あかみね・なおや / 沖縄県出身。短大で制御技術科専攻。趣味は読書と料理。2007年夏に「泡盛マイスター」認定試験合格。土日は休み、３人の子ども＆美しき風景をデジタル一眼レフで撮りまくる子煩悩パパ。近い将来、個展や写真集発売を検討中。
マンゴー、パッションフルーツ、沖縄もずく、沖縄エビなどの生ものから、泡盛、ウコン、モズクフコイダンなどの健康食品まで商品は多彩
実は、今でこそ沖縄県産品のネットショップですが、開業当初は違うんです。義理の兄がホームページ作成やネットワーク構築の会社を起こし、僕は１カ月後に共同経営者として参加。その後に、沖縄県産品のネットショップ事業を始めたのですが、５カ月間の月平均売り上げはわずか６万円。倒産も覚悟していました。
借金の返済が翌月から始まるという時、捨てる神あれば拾う神ありで、メイン商品だったゴーヤー茶がたまたまテレビの情報バラエティー番組で紹介されたんです。番組終了と同時に注文が殺到し、状況は一変。でもこれは自力で得たものではなく、本当に運が良かっただけ。いろんな人たちのおかげだと痛感しました。ここからが独立準備といえる、まさに本当の意味でのスタートでした。
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この商品ならこれがおすすめ、という１カテゴリー１生産者に絞った専門店街にしたかったので、商品選びは特に注力しました。でもいきなり農家さんを訪ねて、インターネットで販売したいと言っても断られるだけ。いくら僕が同郷でも怪訝に思われる。なので、紹介やコネで一軒一軒当たって、すべて家族で味見して、満足し、納得したものだけを厳選して、少しずつ増やしてきました。
こうして１カテゴリー１生産者１サイトにし、あえて個別ドメインにして、専門店の集合サイトを増やしていったのです。そのほかにも、送料１回分で複数のサイトからまとめ購入できる共通カートを設けたり、サーチエンジンで上位にリストアップされるようSEOを学び、メタタグのキーワードを厳選したりと、勉強して得た方法やアイデアをどんどんプラスしていきました。
ネットショップは顔が見えない商売ですから、実店舗以上にいかに人間性を感じてもらい、信頼してもらえるかが大切だと思います。特に食材を扱うので、なおさらです。単に商品の販売をするだけじゃない、生産者とお客さまの架け橋として、生産者の思いを伝えるメッセンジャーになろうと。自分がお客さんなら何が嬉しいか、何に温もりを感じ、信頼できると思えるかを常に考えています。
スタッフや生産者の顔写真とコメントを詳しく載せる、お客さまの感想を手書きのまま掲載する、梱包時に使うのは沖縄の新聞紙にする、健康食品も扱っているので薬事法管理者認定書や会社の登記簿謄本を載せる、などもその一例です。今後もあらゆることを取り入れて、商品の魅力におごることなく、現状に満足せず、通信販売を通じて人と人の温もりが伝わる場にしていきたいです。
結婚と子育ては地元でと決めていたので帰郷しました。すでに義理の兄が独立していて、誘われて共同経営者に。しかし経営がうまくいかず、以前から構想だけは持っていたネットショップ事業を、まずはゴーヤーだけでスタート。沖縄の特産品を広めることにミッションも感じていたし、僕は前職でシステム開発にかかわり、社内Webサイトの企画・運用も担当していたので技術的な面では自信があったんです。02年11月から通販サイトを立ち上げ、軌道に乗り始めた03年の夏から本格的に１カテゴリー１サイト１ドメインの専門性に特化した現在のかたちに。04年に単独の経営者となり、法人化を機に社名も変更しました。
用意したのは1000万円です。実際に開業資金として使ったのは、事務所賃料で50万円、機材やコンピュータなどで30万円、最初の仕入れで20万?30万円で、合計100万円くらい。その後、半年以上は赤字続きでしたから、運転資金と人件費で、残りの900万円はなくなる寸前でした。
ネットショップ事業をスタートさせるために、02年10月に沖縄県の商工会を通して創業支援資金制度を申請し、800万円を借りました。それと、彼女との結婚式費用として貯蓄していた200万円を計上。まだ結婚式を挙げていなかったので、この200万円だけはなんとか死守して、早いうちに取り戻そうと。僕は必死でした（笑）。
やはり生まれ育った地元に帰って来たので、みんな応援してくれました。ただ、経営不振だったし、ネット事業を始めてからも半年近くは赤字でしたから、嫁さんにも心配かけたなぁと思います。１カテゴリー１生産者にする考えは始動前から持っていました。もし自分が何かを購入する立場なら、同じような商品をいろいろ売っているデパートよりも、厳選した品だけを売る専門店で買いたいと思うからです。特に県外のお客さまには、「今まで何十社もあってどのメーカーを選んでいいか悩んでいたけど、これなら悩まずに済む」と喜んでもらいました。さらには、各サイトを個別ドメインにしたことで、相互リンクが多く張られ、検索サイトでのアクセスアップにもつながりました。
何事も不安はつきものです。でも、不安だからといって、それがやらない理由にはならないでしょう？ 不安を消すには、ともかく始めてみないとわからないですよ。やりながら考えて改善すればいい、僕はそう思ってきたし、以前勤めていた自動車会社の創業者もそういう考えでしたから。前職の職場環境で、いい影響を受けていたのかもしれません。
03年にテレビで紹介された後、学ぶ姿勢を一変しました。あれだけ窮地だったのにノープランで、たまたま運良くお客さんが増えただけですから、このままじゃいけないと大反省したんです。それまで本をまともに読んだことがなかったけれど、ビジネス全般、マーケティング、精神論の本などを読みまくりました。今では読書が趣味で月に3?6冊は読みます。それと、セミナーや異業種交流会で広まった人脈も素晴らしい情報源です。いろんな情報を得ることで僕自身も会社も幅が広がったと思います。薬事法管理者認定の取得や法人化もそう。自分が好きという理由からですが、「泡盛マイスター」も沖縄大学の講座に毎週通って猛勉強しました。学ぶことで世界が広がります。
創業支援資金制度については、父が商工会の役員でしたのでいろいろ相談に乗ってもらいました。03年の夏以降からは積極的に自己啓発や集客・起業家セミナーに参加したり、06年からは沖縄県内の異業種交流会にも参加しています。この異業種交流会はすごく濃くて、そこで知り合った方々にいろいろ相談できますし、講習後に２次会もあるのですが、それも参加しないともったいないくらい（笑）参考になる話がいっぱいあります。もちろん飲んでいても、きわめてまじめですよ。
困ったというか、嬉しい悲鳴でもあるのですが、資金繰りです。特に今年の夏、マンゴーで危機イッパツでした。というのも、2000ケースという記録的な注文をいただいて。これは６月から注文の受け付けを開始し、発送は８月なのですが、いつも農家さんへは収穫（納品）後に現金でお支払いをするんです。逆に会社への入金は、代引きだとしても発送後ですし、クレジットカード決済のお客さまとなると、翌月以降になるわけです。人気がある商品であればあるほど、仕入れから入金までの間の資金繰りが課題です。
お客さまから、おいしかったと感想をいただくこと。そして農家さんに伝えて喜ばれることです。お客さまから毎月数十通ほどメッセージをいただくのですが、僕もスタッフも、それが宝物ですね。サイト上でも公開していますが、テキストデータでは“ヤラセ”に思われるかもしれないので、手書きのままの文章を載せています。それと、テレビで紹介されなかったら、今の僕も会社もなかったと思っています。あの時の感謝の気持ちは忘れないし、すべては皆さんのおかげという気持ちで、少しでも恩返しができればと可能な限り取材には協力しています。
何かアイデアがあるなら、失敗か成功か考えずにまずやってみること。まずやってみて、反応を見て、そこから考えればいい。例えば、タクシーに乗りたいなら手を上げるでしょ？ それと同じ。止まってほしいなぁ、乗りたいなぁと念じているだけじゃ、誰にもわからないし、もちろん止まってはくれない。まず手を上げる。行き先は乗ってから考えたっていいじゃないか。話の流れで、行き先を変更してもいいじゃないか。とにかく、思い付いたら自ら行動してみることです。
独立した先輩の体験エピソード＆独立支援情報
