2017/06/27 独立ノウハウ・お役立ち

独立するなら個人事業主？　法人？　～フリーランスの基礎知識～

独立しようと考えた時、その方法を大きく分けると、個人事業主になるか法人として登記を進めるかのどちらかになります。何となく法人の方が世間の信用を得やすいという
のは分かると思いますが、実は、ちょっとした点でも個人事業主と法人で違いがでてきます。
あなたに合う独立がどちらなのかは、これから開業する会社の規模などによってかわってきます。今回は、個人事業主と法人とでどのような違いがあるのか、3つのポイントから見ていきましょう。

1）開業・廃業方法の違い

個人事業主と法人の大きな違いは、開業と廃業の方法です。
単純に開業や廃業のしやすさだけで見ると、個人事業主の方に軍配があがります。なぜなら、個人事業主は税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」という用紙を届け出るだけでこと足りるからです。記載する内容も、ごく簡単で、名前や住所、屋号のほかに事業の内容や専従者などを書き込むだけです。特にない場合は、屋号など書かなくても良いものもあります。難しい書式ではないため、個人事業主の届け出は、出しやすいといえるでしょう。

これに対し法人の場合は、「登記」を行わなくてはなりません。登記というのは会社の情報を記載したもので、会社の役員一覧などが掲載されています。さらに、登記の際は会社の基本的な決まりごとである定款も一緒に提出しなくてはなりません。この登記というのは、会社の登録、役員の変更、業務の変更、役員の抹消など、項目によって、書き方や使用する印鑑、提出する書類などが異なります。面倒な手続きとなるので、行政書士などに頼むのが一般的です。さらに、新規で会社を登録する場合は、30万円ほどかかることもあります。このような理由から、独立時にまずは個人事業主からスタートする人が多くなっています。

2）経理処理の違い

個人事業主と法人では、会計処理の方法にも違いがみられます。個人事業主の場合は確定申告、法人の場合は決算となり、法人の決算の方が提出するものも多く、複雑です。そのため、個人事業主の確定申告は経営者自身が行うこともありますが、法人の決算の場合は外部の会計・税理士事務所に依頼する方が多くなります。

3）税金面の違い

所得における税金としては、個人事業主では所得税、法人では法人税が設けられています。特に所得税の場合、2016年に年収4,000万円超の項目が追加され、税率は所得によって5～45％となりました。一方で法人税は、15～23.4%（開始事業年度が平成28年4月1日以後の場合）と所得税よりも税率は低めです。特にボーダーラインとなるのは所得900万円を超えたあたり。900万円までは個人事業主の場合、支払う所得税の税率は23%ですが、900万円を超えると所得税は一気に33%まで引き上がります。
所得1,000万円以上の見通しで、規模の大きい会社にしようとするのであれば、法人を選択した方がメリットはあるでしょう。ほかにも、赤字繰り越しや経費の面で、法人を選んだ方が得な場合があります。このように税金面でも違いが見られます。

まとめ

個人事業主や法人は同じ経営者であっても、税金面や形態に違いがあります。1つの目安として、会社の規模、収入をもとにどちらを選択するか考えると良いでしょう。

会社設立についてもっと詳しく知るには

一口に会社設立と言っても、そこには様々なやり方、種類があります。実際に起業する前に、どのような選択肢があるのかを把握しておくことが大切です。
このガイドでは、まずは会社の種類から設立にかかる費用まで、会社設立の前に必要な情報をご紹介。その上で、電子定款の作成方法や登記など、実際の設立の流れを最短で終えられるよう、実務的な知識をご紹介しています。
本ガイドがお客さまのビジネスの第1歩としてお役に立てれば幸いです。