法テラスはお金がない人の味方!本当に無料相談できる?利用条件をチェック

借金の相談や債務整理にかかる費用など、「専門家に相談したいけどよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、法テラスで受けられるサービスや利用条件、民事法律扶助制度を利用した際の費用面など詳しく説明します。
Contents
法テラスは国が設立した法的機関
法テラスは、借金や離婚問題など法的なトラブルを抱えた人が問題を解決するために国が立ち上げた法的機関です。
平成18年4月に設立され、正式名称は「日本司法支援センター」で、通称「法テラス」と呼ばれています。
債務整理を行うときの弁護士・司法書士費用に関しても、基準を満たしていれば民事法律扶助という制度の利用が可能です。
法テラスで借金減額はできるの?
法テラスは借金問題の相談先ではありますが、法テラスに問い合わせたり、専門家を紹介してもらうだけでは借金減額にはなりません。
先の説明の通り、弁護士や司法書士などに依頼し債務整理を行えば、借金の減額や免除は適用されます。法テラスの制度を活用すれば、一度に支払うお金を抑えることができます。
借金問題は専門性が高く、専門用語も多く複雑で初めてだとわからないことが多くあります。この記事を読んで理解を深めましょう。
法テラスで受けられるサービス
法テラスでは、一人一人の困りごとに関して相談窓口が分かれています。
問い合わせ内容に応じた「情報提供」
法テラスでは、問い合わせ内容に応じて法的に関するアドバイスや、相談機関・団体に関する情報を無料で提供しています。
- 相談場所が分からない
- 解決方法を知りたい
- 法的に関する情報を知りたい
- 将来的なトラブルを回避したい
上記の悩みを持つ方に対して必要な相談機関を提供し、解決に導くためのサービスです。
相談分野の窓口が分かれているのでネットから検索することもできます。専用フォームからの問い合わせは、24時間対応しています。
- 借金を相談や解決できる弁護士や司法書士の紹介
- ギャンブル依存なら治療できる専門機関の紹介
状況に応じた相談先、専門機関を教えてもらえます。他には、このような場合も法テラスは味方になってくれますよ。
夫もしくは妻の多額の借金が発覚…。借金が原因で離婚問題も少なくはありません。
- 離婚を検討している、慰謝料や養育費はどうなる?
- 夫婦で返済を頑張ってきたけど、債務整理したい
- 住宅ローンは離婚するとどうなるの?
法テラスに問い合わせると、離婚問題、債務整理に強い弁護士など相談先を案内してくれます。上記のような悩みも解決できます。
経済的に余裕がない方を支援する「民事法律扶助制度」
個人で弁護士や司法書士に債務整理を依頼すると「着手金」や「報酬金」と言った費用が数十万円かかります。
経済的に余裕がない方にとっては大きな負担となるところを、民事法律扶助制度を利用すると法テラスが弁護士・司法書士費用を立て替えてくれます。
立て替えてもらった費用は債務整理後、法テラスに分割で返済をしていきます。毎月原則として1万円を返済し、利息や手数料はかかりません。
弁護士・司法書士からアドバイスをもらえる「無料電話相談」
法テラスには弁護士や司法書士と電話で相談ができるサービスがあります。通常は料金がかかる相談も、法テラスでは無料でできます。
時間制限はありますが、「どこに相談したら良いか分からない…」という方にはありがたいサービスです。
また特定の弁護士との無料相談を受けるには、弁護士事務所に「法テラスを使用して相談したい」ことを伝えると、弁護士事務所が法テラスに申請をし、相談料を代わりに法テラスが支払ってくれます。
民事法律扶助制度と無料相談が受けれる利用条件
費用の立て替えをする民事法律扶助制度や、無料で相談が受けられるなど魅力的なサービスですが、全ての方が受けられるわけではありません。
法テラスは、経済的に余裕が無い方のために設置された機関です。無料相談が利用できるのは「1」と「3」を満たし、民事法律扶助制度は「1」~「3」の全てを満たす方が対象です。
- 収入等が一定額以下であること
- 勝訴の見込みがないとは言えないこと(和解・調停・示談により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込があるもの)
- 民事法律扶助の趣旨に適すること(感情的な報復・宣伝のためといった権利濫用訴訟は認められない)
さらに、民事法律扶助制度を利用するには、以下の「収入」と「資産」を目安に、一定の基準を満たす必要があります。
【収入基準】
世帯人数 | 申請者と配偶者の手取り月収額 (東京・大阪など生活保護一級地の場合) |
家賃・住宅ローンを負担している場合に 加算できる限度額 (居住地が東京都特別区の場合) |
---|---|---|
1人 | 18万2,000円以下 (20万200円以下) |
4万1,000円以下 (5万3,000円以下) |
2人 | 25万1,000円以下 (27万6,100円以下) |
5万3,000円以下 (6万8,000円以下) |
3人 | 27万2,000円以下 (29万9,200円以下) |
6万6,000円以下 (8万5,000円以下) |
4人 | 29万9,000円以下 (32万8,900円以下) |
7万1,000円以下 (9万2,000円以下) |
※同居家族が1名増加する毎に、手取り月収額は30,000円(生活保護一級地の場合は33,000円)が基準額となります。
※申請者が家賃・住宅ローンを負担している場合は右表の額を加算することができます。
【資産基準】
人数 | 資産の総合計額 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
※申請者および配偶者が不動産、有価証券、現金、預貯金の資産総合計が上記の基準を満たしていることが要件になります。
※離婚事件など、配偶者が相手方のときは収入と資産は合算されません。
条件を満たさなくても弁護士相談は受けることができる
民事法律扶助制度や無料相談を受けるには上記の資力基準がありますが、条件を満たしていなくても弁護士・司法書士相談は有料(30分5,000円)になりますが、受けることができます。
「有料では受けたくない」という場合は、個人の弁護士・司法書士事務所でも無料相談に応じてくれるところはあります。
ホームページで掲載されていることも多いので、無料相談を受けたい場合は問い合わせをしてみると良いでしょう。
民事法律扶助制度を利用した場合の費用基準
民事法律扶助制度を利用して債務整理をする場合の費用基準を紹介します。まずは、法テラスを使用せず、弁護士に依頼した場合の費用相場を見ていきましょう。
費用には弁護士に払う着手金や報酬金と言った「弁護士費用」、さらに個人再生や自己破産の手続きには「弁護士費用」と「裁判所費用」がかかります。
種類 | 弁護士費用 | 裁判所費用 |
---|---|---|
任意整理 | 1社につき、 約3万円+減額報酬10% |
なし |
個人再生 | 約30~40万円 | 約20万円 |
自己破産 | 約30万円 | 約3~50万円 |
上記が一般的な債務整理の費用目安ですが、事件の内容によって金額が変動することがあります。
任意整理の費用基準
任意整理を法テラスで依頼すると報酬金はかかりませんが、債権者数によって着手金が増えます。過払い金が発生する場合、別途、報酬金が上乗せされます。
法テラス埼玉の標準的な決定金額を参照に見ていきます。
債権者数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1社 | 10,000円 | 33,000円 |
2社 | 15,000円 | 49,500円 |
3社 | 20,000円 | 66,000円 |
4社 | 20,000円 | 88,000円 |
5社 | 25,000円 | 110,000円 |
一般的に、弁護士事務所に依頼すると、1社あたり着手金が3万円、減額報酬金が10%加算されます。
例えば、100万円あった債務に対して弁護士に依頼して50万円減ったら、
減った金額50万円の10%、つまり、5万円が減額報酬で加算され、着手金と合わせると費用は83,000円かかることになります。
法テラスの民事法律扶助制度を利用した場合は、1社あたりの費用を合計すると43,000円の実費で済みます。
個人再生の費用基準
任意整理と同様、過払い金がある場合は別途、報酬金がかかります。
法テラス埼玉の標準的な決定金額を参照に見ていきます。
債権者数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1~10社 | 35,000円 | 165,000円 |
11~20社 | 35,000円 | 187,000円 |
21社以上 | 35,000円 | 220,000円 |
個人再生を弁護士事務所に依頼すると、弁護士費用と裁判所費用を合わせても50~60万円(個人再生委員の代理を委託した場合は減額可)が相場ですが、法テラスを利用した場合は20万円程になります。
自己破産の費用基準
過払い金がある場合は別途、報酬金がかかります。実費は債権者数が増えても一律2万3000円です。
法テラス埼玉の標準的な決定金額を参照に見ていきます。
債権者数 | 実費 | 着手金 |
---|---|---|
1~10社 | 23,000円 | 132,000円 |
11~20社 | 23,000円 | 154,000円 |
21社以上 | 23,000円 | 187,000円 |
一般的に同時廃止の場合は20~30万円程、管財事件なら30~50万円程かかる費用が、法テラスでは債権者数が10社までだと合計で155,000円になります。
法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば大幅に費用を抑えることができ、支払いも月5000円~1万円程度を分割で払っていけるので、費用面での負担が少なくなります。
生活保護を受給している場合は費用が免除される場合も…
生活保護を受給していない場合、立替金の返済を月5000円~10000円支払っていくことになりますが、手続きが完了した後も生活保護を受給している場合、弁護士費用の返済は免除や猶予してもらえます。
しかし、手続きが終了するまでに生活保護を抜ける見込みがあると、法テラスに立替金を返済しなければいけません。
自己破産で管財事件となれば、裁判所への費用が20万円以上となるので経済的に余裕が無い生活保護者に対して、法テラスでは立替をし、返金も免除されます。
疾病など病気の診断書が必要な場合は、ケースワーカーに相談すると自己負担なく取り寄せができますよ。
法テラスの費用を払えなくなったらどうなる?
何らの事情で法テラスの費用を返済できなくなったら…。返済できないとどうなるのかお伝えします。
返済が遅れると、はがきで連絡がくる
法テラスヘの分割支払いは、基本的に銀行口座からの引き落としになりますが、口座から引き落としがされない場合はがきが届きます。
コンビニ支払いができるはがきですので、期日までに支払えば問題ありません。支払い期限が過ぎたり、はがきを紛失すると納入できなくなります。
はがきを無視すると給料など差し押さえに…
電話やはがきで支払いの通知が来ても無視すると法的措置が取られ、給料や財産の差し押さえになってしまいます。
もし、お金が用意できず支払いができないのであれば法テラスに相談しましょう。一時的に支払いが困難な場合は、支払いの猶予をしてもらえる事もあります。
支払いが厳しいとなった時点ですぐに連絡することが大切です。
債務整理を法テラスに相談する流れ
法テラスを利用して債務整理をする場合、どういう流れで手続きをしていくのか説明します。
- 1.電話・メールで問い合わせをする
- お住まいの法テラスの窓口や、電話またはメールで問い合わせができます。問い合わせ内容に応じた情報を基に、利用条件を満たせば専門家の無料相談を受けることができます。
- 2.専門家の無料相談を受ける
- 条件を満たし、民事法律扶助制度を利用する場合は援助申込書を記入して無料相談を受けることができます。相談は1つの問題につき3回までが無料、1回の相談時間は30分までです。
- 3.債務整理を依頼するための契約を結ぶ
- 相談後、法テラスを通して債務整理を進めていくことになったら委任契約を結びます。担当弁護士がいない場合は法テラスが紹介してくれますが、すでに依頼したい弁護士がいる場合は担当弁護士へ相談し、法テラスの民事法律扶助の申込ができます。
無料相談を受けるときに、借入額や収入状況など現状の把握できるものを持っていくとスムーズに話ができます。聞かれることはほとんど決まってるので事前に準備しておきましょう。
【相談時に持っていく物】
- 債権者の一覧表(業者名・借入額・借入日などを記入したもの)
- 収入状況が分かるもの(給与明細・源泉徴収票など)
- 支出状況が分かるもの(通帳や家計簿など)
- 身分証明書(運転免許証・健康保険証など)
- 認印(シャチハタ不可)
- 督促状・訴状など
法テラスを利用する際に気になる点をすっきり解決
初めて法テラスを利用する際には、気になる点も多いものです。相談の段階で疑問を抱きやすいポイントについて解説します。
無料相談ではどこまで相談できる?
法テラスの無料相談を利用する際に、「いったいどこまで対応してもらえるのか?」が気になるところです。無料相談で利用できるのは、あくまで相談のみとなります。
また、無料相談できる時間は限られています。無料相談で一定の成果を得るためには、事前準備をしっかりと整えておきましょう。
相談だけで終わってもいいの?
無料相談を受けた結果、問題を解決できたり、専門家への相談を断念したりするケースもあるかと思います。このような場合は、もちろん費用はかかりません。
相談を担当した弁護士が契約をすすめてくることはありますが、あくまでそれは、「相談者にとって、メリットの方が大きいと思われるから」です。おすすめはされても、契約を無理強いされることはありません。
無料相談だけでは役に立たないのでは?
正式契約後の相談と比較すると、確かに無料相談で対応できる内容は限られています。しかしだからといって、「役に立たない」ということはありません。
法テラスを利用する前に注意したいこと
法テラスでは無料相談や、弁護士費用も低額で分割返済ができたりとメリットがありますが、利用する前に注意したいこともあります。
- 条件を満たさなければメリットが少ない
- 無料相談や民事法律扶助制度も一定の収入基準を上回ってしまうと相談料は有料になり、電話での情報提供しか受けることができません。しかし、家賃、住宅ローン、教育費、医療費などの負担があれば加算できる限度額も変わるので、月収額が基準より多くても制度を利用することができます。
- 担当する弁護士・司法書士を選べない
- 弁護士・司法書士には得意不得意の分野があります。債務整理を過去にたくさん取り扱っている弁護士に依頼したくても、納得できる対応が得られない場合もあります。性格が合わない、熱心に対応してくれないなど、法テラスには10年未満の弁護士が多く、経験が浅いというデメリットもあります。
- 審査には時間がかかり督促ストップも遅くなる
- 弁護士と相談した後に債務整理を進める場合、必要書類を揃えて審査で「援助」となれば担当弁護士を紹介してもらい、契約を結びます。審査には2週間以上かかることが多く、その間に督促を止めるまでに時間がかかります。
法テラスのデメリットを解消!「持ち込み方式」とは?
法テラスの利用を検討しているものの、「もしも経験の少ない弁護士に当たってしまったら…」とためらう方もいるのではないでしょうか?
このような場合には、自分で弁護士を選び、その弁護士を介して法テラスを利用しましょう。これを「持ち込み方式」と言います。
持ち込み方式を選択する場合、「自分で弁護士を探さなければならない」という手間は発生しますが、その分自由度はアップします。
法テラスに登録していて、なおかつ債務整理に強い弁護士事務所を探してみてください。
法テラスの利用は条件を満たせばメリットがたくさん!
法テラスは、経済的な理由で苦しむ人たちを救うために国が設置した法的機関です。借金や貸付の問題以外にも、離婚問題や相続など法的な問題をサポートしています。
一定の条件を満たしていれば、債務整理の費用や相談料も低額になり返済の目途が立ちやすくなります。
しかし、条件を満たさなくても相談窓口が設置されていて解決方法や分からないことも相談できるので、初めてなら安心して利用することができます。





