど。その時くらいですかね。

  • 役立った情報源は?

    ない(笑)。僕、事前に調べたりしないタイプなんですよ。いつも飛び込み。だから、たとえば保健所の許可を取るために事前に本を読んだり、調べたりということもしてなくて、いきなり飛び込んでイチから教えてもらってますしね。役立った情報源をあえて挙げるなら「人」ですかね。特に移動販売をしている先輩たち。彼らからは、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。

  • 相談相手は?

    移動販売を先にやっていた先輩たちです。商売を始める前だと「移動販売したいんです」と、彼らに相談しても「辞めときな、儲かんないから」とそっけなかったりするんです。でも、ひとたび自分で始めて彼らと同じ土俵に上がったら「売れないんスよ」と相談すれば「ダメだよ、この看板。これじゃあ、何屋なのかわかんないでしょう」などと温かい指導をしてくれました。そういった先輩のノウハウを素直に聞いて取り入れていくことで、少しずつ売れる店になっていきましたね。

  • 独立して一番困ったことは?

    ない! 「困った」って、どうしていいかわからず悩むことですよね? 始めた時、なかなか最初は売れなかったですが、立地が商材に合ってない、看板が良くないなど、売れないには何かしらの理由があるわけです。だったら、それをクリアすればいいだけ。悩む前に動いてましたし。だから僕、めちゃくちゃ困ったことがないんです。って、理屈っぽいですか(笑)。

  • 独立して一番良かったことは?

    僕は料理も好きで、トークも大好きで、図体がデカくて、アメリカンテイストなものも好き。そんな自分のキャラがホットドッグっていう商材とマッチしてると思うんです。自分が好きなことをして、自分のキャラも生かせるって、サイコーじゃないですか! そんな生き方ができていることが一番良かったことです。

  • 独立を志す人へのメッセージ

    先にも言いましたが、移動販売は自分のキャラと車のテイスト、商材、立地、看板などがマッチしていることが重要です。たとえば、スイーツを売るなら、キレイな車で女性オーナー、もしくは女性の意見を取り入れた雰囲気で、アパレルの多い立地やオシャレな看板……ってのが売れる店になります。僕みたいに小汚いヤツだったら絶対スイーツは売れない(笑)。全体のイメージバランスが整っている店は売れる店、継続できる店になると思いますね。これは移動販売だけでなく、すべての店舗ビジネスに言えることではないでしょうか。

設立
2006年6月(開業は2007年4月)

資本金
1円

従業員
1人

年間売上高
900万円(2008年6月見込み)

アクセス
shinya01@t-brothers.net


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