海外へ発信! 質の高いスリングで
幸せな子育てを広めたい
「『魔法の布』と出合ったことで、私の人生が変わったんです」
と話す、北極しろくま堂(有)・代表取締役の園田正世さん。この「魔法の布」とは、スリング(抱っこひも)のこと。園田さん自身が二女を出産した時、スリングに助けられたという。
「育児中、社会から疎外されたように感じてとてもつらかった。首がすわらない子供を抱っこするのも難しいので外出もままならず、育児に行き詰って自宅で泣いていることもありました。そんな時、イベントでスリングと出合ったんです。新生児でも使えるし、肩パッドが広く肩こりや腰痛になりにくい。子供と密着できるので、安心して眠ってくれるなど、いいことばかり。これなら私と同様に、小さな子供を抱えて家に閉じこもっている母親たちを助けることができると思い、すぐにみんなにも教えてあげたかったんです」
当時、日本では販売していなかったスリングをファクスで少量購入。スリングのチラシをつくって近くの助産師に渡し、母親たちに配布してもらった。最初は月数本程度の注文だったが、使用した人たちから「使い心地がよい」「生まれたばかりの赤ちゃんにも使えて便利」などの口コミが広がり、またたく間に注文が増え始める。手ごたえを感じた彼女はさらに多くの人に広めたいと、ネットショップでスリングとおんぶひもの専門店・北極しろくま堂をオープン。しかし彼女は、その頃の商品に100%満足していなかった。
「輸入品なので日本人の体形や日本の気候に合いにくく、色や柄も違和感のあるものだったのです。そこで、日本で生産を行うために輸入元とライセンス生産契約をし、静岡県内の縫製工場に依頼して国内での製造を開始しました。安全性や使い勝手の良さを追求した、より質の高いスリングをつくりたかったのです」
生地選びから自分で行い、何度も試作を行って納得できる商品を開発。販売数も増えたことから、取引先工場や顧客に安心してもらうため、2004年2月に北極しろくま堂(有)として法人化。同年10月には独自ブランドのスリングを企画し、発売。百貨店からの発注も相次ぎ、なんと初年度の売り上げは1億円を超えるほどに成長を遂げた。
2005年11月には、待望のショップを東京・自由が丘にオープン。「実際に手に取って、見て、買っていただきたかったし、スリングの使い方を直接説明したかったので、ショップをつくることは念願でした。2007年2月には、兵庫県・神戸市に2店舗目をオープンしたんです」
そして今年5月、「質の高いスリングを海外の母親たちにも使ってもらいたい」との思いから、韓国に支社を設立。新たな一歩を踏み出した。
「私はスリングの販売を通して、赤ちゃんもお母さんも幸せになれる環境を整えたかったのです。心をはぐくむ子育てを、世界中に広めたいですね!」