おおみや・ゆかこ / 名古屋市北区出身。雑貨が大好きで、15年近くにわたって雑貨店に勤務。犬好きでもあり、飼っている2匹のチワワと一緒に過ごしたいと考え、夫と共に開業。最近はネットショップも始め、忙しい日々を送る。
入り口は全面ガラス張りのため、内外装費を節約できただけでなく「何のお店だろう?」と通行人の目を引く効果も。駐車スペースもあるため、遠方から来るお客さんも多い
立地はとっても大事だと思いました。ただ、ドッググッズショップの場合は、いわゆる好立地といわれる駅前や人通りが多いところが不向き。犬の散歩をする人が多い公園や、ドッグカフェなど関連業種のお店が近くにある場所がいいと考えました。また、お客さんは犬同伴の方がほとんどですから、入店しやすい路面店である必要があると。
そこで、夫と一緒に車で走りながら、「テナント募集」の看板を見つけては、不動産会社に電話。それを繰り返して、4軒目に当たったのが今の物件です。公園とドッグカフェが近所にあったことや、入り口がガラス張りで内装費の節約ができそうなところが決め手になりました。
人気のドッグウエアのほか、ドッグシャンプーや犬用のクッキーなども販売。「癒し・温もり・和み=スローライフ」をテーマに商品セレクトを行っている
店舗の内装は、壁のペンキ塗りを自分たちで行うなど、できるだけ節約しました。本当は、床は木を使いたかったんですけどね。それだと出費がかさんでしまうのと、犬がウンチをした時の後処理のしやすさなどを考えて、もともとあったコンクリートを残しました。
また、什器などはショップの展示品を購入することで、正規価格の半額にしてもらったり、リサイクルショップで買ったり、もらったモノを使ったり。ライトやソファは什器でもありますが、販売もすることで商品見本として低価格で購入することができました。お店の顔になる商品仕入れにお金をかけたかったので、こうやって内装や設備などを徹底して節約したんです。
ドッグウエアやリード、犬のおもちゃなどは、自分の好きなメーカーがあったので、専門誌を見て直接メーカーに問い合わせて契約しました。飼い主向けの雑貨や家具などは、雑貨の見本市「ギフトショー」に参加してカタログをもらって検討しながら、発注しています。最近は、作家モノのドッグウエアも増えているので、作家さんに卸しの依頼をしたり、セミオーダーのオリジナルウエアも取り扱うことで、差別化。自分らしい店になっていきました。
お店づくりは、家の内装や収納とは違うので、全体の統一感を出すことが大事なんですね。だから、イメージカラーを商品が映える白色と茶色にして、観葉植物で緑色を演出しようと3色に絞りました。ただ、茶色ひとつとっても、微妙に茶の濃度が違うだけで全体の雰囲気が大きく変わりますから、什器のセレクトなどはけっこう大変。だから、開業時の家具は最小限に抑え、開業後に家具を入れ替えたり、追加したりしましたね。開業時にカンペキなお店をつくろうと、無理をしないことが大切なんじゃないかと思います。
勤めていた時は、大好きな2匹の犬を自宅で留守番させるのも心配でしたし、彼女らと一緒に、毎日を過ごしたかったというのが一番の理由です。また、私自身、雑貨が好きだったことや、夫はカジュアルウエアのセレクトショップでバイヤーをしていたので、その知識や経験も生かせると。当時、愛知県内におしゃれなドッググッズショップがほとんどなかったことも、ひとつのきっかけではありますね。
700万円です。店舗取得費で120万円、内外装費で300万円、備品などで50万円、商品の仕入れで200万円。また、ショップカードの制作費として1万2000円を使いました。残りは運転資金に回しています。
夫婦で貯蓄していた400万円を元手にして、国民生活金融公庫に300万円の融資を依頼しました。ところが、それを知った義父が同額を貸すという話に。融資は決定していたのですが、せっかくの申し出だったので、国民生活金融公庫の融資を断り、義父から300万円を借りて合計700万円でスタートしました。
夫の両親は安定志向なので、反対されるだろうなと思っていました。でも、開業すると決めてからの報告だったので「それなら、一度やってみなさい」と。資金提供までしてくれたんですよ。ただ、今でも「勤め人に戻ったら?」なんて心配されます。心配しているのは、私の両親も同じですね。「お店は順調?」「売り上げはどうなの?」と。親心はわかるので、心配させるようなことは言わないようにしています。
うーん、なかった(笑)。準備中は準備することが忙しくて、売り上げが立つかどうか、お客さんが来てくれるかどうか、不安を感じているヒマなんてなかったです。でも、お店がオープンして落ち着いてから、ずっとお客さんが来てくれるかな?と不安になったりして(笑)。
ムック本の『Dog goods shop』は愛読書だったんですが、そこからドッググッズのメーカーの情報を得ましたね。また、雑貨の見本市のギフトショーでは、飼い主向けのグッズメーカーさんと出合うことができました。
夫は前職の同僚や上司などに相談していたようですが、私はまったく。周りに商売をしている人も犬好きの人もいなかったので、相談できる相手がいませんでした。だから夫とふたりで相談して考えることが多かったですね。
想像以上に忙しいということでしょうか。自分のお店なのだから、好きに休みを取っても大丈夫と、安易に考えていたところもありました。でも、遠方から来てくださるお客さんも多いので、今日はヒマだからと早くにお店を閉めることもできません。ネットショップもやっているので、お店が終わった後も深夜まで作業していることも。オーナーと勤めている販売員の違いが、やってみてよくわかりました。
お客さまに喜んでもらえたり、感動していただけると嬉しいです。それと、やっぱり犬と一緒にいられることですね。家に残して仕事に出ていた時は、地震があっては心配し、火事になったらどうしようと心配してましたから。自分の店なのですから、2匹を置いていてもOKという自由度はありますね。また、販売員を長くしていたのに、実は私は人見知りでして(笑)。ドッググッズショップは犬を飼われているお客さんがほとんどですから、同じ好きな犬の話で盛り上がれるので、人見知りも少なくなって。それも嬉しいことです。
同業者とは戦うのではなくて「共存する」という考え方を大切にしたほうがいいと思います。特にドッググッズショップは、犬連れでいらっしゃって長居されるお客さんが多いのですが、「あのお店、良かったですよ」なんていう他店の情報をお客さんから聞くこともしばしばです。そうしたら、そのお店に行って、良い関係を築いていくことが大事だと思います。勉強になる部分も多いですしね。あとは、やりたいことがあるなら、ぜひしり込みしないでチャレンジを! やらなかったら、自分の夢は、いつまでたっても夢のままですよ。
独立した先輩の体験エピソード&独立支援情報